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 女神と二人で美術館を訪れた。


 ショーケースに封印された人々に、女神は言葉を失った。


「……できる限りやってみます。彼らを助けられないか、調べましょう」


 女神の前には、二つのショーケースが並んでいる。一つには、歩く初老の紳士がいる。もう一つには、おすわりして紳士を見上げるイヌがいる。


 女神は、ショーケースを魔法で調べた。


「……非常に難解で強力、かつ特殊な魔法がかけられています。この魔法をとくには、普通なら三つの方法があります。その内の二つは、魔法のとき方を複雑に絡んだ紐のほどき方に例えると、地道にほどいていくか、力づくで断ち切るかです。

 地道にほどくのは厄介です。ほどき方を一度間違えれば最初から、しかも毎回ほどき方が変わる。気が遠くなるような時間がかかります。

 力づくは、より困難だと思います。魔法に込められた魔力より多くの魔力さえ用意できれば、私でなくても今すぐ断ち切れるはずです。しかし、いったいどれほどの魔力を使ったのか、底が見えません」


 だったら、三つ目に賭けるしかない。


「この魔法をかけた魔法使いに関係しています。

 どんな魔法も、魔法使いの手を離れれば、時間が経つほど形を保てなくなります。光を放つ魔法をかけた魔石が、魔力がまだ残っているのに光を失ってしまうように。その劣化が、まったくありません。

 魔法使い本人に話を聞きたいところですが……」


 その本人に会いに行った。


 自らをもショーケースに封印した古の魔王。


「彼をどうにかする、それが三つ目です。この魔法をとくには、そうしなければならない。しかしそうするには、この魔法をとかなければならない。自らの自由と引き換えに、完成している魔法です」


 では、どうしようもないのか。


 女神の目は、過去へと向けられている。


「恐ろしい魔法使いに会うほど、私の主がどれだけ恐ろしい人だったのか、思い知らされます。

 普通の人なら、地道にほどくには気が遠くなるほどの時間がかかっても、私は普通ではありません。私なら、今日中にでも、ここにいるすべての人々を解放できます」


 今日中に。やはり女神は女神だった。


 勝手に魔法を解除するわけにはいかないので、考古学者に連絡を取ってみることにした。



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