親友フィレアと
英雄イクシオス、ガラン大陸でその名を知らない者はいない。かつて戦乱の時代においてドラゴンスレイヤーとして高名だった冒険者のイクシオスは故郷である小国の軍に入ると破竹の勢いで敵を打ち破っていきやがて将軍となった。大陸一の辺境の小国が大陸図一の巨大な帝国を打ちぶり新たな国を築きあげることが出来たのはこのイクシオスの活躍が大部分を占めていた。小国が築いたあらたな国の名はアークラン共和国、議会制を掲げるこの新たな国は大陸でも理想の国とされた。アークラン共和国が建国してから数年後イクシオスは姿を消した。そして彼の名はますます伝説として語られていた。そんなイクシオスに憧れる者は多いが少女でイクシオスの様な英雄に憧れるものは少ない。アークラン共和国の辺境ルサイで育った少女ミアはアークラン共和国のごく平凡な16歳の村人だった。ミアは幼い頃一度だけ両親に連れられて行われた勝利のパレードでイクシオスを眺めた事があった。市民達が花びらをまき喝采するなか馬に乗り右手を高く上げたイクシオスの姿は強烈な憧れと共にミアの脳裏に焼き付いていた。そしてミアは今日も冒険者になる事を両親に認めて貰えるように説得していた。
「またか!ミア、お前は女の子なんだぞ!駄目だ、駄目だ!」
「どうして!お父さん今の時代、性別は関係なく冒険者は多いよ!それに小さな時はいつもいいっていってたじゃない!」
「冒険者の多くは冒険者アカデミーで訓練した者だ。我流の剣術のお前が冒険者になっても危険なだけだ!」
「もういいわ!」
「待ちなさい!ミア!何処へ行くんだ!」
「街の中を回るだけ!」
そう言ってミアは木剣を手に家を後にすると残ッた父親はため息を着く。
「貴方、ミアは小さな頃からイクシオス様に憧れていつも、いつか冒険者になるっていっていたわ。我流ではあるけどあの子が唯一頑張って来たの剣を振るうことだったし、いきなり冒険者にさせるのは私も反対だけどアカデミーに通わせてみるというのはどうかしら?」
「あの子は私の宝だ、危険な目には合わせたくない」
「同年代の子達は皆、冒険者アカデミーに通ったり騎士や兵士になったりしているのよ、あの子には勇気があるし気持ちも考えてあげて。」
「、、、、、、、、、そうだな」
父といつものように喧嘩したミアは木剣を振るうのを休憩して村の噴水広場の近くに腰かけて噴水を何気なくみるミアに一人の少女が声を掛けた。
「ミア?」
「あれ?フィレア?」
「うん、1年ぶりだね」
「元気だった?アカデミーもう卒業したの?」
「うん、だからミアに会いに来たんだよ」
「いいな、私も一緒に行きたかった、、」
そう言うミアの隣にフィレアは座って行った。
「お父さん、ミアの事凄く大事にしてるもんね」
「それは、、、、、正直嬉しいけどでも私はイクシオス様の様な人になるのが夢だから分かって欲しいんだ、、」
「そうだね、ミアの夢だものね、ねえ?私も一緒にミアのお父さんを説得するよ」
「本当?!フィレア、ありがとう!」
「じゃあ、行こ?」
「うん!」
ミア達が自宅に戻ると食事の用意されていた。ミアの両親はフィレアを見て言った。
「フィレアちゃん、戻って来たの?」
「いやはや、成長したな」
「お久しぶりです、おじ様、おば様」
「もう正式な魔術師にはなれたのかい?」
「はい。このまま魔導師になるか直ぐに冒険者になるか考えています。」
「そうか、今日は一緒に食事をしていきなさい」
「はい。ありがとうございます」
暫くフィレアがこの街に居た時の思い出話をしていた。
「小さな頃からミアはフィレアちゃんに助けられてきたね、ミアは昔から無茶して野犬や野生動物に襲われた時もあったけどフィレアちゃんのお陰で無事だった。」
「本当ね、フィレアちゃんはいつもミアを助けてくれたわ」
「いえ、私がミアに助けられた事も数多くありました」
不意にフィレアがミアの父に言う。
「おじ様、私はミアに一緒にアカデミーに来て欲しい、今もそう思っています。お金なら奨学金制度がありますし、ミアの入学を考えてくれませんか?」
「やれやれ、フィレアちゃんもミアの味方だね。お金の心配はいらない。今まで反対してきたがフィレアちゃんが常に一緒なら許そう。いいかな?フィレアちゃん」
「はい」
「本当?!お父さん!」
「ああ、ただし手紙は頻繁に送ってきなさい。それは冒険者なってからもだ」
「うん!絶対に送るから、安心して!」
「フィレアちゃんはいつまでいるんだい?」
「今日を入れて2日ほどです。」
「そうかミア、フィレアちゃんと一緒に馬車でいきなさい、お金は渡す」
「三人ともありがとう!直ぐに支度を整える!」
そう言うとミアは食事もそこそこに二階の自室へと走っていった。
「やれやれ、、、フィレアちゃんミアをどうか頼むよ。」
「はい、突然のお願いにありがとうございます。」
「いやいや、あの子の嬉しそうな顔を見たら納得いったよ」
そして二日後、両親に見送られてミアはフィレアとルサイの街を後にしようとしていた。
「やるからには頑張ってきなさい」
「ありがとう!お父さん!」
「元気でね、ミア、フィレアちゃんこの子をよろしくね」
「はい」
フィレアがそう微笑むと馬車は首都イグリアへと向けて出発した。




