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穴熊に入らずんばもう出るな

お久しゅうございます、白米でございます。


ひさびさに駄文を更新したいと思い、こうして筆を執るつもりでキーボードをたたいております。


さて、今回のお話は白米がまだ純粋無垢な十代だった頃の、なんとも切実なお話しでございます。



当時、白米は十台半ばで眼鏡も肩こりもドライアイも無縁の健康体でございました。


我が地元は海辺の田舎町で、よく夕暮れの灯台に一人たたずみ、


「この海の先に、たくさんの人がいる。自分はこれから都会に出て、たくさんの人と出会って見解を広げ、きっと立派な人間になるんだ。こんな田舎はさっさと出ていくのだ」


と拳を握っておりました。


※実際にどんな大人に成ったのかは降瀬氏が詳しく説明してくれることでしょう。端的に言いますと、ろくでもない大人になりました。髭も濃いです。


と、そんな将来に想いを馳せて旧帝国海軍の零戦乗りのごとく眼光鋭くしていた白米でございますが、目下最大の問題定義として、「おっぱいはどんな感触なのだろう」というものがありました。


日々、朝起きて制服に着替え、鞄をもって学校へと向かう道すがら、あいさつを交わす級友たち。男子も女子も入り混じって狭い通学路を歩くうち、ふらりと爽やかな風が吹くことがございます。


前を歩く女子生徒の制服が気まぐれにはためき、不意になんというか、その、えっと、視線に飛び込んでくる乳周りが気になる。


おそらく男子であれば誰もが経験したことがあるアハ体験です。


しかし何分、田舎の男子学生でございますので、小洒落た誘い文句で女子を誘い出し、甘言を弄して交際の権利を得るなど到底できないことでございます。


それはタヌキに向かって「プロ野球選手になれ」と言うくらい無謀なのでございます。


しかし、そこは若さと熱い血潮が迸る田舎坊主。なんとかして女子の懐に接近し、警察の世話になることなく乳周りの詳細な観察をしてみたい、と足りない頭をひねらせておりました。


白米が日ごろから付き合いがありました二人の男友達と、日々夜の公園に集まっての乳会議。一体どうすれば、あのふくらみに近づけるのだろうか。


頭を抱えていた我々三人の前に、絶好の機会が訪れました。


林間学校でございます。


宿舎はもちろん男女別でございますが、交際関係中の男女などは夜にこっそりと抜け出し、夜の森で星空を見上げながら語り合うといった風習があると先輩から聞かされておりました。


となれば、どこかで必ず隙が生まれるはず。


この機を逃す手はない、と我々は鼻息を荒くしました。


というのも、そういったイベント事では男子も女子も気分が高揚し、普段は女子から路傍の石コロの如き扱いを受けている我らでも会話くらいはできるチャンスができそうだったからです。


千載一遇とはこのこと、なんとしても必殺の誘い文句で我が欲望を叶えたし。


そこで、三日三晩のたうちまわって考え出した口説き文句を引っ提げて、白米は意気揚々と林間学校へと向かいました。


夕飯はみんなでライスカレーを食し、しばしのリラックスタイム。


そのとき、一人の女子がケガをしたということで、同じ班であり尚且つどう見ても暇そうな白米に、「休憩所へ連れていけ」との命令が下りました。


ケガをした女子を仮にAさんとしましょう。


Aさんは色白の軟式女子テニス部員で、活発そうな瞳が魅力的な少女でした。普段から白米とも多少は会話の機会をもってくれる、ナイチンゲールの如き性格をしております。


そんなAさんはケガをして弱っている。しかも、休憩所までは二人きり。


相手の弱みに付け込むにはここしかない。


その時、白米の目は鷹のようにするどかったことでしょう。


Aさんの付き添いで二人歩き出したのは夜の七時。ランプの類は最低限しかなく、足元をしっかり見なければ不安定でございます。


ただでさえケガをして弱気になっているAさんは、暗い足元をじっと見つめて歩いております。


その横顔は、どこか儚げでありました。


ごくり、と生唾を飲み込む音が響きます。もちろん下手人は白米です。


長く続いた沈黙を破ったのはAさんの方でございました。


「ね、なんか喋って」


来た! ここや! ワイの仕事や!


白米は脳内の金庫を開け、厳選に厳選を重ねた口説き文句が書かれた紙を取り出しました。


そしておもむろに、うやうやしく、しかし確かな情熱を持ってこう言いました。


「俺が揉むとオッパイおっきくなるよ」


イエス! 噛まなかった! 完璧! パーペキですミサトさん!!


白米的計画では、


白米「俺が揉むとオッパイおっきくなるよ」

        ↓

A女史「えっ、本当? うーん、そっかぁ……」

        ↓

白米「どうしたの? 悩み事?」

        ↓

A女史「うっ、ううん! いいんだ……こんなこと、恥ずかしいし……」

        ↓

白米「なんだよ、言ってみないとわかんないよ。話を聞くぐらいはできるよ?」

        ↓

A女史「はぁ……もう、そんなこと言われたら頼りたくなっちゃうよ……」

        ↓

白米「そう思ってくれるの、嬉しいよ」

        ↓

A女史「……じゃ、じゃあ言うね……? 私、その……おっぱい、小さくて……」

        ↓

白米「……ふふっ」

        ↓

A女史「あぁーーっ!! 笑うのひどいよぉーー!!」

        ↓

白米「あぁ、ごめんごめん……でもさ、ほら、さっき言ったと思うけど」

        ↓

A女史「…………あっ///」


と、上記のようなヘッポコフローチャートがあるはずだったのですが、実際には


A女史「は?」


で終了と相成りまして、なんというか、その、えっと、嫌われたというか、えっと、その





おしまい


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