No.19 unknownの強さ
仁は辺りの魔物を蹴散らした後、【水魔法】を使用し、委員長を囲うように壁を作る。
「委員長。絶対にその中から出ないで。」
「わ、わかりました。」
銃剣を銃モードにした後、魔物のせいで開けた広場になっている場所に出て、ボスに向けて弾丸を放つ。
「こっち向きやぁ!」
弾丸はボスに直撃するが、あまりダメージになった様子はなく、こっちに振り向きすらしない。
(火力が足りん。どうしたもんか。)
仁が悩んでいると、上から流星が降り注ぎ、刀先輩からの通信が入る。
「刀先輩か!」
『大丈夫?』
「自分じゃ火力が足りないっす。今回は雑魚はもうほとんどやったんですけど、ボスは傷一つ漬けられなかったです。さっきの狙撃でもかすり傷が少しついたくらいですね。」
『厳しい戦いになりそうだねぇ。』
「早いとこ弓月先輩呼んできてほしいんですけど。」
『さっき、向かってるって連絡が来たよ。栞も向かってる。』
ボスの眼の前に陣取りつつ銃でちまちま削ろうとする。そうすると<ガーディアンズ>が到着する。
「<ガーディアンズ>到着した!敵の情報と逃げおくれた人はいないか!」
「<HEROES>のオルカだ!そっちの方の通路に一人逃げおくれたやつがいる!今は自分の水魔法で壁を展開しているからまだ生きているはずだ!」
「<HEROES>か!了解した!No.13からNo.15!救助にいけ!」
「あのボスはかなり硬い!攻撃力Bの攻撃とリザードの狙撃でもダメージが薄い!」
「そうか!隊員!射撃陣形を取れ!なるべく目を狙って放て!」
「「「了解!」」」
<ガーディアンズ>の隊員達が陣形を組み、弾幕を張る。
(委員長はこれで大丈夫か。てか♤隊か、姉さんもいんじゃん。)
ヒュゥゥゥゥゥドォォォォォン!
上空から何かが落ちてきてボスに直撃する。
「<HEROES>所属のライノだ!手伝いに来たぞ!」
「ライノ!上に飛べ!」
「ッ!」
魔物が思いっきりジャンプし、栞を上方向に跳ね飛ばす。魔物は上を向き、その大きな口を開き、栞を飲み込もうとする。
「させるか!」
仁はすかさず【水魔法】を使用し、栞を空中でキャッチし、地面に引き寄せて下ろす。
「危ねえところだったな。」
「助かったぞ!」
「<ガーディアンズ>!アレに刺さる手札とかはないか?」
「悔しいがない!フルチャージを使っても傷がつくかどうかという感じだ!」
「了解!今向かってるタートルとライノなら攻撃は通るだろうが俺とリザードは厳しいかもしれん!」
「我々はそちらのサポートにまわろう!」
「OK!ライノ。」
「なんだ?」
「予備で赤か緑のカラーズモデル持ってないか?」
栞に予備のカラーズモデルを持っていないか聞いてみる。
「水色なら持ってるぞ!なんでそんなこと聞いたんだ?」
「タートルが来るまでの時間稼ぎで少しでも削って置きたいからな。水色って何の属性だ?」
「氷だぞ!」
「貸してくれ。」
「良いぞ!」
栞からカラーズモデルを借りて、再変身するためにカラーズモデルを取り外し、水色のカラーズモデルを装着する。
『カラーズモデルの取り外しを確認。』
『カラーズモデル”水色”を確認。MSの変身シークエンスを開始します。』
「変身」
『メイン設定とは異なる属性を確認。追加装備を展開します。』
通常通りの装備が展開された後、見たことのない追加の装備も展開され、装着される。
『変身シークエンスを完了しました。”M・S・O−7”再起動します。』
変身が完了し、いつもの姿に、水色の氷をモチーフにした装飾が装着された姿になる。
「いつもと違う属性使ったらこうなるんだな。」
「そうだぞ!オルカは初めてだったな。」
「少し試すか。【氷魔法】」
お試しとばかりに【氷魔法】を使用し、氷の柱を空中に出現させ、ボスに向けて放つ。
「おぉ。」
結構な勢いで飛んでいったがボスには弾かれてしまう。
「いつもの水魔法も同時に使えるはずだぞ!」
「便利だな。【水魔法】」
栞が水魔法も同時に使えると言うので試してみたら使えてしまった。
「ライノ、これで足場作るからぶち込んでこい!」
「了解した!」
仁は水魔法を触手のような形にしそのままボスに向けて動かし、ボスの身体を水でがんじがらめにした後、氷魔法で凍らせることでボスの動きを止める。それと同時に、残った水製の触手でボスの横までの道を作り、そちらも凍らせる。
「ありがたい!」
栞は仁が作った足場の上を移動し、ボスの横に移動そのままハンマーを振る構えに入る。
「すまない。遅れた。」
同時に向かっていたタートルが到着し、ハービンジャーを構える。
「『フルチャージ・スマッシュ』」
「『フルチャージ・スラッシュ』」
栞と弓月が同時にフルチャージを使用し、ボスの身体にクリーンヒットする。
「よし!」
「硬いな。」
ヒットした衝撃でボスを拘束していた氷もすべて砕け散り、ボスも吹っ飛ぶ。
「嘘だろ。」
確かにクリーンヒットし、ボスの巨体をふっとばした攻撃であったが、すぐにボスは起き上がり、こちらに向けて、咆哮を放ち、仁の足場に乗っていた2人が吹き飛ばされる。
「ぐっ!」
「くそっ!」
仁はすかさず水魔法で2人をキャッチ。
「すまない!」
「助かった。」
「礼は後だ。アレ、どうする。」
2人のフルチャージを受けてなおピンピンした様子であるボスはこちらに突進するためか、後ろ足に力をためている。
「まずい!<ガーディアンズ>!避けろ!そして被害予想範囲をかなり拡大しろと上に伝えろ!」
「了解した!<ガーディアンズ>は一時撤退とさせてもらう!このままでは足手まといになってしまう。」
<ガーディアンズ>が撤退しようとしたその時、ボスの後ろ足に貯められていた力が解放され、暴力の化身が突撃してくる。
「畜生!」
仁は氷魔法で瞬時に壁を何重にも重ねてボスの進路上に設置したが意味は無く、子どもが障子に穴を開けるように突破されてしまう。
ガっ。
突如そんな音がしてボスの動きが止まる。その場にいた全員が同じ場所を見ていた。全員の視線が集まる先には、黒い装備に赤のラインが入った戦士が片手でボスの突進を受け止めていた。
「すまない。皆を危険に晒してしまった。」
そんな機械のような声が黒い戦士から聞こえた。
「お前はあの時の!」
あったことがある栞と遠隔で見ていた刀は驚き、<ガーディアンズ>の隊員は「アレが噂の...」とつぶやいている。
「味方...で良いんだよな?」
「あぁそうだ。」
弓月はそう問いかけると肯定の返事が返ってきた。黒い戦士は地面に降りた後、両手を地面につく。
「『大地魔法』」
そう、黒い戦士が呟くと、辺りの地面が動き出し、何本もの尖った針が、今までほとんどの攻撃が通らなかったボスを、鉛筆で紙に穴を開けるように簡単に貫く。
「これで終わりだ。」
黒い戦士はそのまま刺さった針から更に分岐するように針を生成し、ボスは内側から破壊される。
「凄まじいな。」
仁は無意識にそんな感想が口から漏れていた。
「さらばだ。次魔物に苦戦することがあったら上空で爆発を起こすと良い。それを合図として私は現場に出る。まぁ先に魔物を倒しているかも知れないがな。」
相変わらず機械のような声で、そんなことを言った後、黒い戦士の姿がかき消え、辺りから消える。
「嵐のように来て、魔物を倒して去っていったな。」
「あぁ。前に見たときもそんな感じだったな。」
「ライノは前にも見たことあんのか。」
「あるぞ。その時は一緒にリザードもいたぞ。」
『そうだねぇ。』
辺りに驚きと感謝を残して黒い戦士は去っていったのであった。
フォームチェンジしたけど負けることってあるよね。
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