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獣人族の宝はどこに?

pv50000達成しました。

これも皆さんのおかげです、ありがとうございます。

週に一回の投稿ですが、張り切って執筆していきますので、応援を何卒よろしくお願いします!


 「帰って来たよ。それでなんだけど、やっぱり獣人族の国と戦争になっちったわ」


 魔術師長はまるで、戦争は起こるべくして起きたかのように告げる。

 その言葉に驚いたのは俺達だけ。

 研究員の人たちも驚きはせず、ただ情報を飲み込む。

 それは獣人であるヘリナも変わらなかった。


 「それでなんだが、人間の国から応援として勇者を派遣してもらうことになった」

 「え、充達が来るのか?」

 「そのとおり、君のお友達が助けに来てくれるらしいよ」


 確かにチートのような能力を持った勇者が戦ったら、勝つ確率はぐんっと上がるだろう。

 だが、なぜか怪しく思う。

 なぜ他種族を嫌う人間族の国が大切な勇者を送り出せるのだろうか。


 「なぜ、勇者が来れるのか気になってる顔だね?」

 「!!」

 「それはね、この国が人間の国とも深い関係にあるからさ。そう、輸出品を止められると困るのさ」

 「なるほどのう、食糧や武器、魔道具など人間の国も他種族が嫌いといいながら、他種族が跋扈するこの国を頼っているということじゃな」

 「そういうこと、だから今回の勇者参戦もすぐ決まった」


 なるほど、確かにそれで断りでもすれば全ての輸出を止められてもおかしくない。

 そうなると飢餓で死ぬ者が多くなり、結果的に国民の反感は国王の方に行きそうだ。


 「この世界でも経済政策が行われているのか」


 以外とこの国にも地球の経済機構と近い考えを持った者がいるのかもしれない。

 それで、話は戻るが今回の獣人の国からの開戦の申し出をなされたわけだが、獣人の国はこのラーマの国と貿易はしていないのだろうか。

 少し気になったために聞いてみる。


 「すみません、獣人の国はラーマの国と貿易はしていないんですか?」

 「それなんだが、獣人の国は人口が一番多く、その上国民全てが農民であり、兵士であるという思想を持っているんだ。だから、国に大切なことは自分達でなんとかするという他人に頼らない生活をしているんだ」

 「だから、戦争できるわけか」

 「そういうことだね、それで人間の国の勇者の参戦なんだが、早くても三日後に来る予定だ。そして、戦争が始まるのが二日後の朝」


 それでは、間に合わないのでは……。


 「それじゃ間に合いません」

 「そこなんだよ、メル君。もし、獣人族が本気で攻めて来たら一日で終わってしまってもおかしくない。そこで、勇者を抑止力として置いておきたいのだが、間に合わない」

 「では、こちらから攻めるというのは?」

 「言い考えだね、ミア君。でもね、この国のお偉いさんは臆病者が多くて攻めないんだ」


 今頃、自分の所の守りを固めているころだろうね。

 と忌々しげに少しだけ顔をしかめる。


 「そこで、この私魔術師長であるシャル・マリンが提案した案が王に採用された」


 そこで、バッと儀礼用のマントをなびかせてこちらを見る。

 なんか嫌な予感しかしないんだが。


 「獣人族の王族の娘がオークションに出された際に、事前にお金を払っていた者がいた」


 実は、オークション開始前に優先的に選ばれるようお金を前渡する制度があり、それに俺は参加していた。

 それはそれは大きな金額を渡したのだが。


 「そして、その者に所有権を与えても良いという、国営オークションからの御用達だ」


 ほうほう、なるほど。

 なんとなくだが、話が見えてきた気がする。

 横を向くと、いち早く理解したリーシャとメルが顔をしかめていた。


 「私は戦争を好まない平和主義者さ。そして、その嫌いな戦争を回避する手段が一つ……獣人の国の宝を返したらいいのさ」


 まあ、そりゃそうだわな。

 それが相手が要求していた事なんだし。

 そして、その獣人族の宝を探すのが――


 「権利者であるトワ君、君なのです」

 「だろうな」


 ここまでくれば、もう俺でも分かった。

 つまり、俺達がこれからやるのはトレジャーハンター、それも期限付きの。

 期限は開戦されるまでの二日間。

 そして、探すのは俺が落札してしまったどこにいるとも知れない獣人族の少女。


 「はっきり言って無理じゃね」

 「二日じゃ難しい」


 コマチも一緒に抗議する。

 それを見た魔術師長――シャルはその言葉を待ってましたと言わんばかりに口角を上げた。


 「それなんだが、ここに世界最高ともいえる魔術師が一人。ここら辺一体を魔法で探すのなんてちょちょいのちょいというわけさ」

 「でも、そんな膨大な魔力はあなたから感じられませんが」

 「確かに、俺にはそんな魔力量はない。だが外付けの魔力タンクを使えば、ほら、万事解決さ」


 そう言って、部屋の隅に設置された緑の液体の入ったタンクを指さした。

 タンクの数は全部で五本。

 大きさとしては大人一人が余裕に入れるぐらいはある。


 「外からの魔力供給はとても非効率的じゃないかのう」

 「それはね、私の体質が役に立つのだよ」


 その名も魔力吸収体質。

 それは、外からの魔力を吸収し続ける体質であり、魔力のコントロールができなければ内に溜まった魔力により、自分の体が自壊するという恐ろしい体質らしい。


 「この体質で結構苦労したけど、まあ、このおかげでこの地位につけたと言っても過言ではないしね」


 その体質は、いわゆる天才を生み出す病気みたいなものだ。

 シャルは説明しながらも、手や足、背中に魔力の供給路を取り付けていく。

 そして、説明が終わるとともにセッティングも終了する。


 「では、久しぶりに行ってみようかな」


 シャルの前に大きな魔法陣が展開される。

 その魔法陣は輝きを増しながら、その上に凹凸を作り出していく。


 「まずは、この国全体にサーチ」

 「これは、ラーマなのか……?」


 魔法陣には様々な建物があり、確かに今いる城が魔法陣の中央に立っている。

 ラーマの国のミニチュアがそこにはあった。


 「うーん、この国にはいなさそうだ、次はもっと拡大してみようか」


 ラーマが小さくなっていき、ラーマの外――草原が見える。

 その中にぽつんと塔らしき建物が見えた。


 「この塔みたいな建物は一体?」


 普通、外にあるのなら魔物により壊されたとしてもおかしくない。

 だが、この魔法陣上で見る限り蔦など植物が生い茂っているが、建物自体は無事だ。


 「その塔かい?その塔はダンジョンだよ……うん?」

 「どうしたんですか?」

 「いやあ、まさかな」


 その塔のようなダンジョンが拡大される。

 そして、そのダンジョンには赤い点が表示されていた。

 シャルはそれを見て、あっちゃーと顔を掻く。


 「まさか、よりによって面倒くさいところに飛ばされているなんてね」

 「え、この点が飛ばされた奴隷達なのか?」


 点は6つ表示されている。

 あのステージに登場した奴隷の数と一致していた。


 「そうだよ。ここはね、必殺のダンジョンと呼ばれているんだ」

 「必殺のダンジョン?」

 「そう、必殺。必ず入ってきた者を殺すダンジョン」


 そこに奴隷達が飛ばされたということは、結構今危ない状況なのでは。

 そう思い、シャルに聞いてみる。


 「実際危ない状況というのは、その通りだろうね。ただ、どうやらセーフティゾーンに運よく入れているらしい。動かないのがその証拠だよ」


 確かに点は固まったまま、動かない。

 点のある位置を見ていると、一つの点が点滅していることに気が付いた。

 点滅が激しくなっていく。


 「なんだか、点滅が激しいんだが、これは一体……」

 「まずいね、奴隷の誰かが死にそうになっている。誰かは分からないがこれはもう助からないね」


 激しい点滅はふっと静かに黒く光を失った。


 「これはできる限り急がないといけない、とても危ないダンジョンなんだが、トワ君行って助けてきてくれるかな?」

 「……」


 無言で仲間達を見る。

 ミア、リーシャ、メル、コマチはそれぞれ斗和が決めていいと言ってくれた。

 ミア達をあまり危険な目に遭わせたくはない、だが、助けられなかった場合は獣人の国との戦争は回避することはできない。

 いや、理由はそれだけではないのかもしれない。

 ほんの一瞬だが、町で見た彼女の顔には悲しみが含まれていた、会ってしまった知ってしまった見てしまった、その命を見殺しにすることは俺にはできそうになさそうだ。

 見殺しにしたら、自分では無くなってしまう、そう思える。



 「行って助けてきます。自分のためにも」








 ~必殺ダンジョン上層(セーフティゾーン)


 「オルガ、おい、オルガ死んじまったのかよ、おい」


 真実の目を持つ男が異国の将軍オルガを負ぶっている。

 オルガは奴隷になりながらも、異国の住民である私達を危険なトラップや魔物から助けてくれた。

 しかし、そのせいでオルガは、もう。


 「せっかくセーフティゾーンを見つけたというのに、お前が死んじまったらダメじゃねえかよ」


 二人の様子を私を合わせた四人が見守る。

 オルガが死んで悲しくないわけがない、短い付き合いであるが、ここまで助けてくれたのだ。

 悲しいに決まっている。

 しかし、私達にはその元気ももう残ってはいないのだ。


 「だ、れか、たすけ……て」


 自分の口から掠れた助けを求める声が聞こえるような気がした。


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