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蒸気自動車

 蒸気自動車には大きく分けて二つの分類がある。その蒸気自動車の話を今回は特別に実施しよう。


 ひとつはより多くの人が思い浮かべる、蒸気機関車のようなデカイボイラを積み、そして運転台のそばにはずみ車のついた大きな車両である。これはトラクションエンジンという。蒸気トラクターと言うこともある。ちなみにトラクターだけでなく、トラックやロードローラー等も含むのだな、分類的には。

 これは原形がポータブルエンジン、訳すなら『可搬式機関』とも言えば良いだろうか?ボイラにピストン類が付き、はずみ車からプーリーベルトを通してどこの何でも駆動させることができるものである。運び方が畜力によるというのがなんとも言えないが。で、これのプーリーを使って車輪を駆動し、また牽引力を与えたものがトラクションエンジンである。だからこのトラクションエンジンからプーリーベルトを介して他の機械を駆動させることもできる。


 もうひとつがスチームビークルである。こちらは乗用車と考えてもいい。で、このスチームビークルのなかでも私の一番のお気に入りである、『スタンレースチーマーE2』を一例に解説しよう。一時はガソリン車の十倍は売れた機械である。

 フロントシートの下は水のタンクであり、リアシートの下がまるまるガソリンタンクである。追突されたら爆散しそうだが気にするな。そもそも自動車が普及してない。そして、ボンネットは中身がボイラになっている。ボイラは縦型の煙管式ボイラである。煙管式ボイラのほかに水管式ボイラがある。水管式ボイラとは、火の燃えている燃焼室のなかに水が通る管があるボイラである。対義語として、ボイラ水のなかを燃焼ガスが通る管があるボイラを煙管式ボイラという。蒸気機関車等は煙管式ボイラである。煙管式ボイラの方が動き回るのなら良い。効率性は水管式ボイラに劣るが、振動に強いのだ。

 燃料はガソリンであるが、このガソリンは今の自動車で用いるガソリンよりは揮発性の低いものと言われている。バーベキューで使うガソリンのようなイメージだろうか。蒸気は三〇分位で沸く。シリンダに蒸気を吹き込めばただちに発進できる。シフトは中間で止められるか定かではないが、蒸気機関の場合敢えて止まるようになっていることがある。蒸気機関車はそうだ。それで効率を選択できる。

 車体下にシリンダがあり、後ろの車軸がそのままクランクシャフトからの動力を受ける構造となっている。何故なら蒸気機関は動力車両に適したトルクを発揮し得る機関だからである。


 蒸気自動車と電気自動車が当時のトレンドであり、ガソリンエンジンは普及していなかった。何故か。蒸気自動車は先ほどのべた構造からわかるように、ギヤを介さないがゆえにクラッチ操作が要らないのだ。さらに、始動がらくだ。蒸気レシプロ機関は良くできており、船舶の機関のようなよっぽど巨大な機関でない限り、回転数ゼロから蒸気をシリンダに突っ込むだけで回るのである。しかもピストンが動かない限り給排気弁は動かないため、ずっと蒸気が流れ込むがゆえに最大出力で動き出す。蒸気機関車も蒸気自動車も発進の瞬間が最大トルクとなる。下手すると空転するのだがね。電気自動車もそうで、回転数ゼロから電気をモーターに流すだけで回る。一方、ガソリンエンジン等の内燃機関は違う。

 え?蒸気が沸くまでの方が手間じゃないかって?その質問を待っていた。その通りだ。しかし、リスクが違った。当時はセルモーターなんて洒落たものはない。エンジンをクランクで手回ししてやってからの始動である。このときに下手すると手を持ってかれる。胸や頭をやられることもある。ガソリンエンジン自動車を走らせるのは、当時は命懸けである。それに比べれば楽で、安全なのだ。


 蒸気自動車が廃れた理由のひとつが口蹄疫である。当然蒸気機関であるから給水が要るわけだが、当時は馬に水を飲ませる馬水槽と言うのが欧米諸国はあちこちにあった。日本も近代化に伴いあちこちに作られた。新宿駅東口に現存している。その馬水槽から水を補給していたのだが、口蹄疫の流行により、馬水槽が潰されたことから、水の補給が困難となった。復水器を着けて給水をせずに出来るようにしたが、重くなった。出力もどうしてもガソリンエンジンに劣るので、徐々に駆逐されたのだな。

ボイラに関する記載に間違いがあり修正。

というかスタンレースチーマーのボイラはよーわからん。現物をばらせばわかるかな?

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