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「学園にお願いしたんです。聖女様を外出させたいと」
聖女もそこまでの話は知っていたようだ。
「それがどうして勇者様への依頼に?」
「警護が二人では心もとないと手を回したそうで。まさか天空の竜の方々に引き受けてもらえるなんて、学園も気合を入れたみたいです」
「そんな大ごとにしなくても……」
学園も聖女の現状に思うところがあるのかもしれない。
出発の日、付き添いの人を俺が出迎えた。他の誰でもない勇者その人だった。
「あなたは……」
勇者は驚いた。俺を覚えていたようだ。
「女神の鉄球って、あなたのことだよね? 一度お礼を言わないといけないと思っていて」
お礼とは何のことだろう。
「オートマチックキャッスルで倒したドーターが、魂の迷宮に現れて冒険者を襲っていたと、帰ってきてから知った。女神の鉄球という新鋭の冒険者が解決したと聞いて、あなたしかいないと思った。
ありがとう、私が対処しなければならなかったのに」
それは、俺ではなく女神のおかげだ。
「どういうこと?」
女神について簡単に説明した。
「あなたの中に女神が。そんな不思議な運命に生きているなんて、なんだかおとぎ話の人みたい」
勇者こそ、そんなイメージの人だ。
「私なんてただの人間、って言えないか。ご先祖さまのおかげでありがたいけど、ちょっと大変でもある」
生まれ持った力のせいで苦労もしたのだろう。
同じく苦悩する聖女に引き合わせた。聖女の容姿にも気にする素振りを見せず、勇者は優しく微笑んだ。
「初めまして、聖女様」
聖女は緊張している。
「初めまして、勇者様」
「会えて嬉しい。同じ年頃の女の子が頑張っていると噂に聞いていて、勝手に心強いと思っていたから」
「わ、私も」
「本当? ばかぢからの変な人だ怖い、って思ってない?」
「そんなこと思うわけない!」
「本当かなぁ。嘘だろうなぁ。どうせ私なんて、みんな怖がって離れていくんだ……くすん……」
「本当だから! 何でみんな私をからかうの!?」
「何でだろう、そうしたくなるんだよね」
仲良くなれそうで何よりだ。




