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騙されましたとさ

「旦那!! サラマンダーがカチコミ仕掛けて来てますぜ!!」

「またかよ!? いい加減力関係分かれってんだクソが!!」

「どうすんだ相棒? また消滅寸前まで痛めつけて放置すっか? HAHAHA」

「しかねぇだろ……。ツキ、シエラ、『降魔』頼む」

「はいなの!!」

「任せろ!」


 ……ったく、何が仕事はない。だよ。

 毎日のように各属性の精霊が謀反起こしてきやがるぞ畜生。

 特にサラマンダーなんか、四大の席だけでも譲れって何度も押しかけてきやがるし。

 他の精霊みたく一度やられたら懲りろ。マジで。


「というか、当たり前のように精霊と殴り合って勝つってヤバいっすよ、旦那」

「精霊の攻撃を当たり前に無効化できる奴やデバフかけまくれる奴に攻撃が通る奴がヤバイだけだろ、実際」

「平然と使いこなしてるのが異常と言いますか……」


 結局ロキの代行の話は受けた。……世界を壊したくなかったからな。

 ロキは、すぐ戻りますよ。なんて言っていたが、戦争が短く終わったなんて話を俺は知らないし、ましてや規模も、軍勢も、何もかもが違うような戦争だ。果たしていつ終わる事やら。


「ケイス、ちょっと手を貸すのじゃ」

「麒麟が徒党を組んで攻めて来おった」

「そっちも絶賛襲撃されてんのかよ……。トゥオン派遣するわ」

「えー、あっしもこっちで戦いたいんですけど?」

「サラマンダー相手ならツキとシエラで完封余裕だから向こうの応援行ってくれよ。……頼んだぞ『フェンリル』」


 突如として入ってきたセレナとハウラからの通信は、向こうもこちらと同じように襲撃を受けているという内容で。

 それへの対応は『フェンリル』を派遣するというもの。

 この『降魔』の時に明かされた各武器の所謂『真名』というやつは、その名を持つモノへの絶対命令権が含まれているらしく。

 どんなに嫌がろうと、この名で呼んで頼み込めば、誰しもが断ることが出来ない……らしい。

 今のところ装備たちと、セレナとハウラからしかこの『真名』というのは受け取っていないが、力を見せつければ精霊たちからも献上される……とのこと。

 信頼が足りてないんだとさ。


「わっちが加勢しよか? こっちは(はな)から代行の話が出とったさかい、謀反とかあり得へんし」

「って藤紅が言ってるけどどうする?」

「あまり借りは作りたくはないが……」

「逐一唯一神代行の力を借りるよりは、まだ同じ二天の方が軽いか」


 表情は見えず声色だけなのに、断腸の思いって感じが伝わって来るな。

 そんなに藤紅の力借りるのが嫌か。

 結構あいつの能力便利だから評価高いんだけど。


「能力はいいんですけど使い手が……ねぇ? ところで旦那? 藤紅が加勢するって事はあっしは行かなくて大丈夫ですかい?」

「まぁ、大丈夫だろ。……万が一があったら送るけど」

「ひゃっほい!! じゃあこっちで暴れさせていただきまさぁ!!」


 こっちに居られるってだけで途端に元気になるトゥオン。

 まぁ、いいか。


「夕食までには帰れるように、頑張るか」


 そっちの状況は知りもしねぇし分かりもしねぇが、どうだ? ロキ。

 勝つにしろ負けるにしろ、さっさと戻って来やがれよ。

 勝ったんなら特に褒めずに代行を返上してやるよ。

 逆に負けたらクソほど煽り倒してやるけどな。


「んじゃあまぁ、サラマンダーへの躾と行きますか」


 それぞれの装備たちに、戦闘を行う事を意思表示し。

 俺は、シエラと。ツキと。

 『降魔』によって、重なるのだった。

最後までお付き合いいただき、ありがとうございました!!


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