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第十九話(Potassium):宗教

ラボでは、柚紀たちが水力発電所の建設を進めていた。メガネは、ベアリングやモーターなど、金属加工を中心に水車のパーツを製作していた。水車本体は木製にする予定であり、サーモンとスカーレットは柚紀の設計図を元に木材を加工していた。


「……サーモンは農業に詳しいから、植物の性質にも詳しい。それにスカーレットは木材の研究をしていたから、木材加工はお手の物のはずだ。」


柚紀は、彼らの適材適所な働きぶりに感心していた。


ラボ近くの小川に水車を設置し、水力発電所が完成した。電力の安定供給が始まったことで、柚紀たちは次の計画を練り始めた。また、ラボには大型のバッテリーを備え、電力供給のさらなる安定化を図った。


「……今後の科学の発展のためには、科学教育が必須だ。そのためには、宗教との交渉が必要になる。」


柚紀は、この異世界における宗教の重要性を認識していた。


「……この世界の人々は、神を第一に考えている。科学は、それを揺るがす学問だ。だからこそ、宗教とは交渉しておかなければならない。」


柚紀は、エルムヴィレッジの教会に向かい、司祭と話に行くことにした。


エルムヴィレッジの教会は、豪華絢爛な建物であり、宗教の権力の強さを示していた。柚紀は、少し緊張しながら教会の扉を叩いた。


教会の司祭、ディアモスは、柚紀を温かく迎え入れた。彼は、権力に溺れることなく、優しさに溢れているようだった。


「……あなたが、この電球を発明された方ですね。素晴らしい発明です。私たちも、教会で使わせていただいています。」


ディアモスは、柚紀の発明を称賛した。


「……ありがとうございます。」


柚紀は、ディアモスの言葉に感謝した。


「……単刀直入に伺いますが、あなたはどこから来たのですか?」


ディアモスの言葉に、柚紀は息を呑んだ。まるで、彼の心が読まれているかのように感じた。


「……私は、地球という場所から来ました。」


柚紀は、覚悟を決め、真実を打ち明けた。


ディアモスは、柚紀の言葉に驚きながらも、どこか納得した様子だった。


「……やはり、そうでしたか。私たちの宗教には、地球という星や電球、それにこの世界より進んだ文明があると伝わっています。」


ディアモスの言葉に、柚紀は驚きを隠せなかった。


「……地球について、何か知っているのですか?」


柚紀は、ディアモスに尋ねた。


「……私たちの宗教では、地球は神々が住まう聖地とされています。そして、地球から来た人々は、私たちに知識や技術を授けてくれる存在だと伝えられています。」


柚紀は、その言葉を聞いてほっとした気持ちになったが、神という言葉に引っかかった。


「......私たち地球人は神ではありません。科学という学問の支えの下で、発展した技術や知識を持つ、人類です。科学というのは、物質や物の動き、動植物を観察して、確実な真実を突き詰める学問です。」


しばらくディアモスと会話を交わしていたが、彼の言葉に、柚紀は考えを巡らせた。この異世界の宗教は、地球との繋がりを知っているのかもしれない。


「……私は、あなたたちに知識や技術を授けたいと思っています。そして、この世界を科学の力で発展させたいと思っています。」


柚紀は、ディアモスに自分の目的を伝えた。


「……それは、素晴らしいことです。私たちは、あなたの知識と技術を必要としています。ぜひ、私たちに協力してください。」


ディアモスは、柚紀の申し出を快く受け入れた。


「……ありがとうございます。これから、よろしくお願いします。」


柚紀は、ディアモスと固く握手をした。こうして、柚紀は宗教との交渉に成功し、科学教育への道を開いた。

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