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理髪店フルック1


 季節はまもなく冬になる。

 私は街を出て南西に位置し、フローディアとファルゼンローズの丁度真ん中あたりにポツンと建っている白い小さな理髪店に来ていた。

 私の店より小さい。

 建物はなかなかに老朽化が進んでいて雨漏りやすきま風が多々あるものの、ちゃんと店として成り立ってはいるようだ。


「…………」

「うん。長さは肩くらいまでで」

「………………」

「あ、そうね。そこは自然にでお願い」


 店の名前は【フルック】。そして口がきけないこの少女はリオ。短めの髪はあわい茶色、前髪は師匠と同じように揃えられ、つやのある肌と髪をした小柄なハーフエルフ。

 プラトーと少し雰囲気が似てる気がする。

 ここに来たのは今日で三度目。個人的にもリオとは何度か会っているけど、初めて会った時から何故か彼女とは普通に意志疎通が出来ていてるのだ。他のお客と違って紙でのやり取りいらず……特殊能力でも備わっているのかしら私?

 静かな店内、微かに響く髪を切る音色。

 リオ自身は他人との関わりが少ないものの密かに人気があり、数人いる古参のお客以外にいわゆるお忍びで有名な歌手や舞台役者がリオに髪を切ってもらいに来るようだ。

 前に来た時よりサイン増えてる……。


『ツンツン』


 彼女が私の肩をつつく。


「……ん? あぁ、お茶ね。ありがとう」

『ズズズ……』


 ラトローネと呼ばれる茶葉を使ったお茶、リオは髪を切り終えると必ず私にごちそうしてくれる。この苦味がまた良い。


「…………」

「うん、今回も髪もお茶も大満足よ」


 微笑む彼女に私は満面の笑みで答えた。

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