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銀の魔物との戦闘

 協力するにあたり、今回は防衛をする場所を二つに分けた。

 五長老率いるドワーフ達はドヴェルグタウン入口東側を、ドワーフの代表――デック率いるドワーフ達は西側をそれぞれ防衛する。

 すぐさま、ヘカトンの用意をしてドヴェルグタウン入口に集合。

 外の様子は動物の鳴き声一つなく、まさに嵐の前の静けさだった。


 「これから防衛の前に、遠方攻撃ができる奴は数を減らすのに尽力しろ」


 その命令とともに、銃を装備したヘカトン達が木などの銀の魔物達が見える場所へと登り、そこから銃弾を放つ。

 が、やはり先ほどと同じようになかなか倒せない。

 あと数分ぐらいでここに着くだろう。

 それまでにドワーフ達は罠を設置していく。

 地雷のようなもので、その効果はさまざまだ。爆発するもの、魔法を発動させるもの、槍が飛び出るものなど出し惜しみなく全てを設置する。

 そうして、準備をしているドワーフに変わって、斗和達は。











 「なあ、俺達はどうすればいいんだ?」

 「俺達は最後の防衛線らしい。まあ、客人であるから前にも出したくないのかもな」

 「そうか、だが、俺らがでねぇとまずくねぇか」


 充の疑問もよくわかる。


 「任せて、私はここから参戦するからぁ」


 美貴のクラスは狩人だ。

 それは遠くから獲物を一撃で仕留めることに特化している。

 フリジア達と戦っていた時の矢を増やして数打ちゃ当たるで戦うよりも、一発一発ずつ当てる方が威力も格段に上がる。

 銀の魔物達がいる方向の空へ向け、矢を放つ。


 「ここっ!!」


 空へ向け放たれた矢は速度を落とすことなく、そのまま落ちていく。

 そして、熊型の魔物の頭に刺さった。

 寸分のブレもなく刺さり、その体は動きを止める。


 「次々いくよ」


 美貴の目には魔力が込められていた。

 彼女には見えるのだ、どこを打てば倒せるのかが。

 それが線となって軌道を描いている。

 それに沿って打つのみだ。


 「すごいのう、さすが勇者達じゃな」

 「なかなかですね。私達でもできそうにありません」


 リーシャとメルが関心している。

 俺達は今ドヴェルグタウンの入口付近で待機しているため、今は特にすることはない。

 もしもだが、ここまで攻めてこられたら、ドヴェルグタウンの非戦闘員である年配者、子供達は抵抗できずに殺められてしまう。

 それだけは止めなくてはいけない。


 「やっぱり、俺達は行った方がいいかもな」


 つい先ほど罠が発動したような音が鳴っていた。

 もうすぐ近くまで来たということだ。

 それからドワーフ達の声、激しい戦闘音も聞こえてくる。


 「トワ、助けに行く?」

 「そうだな。コマチもいいか?」

 「私は大丈夫」

 「行くんですか?私も行きます」


 全員を連れて行っては最終防衛ラインとならないので、今回はメルとリーシャ、ダリルに待ってもらおう。


 「えぇええ、私も行きたかったのに。ちゃんとトワに言われたとおり、訓練は欠かさずしてるよ」

 「それでもだめだ。まだもう少し強くなってからな」

 「ぶー」


 ダリルは悔しそうに、また置いてけぼりか、と呟いていた。

 まあ、それでも毎日訓練は欠かさずしていうよるようで、すでに通常状態の俺と互角だったりする。

 これから戦闘に関して、経験を積んでから一緒に戦ってもらおう。

 その方がこのような乱戦となっても生存する確率というのは上がる。


 「俺達も行きたいぜ」

 「俺もだ」


 日向と充も行きたそうにしているが、十分強い彼らを差し引いてしまったら、防衛面に心配がある。

 今回クラスメイト達には入口で待ってもらうことにした。


 「じゃ、行ってくる」


 クラスメイトとリーシャ達に言い、俺は戦闘の激しいところへと向かった。










 「やばいぞ、このままだと押し切られる」

 「耐えろ、耐えるんだ」


 どうもあまり戦況はよろしくないようだ。

 ヘカトンは恐ろしく強いが、それでもこの銀の魔物達の数に圧倒されている。

 このままでは本当に押し切られそうなので、俺はすぐさま黒龍の右腕を出して銀の魔物達を殴りに行く。


 「おわっ」

 「な、人間族か。ここんは来るなと言ったが、まあ、助かったぜ」


 そのまま俺は全力で一体ずつ頭を握りつぶし、殴り、地面へと叩きつける。

 ミアはクレイモアで両断していた。

 固いと言っても、ミアには切れるようだ。


 「キリン、両腕で黒龍を使うことはできるか?」

 『うん、この力も少し体に馴染んできたみたいだから、いけると思うよ』


 キリンが言うので間違いないだろう。

 左手も黒龍のそれに変化させる。

 魔力の消費量も単純に2倍に増えた。

 だが、これで効率も2倍だ。俺は両腕で一気に片付けていく。

 銀の狼型の魔物ぐらいなら一撃で倒すことができる。

 だが、熊型や時々出てくる地竜型は一撃で倒すことができず、その間に囲まれてしまうことが多々ある。


 「トワ、危ない」

 「すまん、ありがとう」


 そのたびにコマチがノックバックに重きを置いた魔法を発動させる。

 魔法生命体であるコマチだからこそできるオリジナル魔法であり、名付けるなら衝撃魔法だろうか。

 その衝撃波にはそこまでの攻撃力はないが、敵を吹き飛ばすことに関しては有効だ。

 それから数分間休みなく潰していく。

 俺は魔力の底が見えてきた。


 『トワ、もう危険だ。一旦下がるんだ』

 「了解、ミア少し下がるぞ」

 「分かりました」


 ミア、コマチとともに後ろへと下がり、ドワーフが乗るヘカトンが交代で戦闘へと加わる。

 その間、俺達は少しでも魔力や体力を戻しておく。

 もうすでにいろいろな力を取り込んだこの体は、普通なら一日ほどかかる魔力回復が数時間ほどで終わってしまう。

 急速に外にある魔力が体の中に入っている感覚がする。

 ミアは横で呼吸を整えていた。


 「まだ、休めそうだな」


 短時間で結構な数を減らしたため、まだ戦えている。

 今まで戦況を見ていたデックさんも参戦し、戦況が好転し始めた。

 デックさんのヘカトンは他のヘカトンと比べて機体が小さく、その分機動力が高い。

 この森での戦闘でも小回りが利くため、後ろに回って攻撃していた。

 俺達をドヴェルグタウンまで案内してくれたギムルさんも戦っている。

 彼の愛機であるシグマは珍しい二刀流で戦っているため、すごく目立っていた。

 舞うように関節部分を切り、深手を与えていく。それを他のヘカトンが倒してるようだ。


 「さて、まだ万全じゃないが俺達も出ようか」

 「はい」

 「おー」


 押している今の内に数を減らしておく方が得策だと考え、俺は戦場へと戻った。











 「今はこちらが押されているか」


 遠くから自分が生み出した銀の魔物達の様子を見ていた。

 ()()()である魔物達ではこの程度だろう。

 数もすでに半分以上削られているのが現状だ。


 「では、第二軍を出そうか」


 第一軍が量を優先しているのなら、次の第二軍は質を優先している。

 俺の自慢の作品たちだ。

 ここで披露するのがもったいないが、仕方ない。油断するとエルフや獣人族の時と同じ轍を踏みかねない。

 黒いコートを着た男は第二軍をその戦場へと差し向ける。

 今まで待機状態で動かなかった大きな魔物達が動き始めた。


 「さあ、波状攻撃だ。せいぜい守って見せろ」


 サイクロプス筆頭にさまざまな魔物達が悠々と歩いて向かう。

 それを確認して、男は一人別の場所へと向かった。



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