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争いを止めるために

すいません、前の週は投稿できなかったことをお詫びします。

言い訳をさせてもらいますと、何かと周りが騒がしかったといいますか、本当にすいませんでした!!

 ここにきて立ち往生である。

 目の前にいるメフィルという悪魔をどうにかしないといけないが、相手の能力も分からない。


 「どうせ、僕には勝てないんだからさ、まあ、話を聞きなよ」


 メフィルは俺たちを前にして、そこに座る。

 いかにも隙だらけな体勢だが、こいつの後ろに行くことは叶わないだろう。

 今のところは良い案が思いつかない。


 「君たちはなんでそんなに必死になって、他の種族まで救おうとしているんだい?」

 「それは約束したから」

 「約束で命をかけるのか、使命で、命令で、義務で、それが当然だというのかい?」


 語りかけてくるように彼の口からは言葉が溢れている。

 その様子は俺たちに言っているようで、自分に対しても言っているかのようだった。


 「いや、俺は約束はしたが、自分の意思ですると決めた」

 「ああ、意思で決めたか。この世界で決めた意思に何の価値があるんだろうね」


 悔いるように恨むように天を仰ぎ見る。

 体は別の者であるため、中の人はどれくらいの年齢かは分からない。

 だが、俺たちよりは遙かに年上だろうと思えるほど老獪に見えた。

 ちらっと戦いの渦を見る。

 誰かに操られているかのように狂い猛り、血で血を染める状態。

 そんな中で、両軍の司令塔は混乱しているのだろう、今だ収拾がついていない。


 「気になるかい、この戦いが」

 「何でお前らはこんなことをするんだ」

 「それは自分の正義のためだよ」

 「これが正義なものか!!」


 ミアが声を張り上げて答える。

 リーシャもメルもコマチも険しい表情は続く。


 「正義はね、勝った方が得るものなんだよ」

 「例えそうだとしても、その正義に何の意味があるんだ?」

 「そうだね、勇者ではない君達には伝えてもいいかもしれないね。意味、それはね世界の再構築だよ」


 世界の再構築。

 それはまさしく読んで字の如くそういう意味なのだろう。

 しかし、それをすることでどうなるというのか。

 君達もいつか知ることになると思うよ、この世界の醜さを。そう言って、メフィルは魔力を動かした。


 「なっ!?」

 「まずい」


 コマチがいつもとは音色の違う焦った声を出し、その視線は戦場へと向けられる。

 自然と俺達の目線もそちらへと向かった。

 戦場の真ん中で大きな魔方陣が展開されている。


 「これは何事だ!!」

 「こ、これは、何の魔法なんだ?」


 気が狂った兵士を残し、まだ正気が残った兵士達はその魔方陣から逃げるように、自陣へと戻っていく。

 だが、やはり一部は戦うことを止めたりはしない。


 「さあさあ、来ておくれ。仲間よ」


 メフィルの言葉と共に、戦場で溢れている血、臓物、死体、そして争っている兵士のすべてが魔方陣に吸い込まれていった。

 魔方陣が脈動する。

 まるで生きているかのように規則正しい音が響く。

 次に起こったのは強烈な光と音。

 遠くにいたからよかったものの、近くにいたら鼓膜が破れ、網膜が焼かれていたかもしれない。


 ……ああ、ああぁ……


 ……私は、私はぁ……


 ……ようやっと、ここに戻れたのですね……


 光と音が収まったと思ったら、脳に声が響いてくる。

 その声には長年降り積もった恨みが込められており、世界の全てが憎く思えてくるのだ。

 ああ、憎い、憎い、憎い憎い憎いにくいにくいにくいにくにくい……。


 「トワ」


 その声ではっと気がつく。

 コマチが頭を撫でてくれていた。

 仲間達を見ると、彼女達は特にどうともなっていない。

 俺だけだったのだろうか。


 「トワ様、大丈夫でしたか!!」

 「トワさん、大丈夫ですか?」

 「顔が青いぞ、大丈夫かのう」


 「どうも君には聞こえたようだね。彼女の思いが」

 「あれは、なんだったんだ」

 「あれは、僕と同じ末路を辿った一人さ。僕も最初はあんな感じだったんだろうね」


 メフィルが指さす方向を見ると、そこには黒い門が出現しており、その中から一人、生まれたままの状態の女性が出てきていた。

 それも先ほどの斗和と同様、頭を抱えている。

 さっきの声は彼女のものだったのだろうか。


 「もう足止めする必要もなくなったし、これで僕は失礼するね」

 「あ、おい待て!!」


 門から出現した彼女のもとへ飛行しながら向かっていく。

 恐ろしいほどの速度だ。

 俺達もメフィルを追いかける。


 「トワ様、これからどうするのかのう」

 「まずは戦争を止めるのが先決かな」

 「でも、どうするの?」

 「作戦は変わらずダリルに活躍してもらうしかない、お願いできるかダリル」


 今まで恐怖からか声を出せずにいたダリルが、はっとなりこちらを見る。

 唇が青く、顔は病人のそれだ。


 「は、はい、私にやれることは、するつもりです」


 あまり無茶をさせたくはないが、ここに獣人族の宝があることを示すのは戦争を止めることには必要なことだ。そして、交渉の席を設けるところまで持って行けたら上出来だ。

 もしもそれが無理だったとしても、今回は止めることができたらいい。

 すでにメフィルが女性のそばに駆け寄って、ローブを上から被らせていた。

 横には漆黒の騎士がいる。

 そして次の瞬間、メフィルがこちらをちらっと見て微笑み、消えた。

 俺達はメフィル達がいたところに跳躍し、着地する。ここにいる者の注目を集めるため、一人でも多く戦うことから意識を除くため。


 「ここに、獣人族の宝がある!!」

 「姫様!!」

 「ダリル!!」


 獣人族陣営から二つの声が上がる。

 殊更大きな体格で装飾派手派手な獣人と、確かラーマの国のオークション会場で襲ってきたバンとかいうやつだったか。

 共に視線はダリルに向かっている。

 ダリルはダリルでその二人を見つけて笑みを浮かべている。


 「お兄様、お父様……」

 「おい、そこのお前。ダリルを離せよ!!」


 お兄様――バンの方が俺を睨みながらじりじりと近寄ってくる。

 そして、お父様の方は彼より冷静に状況が見えてるのか、槍が届かないぐらいの距離で足を止める。


 「獣人族の王と王子とお見受けする。王女様は戦争を望んでいません、どうか一旦軍を引いてくれませんか?」

 「うるせぇ、早くダリルを離せよ」

 「まあ、待てバン。貴様は何という名か、聞かせてもらえないのかな」

 「俺はトワという者です」


 ここは丁寧に対応しよう、相手は王族、俺の対応の仕方によってはまた戦争が勃発する可能性もある。

 獣人族の王はその立派な髭をさすりながら、考えるそぶりをした。

 一方、王子は殺気を隠す気がない。


 「分かった、こちらが一歩引こう。それで、娘が返してもらえるというのなら」

 「はい、約束通りお返ししましょう。ダリルもそれでいいよな」

 「はい。お兄様もお願いします」


 妹に言われたためか、兄であるバンは王の下まで下がっていく。

 その表情はとても悔しそうに歪められているが。

 そして、両軍攻撃が届かない位置付けとするまでに数十分かかった。

 戦場の真ん中にはテントが設営され、その中には机と向かい合った椅子が3組。

 上手く事が運んだために話し合いまで持っていけたのだ。


 「陛下の代わりに私からお礼を伝えるよ、ありがとう。このまま争いが止らなければ、後ろで守られている者が悲劇に巻き込まれていただろう」


 テントの中で魔術師団長であるシャルから声をかけられる。

 ラーマの国からは王、第一騎士団長、魔術師団長。

 獣人族の国からはこれまた王、王子、そしてさっきまで奴隷だった王女――ダリルがこの話し合いに参加する。

 そして、俺は今回の功績者としてテントの中で話を聞くことになった。

 ミア達はテントの外で待機だ。


 「まずはすまなかった」


 獣人族の王は頭を下げる。

 まさかの獣人族の王の謝罪から話し合いが始まった。


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