第58話 布石
「召喚されるのは『見習い天使メイド』が2体! まず1体目、『シルバートレイの運び手』のところへ【継承】召喚!」
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『見習い天使メイド(悪魔の屋敷)』
分類:領主 レア度:C コスト:白1 タイプ:天使、メイド
攻撃力1⇒4/防御力1
【隠密】(new!)
【メイド】の【領主】1体を+0/+1
【継承(メイド)】継承した【領主】を+0/+2
【継承(メイド)】デッキからランダムに1枚手札に加える。(new!)
【継承(メイド)】継承した【領主】を+1/+0、【隠密】を付与。(new!)
【継承(メイド)】【領主】1体を対象とし、1のダメージを与える。(new!)
【継承(メイド)】継承した【領主】を+2/+0(new!)
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『悪魔の屋敷』に召喚され、その不気味な雰囲気に困惑気味の『見習い天使メイド』。例の如くその姿は『見習いメイド』と同じ姿であり、そこへ天使の輪と翼が追加された形である。そして、彼女のカード説明文を目にしたクロマは思う。
(せ、説明分がなげぇ!? クソッ、ぶっちゃけアタシ、初見でこれ以上長いのはちょっと……)
何度も【継承】を重ねた代償(?)と言うべきだろうか、その能力を把握できなくなってきたようである。クロマとしても予測していた事ではあったが、全てが初見の文章でこれはなかなかに辛いものがあった。
「召喚時能力を処理していくぜ? まずは予め宣言しておくが、【領主】の防御力を1上げる能力は2体目の『見習い天使メイド』に使う。2体目の防御力アップも同様だ」
「お、おう。大丈夫、まだ付いていけてる……!」
「……? 次にデッキからランダムに1枚ドロー、【領主】1体を対象とするダメージは……『喜悦のスパイダーキッズ』、そいつに当てさせてもらうぜ」
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『喜悦のスパイダーキッズ』 防御力1⇒0 破壊
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為す術なく破壊される喜悦スパキッズ。しかも、それを悲しむ暇もなく、次の【領主】が召喚される。
「2体目の召喚先は『悪魔のメイド志望者』だ。『メイド養成教室』で【継承】を行う為、更に攻防値プラス1の強化が入る」
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『見習い天使メイド(メイド養成教室)』
分類:領主 レア度:C コスト:白1 タイプ:天使、メイド
攻撃力1⇒3/防御力1⇒4
【メイド】の【領主】1体を+0/+1
【継承(メイド)】継承した【領主】を+0/+2
【継承(メイド)】継承した【領主】を+1/+0(new!)
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「すっごくスッキリして見える不思議!」
「えっ?」
「ううん、こっちの話!」
「……【継承】はニューって書かれているところが召喚時に発動したと考えれば、多少は分かりやすいぜ?」
「普通にバレてる!?」
結果、グラサンは気を遣った。
「ともあれ、これでお前さんの陣地はまた更地状態だ。そして次のターンには、使用枚数制限の枷がそっちにも――いや、これを使ったからには、やっぱでけぇのが居るのか。俺はこれでターンエンドする」
「何か色々な意味で察せられている気がするけど、アタシのターン!」
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6ターン目 【戦場】『粘着質な蜘蛛地獄』
クロマ ライフポイント20 手札2
『蜘蛛の狩り場レベル2(緑2)』=『空』
『慟哭蜘蛛の巣レベル2(無1)』=『空』
『青の領土レベル2(青2)』=『空』
『慟哭蜘蛛の巣レベル1(なし)』=『空』
グラサン ライフポイント12 手札4
『悪魔の屋敷レベル3(黒3)』=『見習い天使メイド(4/1)』
『天使の屋敷レベル2(白2)』=『悪魔のメイド教育係(3/2)』
『メイド養成教室レベル1(なし)』=『見習い天使メイド(3/4)』
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「すっかり序盤と立場が逆転しちまったね。けどグラサン、まだ油断はしてくれるなよ?」
「ああ、勝つまで油断はしてやらんさ。止めの時まで全力で倒して行ってやる」
「良いね、流石だ! ドロー! レベル1の『慟哭蜘蛛の巣』をレベルアップ!」
「ん? 『青の領土』じゃなくて、そっちをか?」
無色の【税】しか生み出さず、戦闘で成長をする事ができる『慟哭蜘蛛の巣』、わざわざそちらをレベルアップさせた意図が分からず、グラサンが間違っていないかの確認をする。
「別に間違ってねぇよ。全ては次のカードの為の布石だ。っと、レベルアップ時の追加ドローもするぜ」
「なら良いが……一体何をするつもりだ?」
「こうするつもりなのさ! アタシは緑3青2無2――要は全部の【税】を放出し、『勇躍のアラクネ』を『青の領土』に召喚するッ!」
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『勇躍のアラクネ』
分類:領主 レア度:SR コスト:緑2青2無3 タイプ:蜘蛛
攻撃力6/防御力7
この【領主】は自陣に【蜘蛛】の名を冠する【領土】が3つ以上ないと召喚できない。
【領主】が置かれていないそれら【領土】に『勇躍のハイスパイダー』を召喚する。
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その瞬間、蜘蛛の巣が花火のように空へと打ち上がり、更にそこから何者かが落下してきた。現れたのは蜘蛛、しかし頭となる部分に人の上半身を生やした美少女だった。
「アラクネ……へえ、名がスパイダーじゃない【領主】は初めてじゃないか?」
「ああ、それだけ特別なカードって事だ。『勇躍のアラクネ』はアタシの【領土】に『蜘蛛』の名前が付くものが3つ以上ないと、たとえ【税】が足りていたとしても召喚する事ができない。けど、今のアタシは『蜘蛛の狩り場』、そして『慟哭蜘蛛の巣』を2つ所持している状態にある!」
クロマがそんな説明している最中にも『勇躍のアラクネ』は動き出し、【蜘蛛】の【領土】に繭のような糸を放出していた。どうやらそれらは卵だったようで、直後にその繭の中より銀色に輝く蜘蛛達が出現する。
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『勇躍のハイスパイダー』
分類:領主 レア度:SR コスト:緑1青1 タイプ:蜘蛛
攻撃力X/防御力X
この【領主】の攻撃力と防御力は【領土】のレベルの値となる。
戦闘で相手【領主】を倒した際、自陣の『勇躍のアラクネ』を+2/+2
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「攻防値がエックス? いや、能力によって数値が左右されるのか……!」
だからこそ、『慟哭蜘蛛の巣』の【領土】をレベルアップしたのだと、グラサンは瞬間的に悟る。
「その通り! で、こうなる訳さ!」
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『勇躍のハイスパイダー(蜘蛛の狩り場)』 攻防値X⇒3
『勇躍のハイスパイダー(慟哭蜘蛛の巣)』 攻防値X⇒2
『勇躍のハイスパイダー(慟哭蜘蛛の巣)』 攻防値X⇒2
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「ったく、そこそこの強さの奴らが一気に並びやがったな……!」
と、言葉こそ面倒そうにしているグラサンだが、その表情は喜びに満ち溢れていた。




