4話「予知神と見聞神に戸惑う」
ユピテルの五姉妹の荒くれ四姉妹が幽閉されてから数分後。
ルミナスの居城にユピテルの末っ子妹が来訪していた。
『た、たのもー!!あ、あの……る、ルミナス様は…ご、御在宅でしょうか?』
そんなか細い声でありながらもたどたどしくあたふたしている少女の女神。
重い扉が開くのと同時にマッハの勢いで城門を通り抜けて行くもう一人の女神が突っ込んで来た。
「おっとととと。開くとは思いもしなかった。ということで、見聞神ことナイケイル・グルナスが来ましたよ。」
ナイケイルがルミナスの腕の中に居るようにお姫様抱っこ状態で笑顔を見せていた。
ルミナスは、若干呆れていながらもお姫様抱っこから降ろしてナイケイルのおでこに指を突っつく。
お説教と言う名ばかりの優しいお怒りをやって見せたルミナスは、もう一人のお客様に顔を向ける。
「いらっしゃいませ…これは、末っ子様。今日は、どういった御用ですか?」
「あ、あの…きょ、今日は。ご挨拶とお詫びと言うお礼をお渡ししようと思って来ました。」
礼節のあるようなお辞儀をする女神に対して無礼講な対応をしているナイケイルはと言うと珍しそうに眺めていた。
女神の中でもそれによって変わり者が居ると言われているのが神々の自堕落とも言えるだろう。
自堕落と云うにも、見た目によって内面を憶測で判断が出来ていないと言われるのも人と同じだとルミナスは思った。
「それで、この私ことナイケイルを呼んだのってルミナス様だよね?どうかしたのか聞いても良いのかな?」
「あ、そのことで皆と相談があるのですよ。良かったら、あなた様もお入りになりますか?」
「いいえ、私は、お詫びを渡しに来ただけですから…姉たちの狼藉を許してもらおうとお邪魔しただけですし。」
何ともしっかりと出来ている子だなと思ったナイケイルとルミナスは、ユピテルの四姉妹に情けを感じてしまった。
ナイケイルはと言うも、ユピテルの姉妹をかなり知っている間柄なため何があったのかは、既に知っていた模様。
「そんなこと言わなくても良いですよ。紅茶でも飲んでいってくれると嬉しいです。」
「で、では…お、お言葉に甘えさせてもらいます。」
と言うても、食卓のテーブルに居座っている混沌神と星詠神と秩序神と時界神の妹が鎮座していた。
何この贅沢な神々の並びと思う状況を見てしまっている、ユピテルの末っ子神と見聞神。
「おや、神々の黄昏か何か起きているのですか?」
「よもや殺されに来たのか、見聞神の娘。その足を二度と立たせないようにしてやっても良いのだがね?」
「すみません、申し訳ありません、お許しの慈悲をお聞きくださいです。カオス様。」
「ふむ、戯言は慎むようにしなさい。そして、祈りを捧げなさい…命乞いと言う言葉…おふっ!?」
「カオスちゃん、そういう言葉は良くない。此方に座ると良いですよ、見聞神。」
カオスの頭部にチョップを喰らわした秩序神ことコスモ。
子供に言葉遣いを気を付けるように躾けようとしている親の光景がコントしているかのように見えたユピテルの末っ子神。
少し微笑ましかったのかほくそ笑んでルミナスの妹のアルテミスの隣に座りながら出された紅茶を飲んでいた。
「そういえば、まだ名前も聞いていなかったですね。ユピテルの姉妹とだけしか聞いていなかったのですが。」
「わ、私は…メリトアウル・クリウス。メリ…と呼んでくれると嬉しいです。末っ子なので宜しくです。」
澄んだ声色で少女と言うほどの可愛い自己紹介をするメリトアウル。
ユピテルの中では、法術に長けているのだからあざといと言われてしまうのだが彼女は、そういう気もない様子。
純粋な子ほど小狡い性格が無い分、気乗りのしない性分なところがあるので律儀に敵対していた神々に謝罪をして居たのだろう。
「メリトアウル様、そんな畏まらずにいてくれるとこちらとしては、気が楽になれますので大丈夫ですよ?」
「姉たちが迷惑をかけたのは、周知の事実ですから謝りに来た次第です。なので、これを納めてくれると嬉しいです。」
メリトアウルは、そう言うとしっかりと包装されている物をルミナスの方へと差し出す。
ルミナスもまた、これはと言わんばかりに包装されている物の中身を見ようとするべく綺麗に開いてみる。
「こ、これは!?…機雷神のグローリー(栄光手)…今では、お目に掛れない貴重で希少なもの。一体、何故これを?」
「姉様たちが、機雷神との交戦時に戦利品として持ち帰っていたそうです。お近づきの代わりとしてもありますが。」
混沌神と秩序神は、メリトアウルの言葉を真に受けたのか目がキラキラと輝いていることですぐさまにルミナスはそれを閉ざした。
こんな貴重なる機雷神のグローリーをお返しするように黙ってメリトアウルに差し出す。
「…うちには、これが5つもあります。なので、お礼を兼ねて1つ…お約束と言いますか、聞いてはくれませんか?」
「ルミナスは、これと言って良い程……お約束、ですか?それは、一体どのような?」
ルミナスは、返そうとしている行動を止めて相手の言葉を聞き返すように首を傾げた。
メリトアウルの思考でさえも読み取れるのか、見聞神のナイケイルが誰よりも聞き入るようにメモを取り出した。
カオスとコスモもまた、その約束ごとに興味を持ったらしく身を乗り出す。
「…ユピテルの姉妹神には、敵対している神々が居ます。その敵対心を持っている方々と同盟を私が通して話をしてあります。」
「……つまり、時界神と混沌神と秩序神から同盟を勧めるように動いて欲しい…ということですか?」
ルミナスは、メリトアウルの考えていることをナイケイルより早く認知したのだった。
この同盟に上手くユピテルの姉妹神を取り込めばあの姉妹も腰を上げてくれるんじゃないかとルミナスは考えた。
だが、その言葉を待たずして水上舞が神々の会話を聞いてたのかとばかりに笑顔で横入りをして来た。
「その話、乗ったわよ!!人間様の私の力…いや、秘めた潜在能力を開花させる時が来たようね!!任せなさい…私が、話を勧めてあげる!!」
『うっさい、ウザイ、黙れ…このうすら寒いセリフを言う馬鹿姉様!!』
2階の妹の結の部屋から大きな声で罵られるような言葉が舞の心臓に剣が刺さったように見えるのは気のせいなのだろうか?
だが、それでも涙目になりながらも笑顔でみんなの前で元気振る舞うのを見せた。
「同盟と言っても長期の結託に必要な書類が必要となるわ。その書類と同盟名義を持つ神様だけ残ってくれるかしら?後は、任せて。」
声のトーンを下げてまた怒られないように舞は、神々の期待を超える行動を進むことになった。
このことがきっかけでユピテルの姉妹神や時界神のルミナスも驚きが隠せない事態へと深まっていくことになった。
最終回も待ったなしとなるゲームクリアの予兆が見えるのは、皆の気のせいだと信じている舞と結。
果たして、水上姉妹は無事に元の時代に戻れるのか?
不安を残しながら5か月も要して神々たちの不安が募る一方なのであった。
登場キャラクター
メリトアウル・クリウス モブキャラ
11歳/姉妹神/ユピテルの姉妹の末っ子/骨董品のコレクター/大人しそうで御淑やか/姉たちが好き
ナイケイル・グルナス モブキャラ
19歳/見聞神/新聞屋の小娘/情報を集めて誰かに話たがる性格/元気で活気が良い/ネタになる情報が好き




