表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黒眼のカードマスター ~無頼漢の成り上がり~  作者: 迷井豆腐
レベル2 悠久平原ノービスプレイン
36/328

第36話 ごちそうさま

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『カエル森の悪夢』

分類:領主 レア度:レア コスト:緑3無5 タイプ:トード

攻撃力8/防御力6

【跳躍】【突撃】(new!)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 闇より出でる巨体、それはキングトードのそれよりも更に大きく、最早怪獣と呼べるレベルにまで成長し切った漆黒の巨大ガエルであった。攻撃力がキングトードの倍にまで至り、防御力も僅かながらに強化されている。【門番】を無視する【跳躍】、また『トードの次なる王』で得た【突撃】も備えており、この巨体が縦横無尽に飛び跳ねる無慈悲な構成となっている。新たに召喚された扱いである為に、【凍結】という鎖からも解き放たれ、いつでも攻撃が可能な状態だ。この頼もしき援軍を得たフミタオシは、さぞ悦に浸っている事だろう。


「……」


 いや、悦に浸るどころか、何とも言えない顔になっていた。


「おお、巨大なカエル肉……!」


 むしろ敵である筈のシラスの方が、キラキラと目を輝かせている。そんな2人の様子を見ていたグラサンは、酒を片手に妙に納得した様子のようで。


「あー……確かに強力な【領主】だが、この場面では何とも言えない選択かもな」

「あら、グラサンはそう思うのね。その心は?」

「【領土】に空きを作った上で、攻撃可能なでかい【領主】を召喚する。そこまでは良いけどよ、この状況じゃ持ち味を活かせねぇんだよ。【跳躍】と【突撃】の組み合わせが悪いっつうの? カードマスターに直接攻撃ができる【速攻】なら話が違ったんだが、今の状況だと攻撃先が『氷砕きの料理人』しかねぇ。こいつに攻撃すれば破壊する事はできる。できるんだが、その後がなぁ……」

「フフッ、破壊したところで、また【凍結】状態になっちゃうのよね」


 シラスを配置した『氷の調理場』は、そこに居る【調理人】の【領主】が攻撃された際に、敵を【凍結2】にする効果を有している。自身の攻撃だけでなく、カウンターにも使用可能な厄介な【領土】と言えるだろう。しかしだからと言って、この場面で攻撃を止める訳にはいかない。


「チッ! 召喚した『カエル森の悪夢』で『氷砕きの料理人』を攻撃だ!」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『カエル森の悪夢』 防御力6⇒4 【凍結2】を付与 

『氷砕きの料理人』 防御力2⇒0 破壊

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 そんな宣言の後、グラサンが言っていた通りの状況ができあがる。シラスのフィールドから全ての【領主】を吹き飛ばす事はできた。が、その代償としてフミタオシの【領主】達もまた、全員が【凍結】状態になってしまったのだ。フミタオシは選択できる範囲の中で、確かに最善手を打った。自身のデッキのコンセプトである、コストを踏み倒しての大型召喚も行えた。しかし、それは状況を覆すに至るものではなく、あくまでもその場しのぎに過ぎなかったようだ。


「ああ、私のお気に入りのカードが破壊されてしまいました。ショックです」

「欠片も表情を変えねぇ癖して、よく言うぜぇ~~~……チッ、ターンエンドだ!」

「……? 良いんですか、まだ【税】が残っているようですが? 折角【税】を沢山使える下地があるのに、もったいないです。ノー、フードロス」

「てめ……!」


 残念な事に、使いたくても使えないのである。フミタオシの残る手札2枚はどちらも高コストのもので、たった2の【税】ではコストを補えないのだ。ともあれ、フミタオシのターンが終わった事で【凍結】状態が1減少し、『強制鎮座の保管庫』が氷漬け状態から解除される。但し、残るカエル達は【凍結1】で、未だ凍ったままだ。


「まあ、私の知らないカウンター系のカードがあるかもですし、少し警戒していきましょうか。私のターン、ドローです。『氷の調理場』をレベルアップし、再度ドロー」


 カードを引いた後、シラスの視線が『カエル森の悪夢』の方へと移る。じっとりと、舐め回すように。


「……な、なんだよ?」

「いえ、大きく大きく成長して、そろそろ食べ頃かな、と」

「は?」

「フミタオシさん、何も打つ手がないのであれば、これでゲームが終わるので……その辺、よろしくお願いしますね?」


 そんなシラスの言葉の後、何がだよと聞き返そうとしたフミタオシであったが、彼女の手が止まる事はなかった。


「私が持つ5の【税】全てを使い、呼び出すはこの方――『氷砕きのグルメドラゴン』!」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

『氷砕きのグルメドラゴン』

分類:領主 レア度:R コスト:青3無2 タイプ:ドラゴン、料理人

攻撃力3/防御力3

【凍結】を持つ【領主】を対象とし、フィールド上の【凍結】になっている【領主】の数×2のダメージを与える。この効果で【領主】が破壊された時、その【領主】の攻撃力分のダメージを相手【カードマスター】に与える。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 『氷の調理場』に招かれたのは、鮮やかな水色の鱗と鋭い目を持つ孤高のドラゴン――なのだが、少しばかりでっぷりとした体型をしており、恐怖よりもまずコミカルな印象を受ける。コスト5の割に攻防値はそれほど高くないこのドラゴンであるが、真に恐ろしい点はその能力にあった。


「このドラゴンが召喚された際、【領主】を対象とした能力が発動されます。指定先はもちろん、『カエル森の悪夢』です」

「な、何だ……?」

「この対象とした【領主】に対し、フィールド上に存在する【凍結】した【領主】の数×2のダメージを与えます。現在【凍結】状態にあるのは、貴方の『カエル森のトード』、そして『カエル森の悪夢』の2体――つまり、4のダメージ」


 シラスの『氷砕きのグルメドラゴン』が『カエル森の悪夢』の方へと動き出し、その口を限界まで開け始める。まるで蛇が獲物を丸呑みするが如く、とんでもなく大きな口が悪夢へと迫る。


「4のダメージで『カエル森の悪夢』を破壊、ギリギリでしたね。尤も、無理なら別の手もありましたが」

「ぐうっ!?」


 フミタオシの切り札を丸呑みし、あっけなく倒してしまう『氷砕きのグルメドラゴン』。明らかに自分以上の質量を口にした筈なのだが、不思議な事にまだまだ余裕がありそうだ。そして、当然これで終わりではない。


「ドデカカエル肉を食した事で、次なる効果が発動します。倒した【領主】の攻撃力分のダメージを、相手【カードマスター】へ」

「た、倒した攻撃力分、だと……!? それって、つまり――」

「――8のダメージが貴方に飛びます。言ったじゃないですか、何も対抗手段がないのであれば、これで仕舞いだって」


 御馳走を口にして、満足そうに腹をさする『氷砕きのグルメドラゴン』。さあ、料理の礼をしよう。そう言わんばかりに、今度はフミタオシの方へと向き直る。大きく息を吸い込み、何かを口から放出しようとする動作――それは正にブレスの予兆であり、フミタオシに残された最後の時間でもあった。


「8のダメージ、これもまた結構痛そうですね。それで、何かしますか? まあ、このカードゲームは相手のターンに何かをするような構成ではありませんが、一応伺っておきます」

「あ、あっ、あああっ……!」

「……そうですか。では、ごちそうさまです。やはり、少ししょっぱかったですね」


 直後に放出される氷の息吹。その直撃を受けたフミタオシは、悲鳴を上げる事もできなかった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

フミタオシ ライフポイン8⇒0

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ