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美術館に残された人々の解放が、再開される。今回は、古の勇者の解放も決まった。
「楽しみだなー! ご先祖様、どんな人だろう!」
縁のある勇者にも連絡が送られ、俺と女神と同行することになった。
「いい人だといいな。いや、きっとそう。そしたらみんなで遊びに行こう。二人にも早く会いたい、そのために時間をたっぷり空けてきたんだから」
休日気分だった。
「古の魔王、コレクターはあなたたちが退治したんでしょ。それ以上はもういないって。
でも、よく退治できたよね。新顔のあなたは、何者? ……え、本物の女神様?」
勇者は、恐る恐る尋ねる。
「あの、遊びに行くところ、どこでも構わないかな? お気に召すといいんだけど……」
変に恭しい勇者に、必死に誤解を解く女神が面白かったが、俺のせいだと恨みがましい視線が怖かった。
順調に人々が解放されていき、古の勇者の番は最後に回ってきた。女神の魔法によって、ショーケースが消える。
表情から憂いが消えた代わりに、辺りを見回す古の勇者は、困惑している。
「いったい、何が……?」
簡単に事情を説明していく。
「あいつは、コレクターは?」
話を遮るほど、何より重要なようだった。女神によって誰にも魔法をかけられなくなり、捕まって連れて行かれたと言った。
「そんなことができるなら、いっそのこと……」
こんなことをされたのだから、死を望んでもおかしくない。しかし、どうすべきか判断するのは時間がかかるだろう。
「コレクターをわかっていない。……いや、無理もないか……」
目を伏せる古の勇者に、事情を聞いた。
「コレクターが何者なのか、私も詳しくはわからない。生かしておいてはいけない存在、それだけは間違いない……」
古の勇者は、震えていた。
静かな部屋に移動して、落ち着くまで休憩してもらった。
「私と、似てる」
古の勇者は、勇者を見て言った。
「うん。悪魔と天使の混血」
「辛くない?」
「辛い? どうして?」
「悪魔と天使、どちらでもないから、どちらにも居場所がない。憎しみ合う両者から、私はいじめられたから。両者の争いは終わったの?」
「争うなんて、そんなこと。みんな一様に、力を持って生まれた私を、心配してばかりで……」
勇者は、申し訳なさそうだった。
「そんな日が来るなんて、夢みたい。今のことを知りたいな」
無理に話を聞くより、その方がいいかもしれない。




