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若者ドワーフの罠

 町の中を走っていく。

 道がそこまで大きくないため、時々町で歩いているドワーフとぶつかりそうになり、そのたびに避ける。

 前に走っている若者ドワーフ達は関係ない。弾き飛ばしていた。

 弾き飛ばされたドワーフは店に突っ込み、店で他のドワーフ達に受け止められている。

 対応が慣れていた。


 「迷惑だな、あいつら」


 町で飲んでいるドワーフがこちらにも怒声を浴びせる。

 俺達は悪くないって。

 中には持っている酒瓶を投げてくる者もいる。

 それも全て避けきり、追いかけた。


 「お、外からお客さんか?」

 「人間族が多いな、おい、龍人族もいるぞ」

 「俺初めて見たぜ」


 デックの話ではドワーフの国にお客さんが来るのは珍しく、すぐさま俺達が来たことは町に広まったらしい。

 そして、若者ドワーフに狙われていることも。

 通りを行き、大きな広場に出た。


 「よし、ここだ」

 「着いてこれたようだな」


 ヘカトンの操縦席が開き、中から出てくる。

 どうもここで戦うらしい。


 「臆せずここに来たことは褒めよう」

 「だが、お頭はからっきしだったようだな」


 ざっ。

 広場には百や二百、それ以上の数のヘカトンがいた。

 一体一体デザインが異なり、量産型ではないことが目で見て分かる。

 ドワーフは物作りが得意な種族だ。

 彼ら若者ドワーフ達が作ったのだろう。


 「ああん、だからどうしたってんだ」

 「魔法剣の前ではそんなもの鉄くずだってんだよ」

 「「「何っ!!」」」


 日向と充の火に油を注ぐ発言にドワーフ達全員が殺気を放ち始める。

 ドワーフは自分が作った物にケチを付けられることを嫌う。

 日向と充は知ってから知らずか言ってはいけないことを言ったのだ。

 全てのヘカトンが武器を構える。中には砲台のようなものを持ったヘカトンもおり、遠距離特化型と近距離特化型でちゃんと陣を組んでいる。

 俺達は完全に彼らの罠に引っかかったということだ。

 まあ、これを一つ残らず破壊すれば流石にもう襲うことは無くなると思うが。


 「おま、お前達は俺達を怒らせた」

 「知らねぇぞ、もう皆殺し確定だ。だよな」


 ヘカトンに乗ったドワーフから賛成の意を持った雄たけびが上がる。


 「リーダー、お願いしやす」

 「お願いしやす」


 ここまで案内した二人のドワーフは後ろへと下がっていく。

 そして、上空から強い光が発せられる。

 ズドン。

 強い衝撃により地面が揺れる。

 そこには普通のヘカトンより一回り大きい機体が仁王立ちしていた。


 「お前らが外から来た奴か」


 ボイスチェンジャーに似た道具を使っているのか、声からは男かも女なのかも分からない。

 しかし、この機体に乗っているドワーフは他の奴よりも強いこと分かる。

 魔力量が桁違いだ。

 ヘカトンは自分の魔力を用いて動かす。

 魔力を多く籠めれば、それほど良いパフォーマンスもできるらしい。

 それを考えると見た目以上に目の前のリーダーという奴は強いだろう。


 「それに先ほどの発言許すまじ、まずはそこの害悪エルフを処刑してやろう」


 腰にさしてある鞘から剣を引き抜く。


 「長っ!?」

 「あれは鞘の中の空間が捻じ曲げられているのか?」


 抜いた剣の刀身は鞘以上にある。

 宗太が言ったとおり、鞘の中の空間が捻じ曲げられているのだろう。

 刀の形は刀に似た片刃だった。


 「しっ」


 振り上げたと思ったらすでにメルの目の前にいた。

 その長い刃が振り下ろされる。

 まあ、対応できない速ではない。


 「なっ」

 「俺達をそんなに見くびってもらったら困る」


 ミア、リーシャ、俺はすでにメルの前に出てその刃を止めていた。

 そして、反撃する。

 ヘカトンの腹に向け拳を振り上げた。


 「ふん、ではこれでどうだ」


 上げられた拳は空を切り、その上げられた腕を切り落とすように刃が動かされていた。

 まだまだぁ。

 すぐに腕を引き戻す。


 「俺達もリーダーに続けぇ」

 「「「うおおおおおお!!」」」


 他の連中も突撃してくる。


 「ここは俺達が何とかする、斗和達はそのリーダーを任した」

 「ち、俺がそのリーダーを倒したかったが、まあこのくそったれどもを焼けるなら、いっか」

 「覚悟しろよ、こっちは苛ついてんだ。すぐには終わらせんぞ」

 「なんか男子が暑苦しいんですけど」

 「それな~」

 「頑張るぞ~、おー!!」


 中のドワーフまで殺しそうな日向と充が心配だが、宗太がコントロールしてくれるだろう。

 俺は次に首へと振られた刃を避けた。

 切り返し、次は足を狙ってくる。


 「なかなか、こいつ戦闘に慣れてやがる」

 「私に任せてください」


 ミアがクレイモアを振るう。

 リーダーが持っている刀が細部までこだわった宝刀だとすれば、ミアのクレイモアは無骨な巨刀だ。

 二つの刃が合わさる。

 両者譲らず、鍔迫り合いとなっていた。


 「今の内だ」


 リーシャが口から火炎を吹く。

 あえて物理ではなく、中のドワーフをあぶるためにヘカトン自体を熱する。

 しかし、あまり効果はないようだ。

 次はメルがプラズマでの感電を試すが、それも対策されていた。


 「何をしても無駄だ、そんな甘っちょろい攻撃にこの機体が負けるもんか」

 「じゃ、少し本気を出すか」

 『お、もしかして、僕らの番かな』

 「頼んだぜ」

 『任せて』


 黒龍の裁き手(俺命名)を使用するにはキリンの補助が必要だ。

 俺だけだと暴走するため、キリン自信が調整するための機能となってくれる。


 「なんだ、その腕は?お前は人間族じゃないのか!?」

 「人間だよ、ま、少しだけ変わってると思うけど」


 右手を黒龍の裁き手に変え、右ストレートを放つ。

 流石にやばいと思ったのか、鍔迫り合いを止めバックステップした。

 だが、逃がさない。

 顔にコックピットの箇所に打撃を加える。

 少しひびが入った。


 「がはっ、なんつう馬鹿力してんだ。くそ、ブーストモードを発動するしかねぇ」


 機体が青く光る。

 機体の隙間から抑えきれない魔力が溢れているようだった。

 そして、次の瞬間俺は地面に叩きつけられていた。骨が軋む音が聞こえる。

 咄嗟に手を上に構えていないとそのまま上段で切られているところだった。

 相手は次の動きに移っている。

 地面を引き裂きながら刃が横から迫ってきた。

 なんつう速度だよ。

 地面の抵抗などないかのように速度は落ちない。


 「やらせない」

 「トワっ」


 もう少しで上半身と下半身がお別れしそうになった時、ミアとリーシャがその刃を止めた。

 二人がかりでやっと刃が止まる。

 と思ったら次はメルの後ろに出現して、刀は振られた。

 そして、メルの体に刃が入っていく。

 切られた……。


 「これで害悪エルフは死んだぞ」


 が、切られたはずなのに血は出ないし、立ったままだ。


 「残念、コマチでした。ねぇ、今どんな気持ち?」


 姿が変わり、そこには魔法生命体であるコマチが立っていた。

 実体のない彼女なら物理攻撃は無効だ。

 煽られたリーダーは怒り心頭。

 より出力を上げていく。


 「バカにしやがってぇええええ」


 無茶苦茶に振り回した剣筋からは魔力の籠った斬撃が飛んでくる。

 怒りに我を忘れて敵味方関係のない攻撃だ。

 また威力が高いために打ち消すことも一苦労で、落とし漏れがクラスメイト達のところへと飛んでいく。


 「気を付けてくれ」

 「了解」

 「おう、分かった」


 美貴と充の二人が飛んで来た斬撃の処理に回った。

 これで、撃ち落とし漏れもなんとかなるだろう。

 さて、後はこの暴走し出したリーダーをどうにかしたいんだが。

 近づくことすらできそうにない。

 避けて、撃ち落としてが精一杯だ。


 「魔力が尽きることも無さそうだしな」


 どうしよう?



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