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聖女も魔法の才能がある。魔法は習得していないが、魔力の操作はできる。
「私も何か協力できるといいんだけど……」
魔力操作の成果を出せない俺の力になれないか、聖女は悩んだ。俺のことは気にしないでほしいが、そういうわけにはいかないらしい。
「一緒に悩みたい。これからはそうするって決めた」
聖女は強情だった。
聖女の悩みは何かあるだろうか。一緒に悩むのならお互い様だ。
「私の悩み……。たくさんあるけど、今は何の分野を専攻するかかな」
それなら、それをみんなで探すのはどうだろうか。その方が多くの情報を集められる。
聖女は、なるほどと納得しかけたが、ハッと気づいて俺を睨んだ。
「それって、私のためにみんなに苦労をかけるよね。危ない、隙があったらすぐ甘やかそうとする」
おそらく誰も苦労だと思わない。聖女を甘やかすには工夫が必要になったと、侍女に報告しておこう。
学園の専攻科目には、モンスターに関する分野がある。そのため学園では、モンスターが飼育されている。
かつて人類の脅威だったモンスターに対抗するため、人類はモンスターを使役してともに戦った。モンスターを使役する人を、モンスター使いと呼ぶ。戦闘だけでなく、労働力として重宝されたモンスター使いの技術と知識は、魔法が発達した今も受け継がれている。
人類の最初の友とされる、クーシーという種類のモンスターと触れ合った。オオカミに似ているが騎乗できるほど大型のモンスターだ。
人懐っこいクーシーは、特に聖女を気に入ったらしい。仰向けになってお腹をさらけ出し、撫でられたがっている。
「もっふもふ!」
聖女は、クーシーに抱きついてわしゃわしゃした。
人間相手には距離がある聖女も、モンスター相手には違うようだ。モンスターと関わる分野が向いているのかもしれない。




