表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
77/135

イールの昔話

pvが100000達成しました!!

おお、と作者は驚いています。

まさか自分がここまで来れるとは……、これも全て読者の力あってのこと、深く感謝申し上げます。

ということでこれからも頑張りますので、応援よろしくお願いします。

あ、それとなんですが、感想をお待ちしています、はい。

不評でもいいので……感想がもらえれば励みになりますし、その意見はとても参考になりますので、よろしくお願いいたします。

 スープを飲み終えて、器を近くにある机の上に置く。

 目の前のエルフの青年は一体誰なのだろう。

 甲斐甲斐しく動けない俺の世話をしてくれているが、誰なのか、ここがどこなのかも分からない。

 きょろきょろとしていると、エルフの青年と目が合った。


 「今は安静にしてて、ちょっと体が魔素によって侵されているから」


 そう言って、優しい手つきでベッドへと寝かされる。

 今はそんなまったりとしているわけにはいかない。

 無理やり体を起こそうとするが、エルフの青年がそれを許さなかった。


 「だから、動いちゃだめだよ」


 またも、ベッドに倒される。

 確かに万全ということではないが、もうすでに動けるまでには回復していると思う。

 そのことを伝えても彼からのOKは出なかった。


 「そういえば、まだ僕のこと話していなかったね。僕はイールっていうんだ、君は、えーっと」

 「トワだ。スミヤマトワ」

 「トワか、いい名前だね。トワは勇者なんだよね?」

 「いや、勇者というわけではない」


 詳しくは話せないので、話せるところだけかいつまんで話す。

 イールは横で果物の皮をはぎながら話を聞いていた。

 話していて少し喉が渇いてくる。何か飲み物はないだろうか。


 「はい、どうぞ」

 「何で喉が渇いているって分かったんだ?」

 「長年生きているからね。経験で分かるんだよ」


 このエルフの青年は若い見た目をしているが、本当は俺よりもずっと年上なのだろうか。

 エルフは長命種なので、その可能性は高い。

 メルは見た目と年齢は変わらないらしかったが、この青年のように年と見た目が合わないエルフが多いと聞く。

 マールズ王も見た目は十代半ばといわれても不思議ではなかった。

 考えていると、イールが皮をはぎ終わった果物を渡してくれる。

 みかんのような不思議な果物で、感触は思ったよりも固い。

 イールの食べてみろという視線に負けて、齧ってみた。ほんのり甘く、どちらかというとぶどうのような渋みをもった果物だ。

 おいしくないわけではないが、俺の中でのギャップにより不思議に思う。

 イールが口を開く。


 「それは、ここのエルフの森周辺でしか取れない果物だよ。どう?食べてみた感想は?」

 「おいしいよ」

 「それは良かった」


 にこにことこちらが食べているのを確認している。

 なんか食べづらい。

 最後まで食べ終わって、おなかの中が満たされた感じがある。

 そういえば、朝から何も食べていなかった気がする。


 「よし、じゃあ、君が活躍する夜まではまだ時間があるし、ちょっと昔話をしようか」

 「昔話?」

 「そう、昔話さ。君達の起源に関わることだよ、聞いたことないでしょ」


 正確には俺はこの世界の住人ではないが、それは聞いておきたいところだ。

 イールはゆっくりと話し始める。

 エルフと人間族が会合した話を。











 昔昔のその昔、世界にはまだ国という線が引かれていなかった頃。

 森には既に先住民族が暮らしていた。

 それは、今の世でいうエルフという名の種族たち。彼らは自然に従いまた時には自然に立ち向かい生きていた。

 そんな生活をしていた中、ある日世界にはもう一つの知恵を持った生き物が生まれた。

 それはドワーフ。

 どうやって生まれたのか、どのように進化を遂げて今の姿になったのかは、この時のエルフには分からない。

 ただ、今は憎しみあい戦いを続けている種族なのだが、昔はとても仲が良かったということは事実だ。

 一緒に暮らし、足りないところは補いながら暮らしていくなかで、彼らの生活の水準はすごいスピードで上昇し続ける。

 それはドワーフという種族の器用さゆえ、道具を作る技術の進歩が著しかったためだ。

 だが、ここで問題が起きる。

 エルフは長命種ということに対し、ドワーフは短命種だったのだ。

 最初は仲が良かったエルフとドワーフもその互いの価値観の差ゆえに、すれ違ってしまう。

 仲が良かったエルフとドワーフの友人達も仲たがいし、言い争い、喧嘩し、戦争まで発展しそうになった時、彼らは分かれて暮らそうという解決方法を出した。

 それからなのだ、彼らと仲が悪いのは。

 今のエルフはあまり彼らを嫌っているわけではない。だが、ドワーフがエルフを嫌うために同じ行動をしてしまうのだ。

 ドワーフと別れ、またもエルフのみの生活が始まった。それから月日が経ち、この世界にまたも知恵を持つ生命が誕生した。

 それは人間族。

 彼らはドワーフと同じ短命種。最初、エルフはまた同じ過ちを犯すまいと彼ら人間族に接触することは無かった。しかし、彼らの生活はとても苦しく見える。エルフのように森で生きる知識はなく、ドワーフのように器用なわけではない、その数は魔物や自然の脅威によって減らしていった。


 「そこで僕たちは、君達の祖先に知識を与えたんだ」


 エルフから森での暮らしを学び、生きていくための力をつけていく。

 いつしか、人間族とエルフは一緒に暮らしていくまでに仲良くなっていた。

 だが、やはりそれも長くは続かない。

 人間は強欲な生き物だ。彼らは魔法という存在を知ったとき、その力に魅了されてしまった。

 魔法に関しての研究を続け、彼らは天変地異を起こす魔法さえも作り出していく、エルフはそんな彼らを恐ろしい何かに見えてしまったのだろう。彼らとは距離を置こうと考え出した。

 人間族はそんなこともお構いなしに魔法の研究を続けていく。

 そこで人間族は二分化される。

 魔法の研究を続けていく派と、これ以上は研究しない派だ。

 それは魔力の量が多い人と、多くない人が分かれたと言ってもいい。

 研究をしない派はエルフの里を去り、長い旅を続け、ドワーフ、獣人族、そして少人数の着いていったエルフと共存していくこととなる。

 そして、問題は魔法の研究をする派の方だ。

 彼らも森から抜け、平原で国の元となった集落を形成することとなる。

 それが今のマルバーン王国。

 そこに作った集落では、そのときは新しい種族である獣人族とのごたごたなどがあったようだが、それ以外は特にこれと言って何事もなく、平穏に暮らしていた。

 だが、ある日のこと。

 彼ら人間族はエルフの森を占領しようと軍を向けて来た。

 その数、二千もの大軍。

 それに対し、その頃のエルフは今と変わらず多くても千はいかなかった。

 まさかの人間族からの攻撃である。最初の頃は戸惑い、同胞達が次々と殺されていく。


 「それで、エルフはどうなったんだ?」

 「それはね……」


 エルフはこのままでは全滅すると思われた。

 しかし、そこで奇妙なことが起こる。

 ある日のこと、人間族の軍が前線から引いていくのだ。

 あと少しのところでエルフは全滅し、この土地は人間族のものになっていたというのに。彼らは撤退を決めた。とても不自然なタイミングで。

 エルフ達はすぐに疑問を持ち、複数人の密兵を放った。

 結果。


 「人間の国に神様がいたんだって」

 「神様?」

 「そう、神様。複数人密兵を送ったんだけど、帰ってきたのは一人で、その一人も数日後には死んでしまったから、詳しいことはよく分からなかったらしいんだ」


 そこで昔話は終わってしまう。

 そこで、イールは神様っているの?と聞いてきたが、そんな存在がいると聞いたことがない。

 教会はあったが、それは地球にもあるような変わりのない教会だ。

 そう答えると、あまり期待していなかったのか、そっかと話が切られる。

 イールから聞いた昔話は、リヒトの記憶と、クラスメイトが教えてくれたマルバーン王が話してくれた昔話と共通する箇所があり、真実味を帯びていた。

 その昔話の延長戦上の状況に巻き込まれている俺達は、なぜこんなにも争いが絶えない世界となったのかを解明しなくてはいけないのかもしれない。

 特に()()()()()()が現れたという点がすごく引っかかるところだ。


 「さて、伝えたかった話もできたし、君が活躍する時まで眠るといいよ。その時には起こしてあげる」

 「あ、ああ」


 そっと目を瞑る。

 念のために太陽が落ちる頃に起きれるように、生活魔法(目覚まし)を付けておく。

 そして、少しでも体力を回復させるため眠りについた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ