世界一周〜ケット・シーの国キャットレイ②〜
「よし、場所がわかった……けど」
「うん。よく分かるよ、言いたいこと。」
「巫女さん……」
「巫女にゃんこちゃん……」
「「何で国境の町で遊んでるの?」」
「ふぇ?何でって言われても……楽しいから?」
「いやいやいやいや、答えに……なって……いるのか……?」
「落ち着いてくださいシルマ様!全然答えになってないですから!」
案の定国境の町にいたのでシデア、ケトゥサ、テリプ、メイラープを連れて駆けつけた俺達だったが、意外!巫女に抜擢されたニャトラーちゃん十五歳は、なんと!
国境の町で子供たちと遊んでいたのである………
「何故っすか?何故遊んでたんすか?俺にはわかんないっす……」
「うん……ニャトラーちゃん、どうして子供たちと遊んでいたの?」
「だって……
誰かと遊んだの……あの子以外にいなくて………」
「それって、影武者の?」
「うん……ほとんど同い年の子に会えなくて………」
『…………………』
「泣けるで……」
「ほとんど誰にも会えないなんて……」
「なんと過酷な………」
「どっちも可哀想だよ………」
「辛かったすね……寂しかったんすねぇ……!」
全員、その状況に涙した。
「ううん。もう時間も稼げないし……最後にこの子達や、あなた達のような優しい人たちにあえてよかったよ!」
「………!………コォ……!」
「ぅ………ぅ………!」
「なんて……なんていい子なの………!」
「こんな……こんな可愛い女の子に、なんて仕打ちなのですか……!」
「うおおん!こんないい人なのにいぃ!」
全員、号泣である。通行人が何事かと見ようが、ニャトラーちゃんが慌てているが、気付かずに泣き続けていた……特に年の近いメイラープは。
「ごめんな、突然来てぼろぼろ泣いてしまって。どうしても、な………」
「いえいえ……みなさんお優しいってことが、分かりましたから!」
「いいんですよ?素直にはっきり言ってもらって。私らは赤の他人ですし。」
「いやいや!私本当に、皆さんの……優しさが……すっごく……っ!」
「うん、うん……泣いていいんだよ、大丈夫だからね……」
今度はニャトラーちゃんが泣いている。それを慰めるケトゥサ。いい子だ、ほんとに。どっちも。
「シルマさん……どうします?これ……聞けますかね……?」
「どうたろうな……」
まあ、こっちだってただ連れ戻しに来たわけでも、このまま帰るわけでもなかった。
けどなぁ……今はなぁ……聞けるような場面じゃねーし……
ま、落ち着こう。時間はまだある。
「もう、大丈夫です。皆さん、私に聞きたいことがあるんですよね?」
「まぁ……聞かせてもらえるなら、だな。無理やり話してもらう、なんてことはない。
その上で聞く。儀式は、何をするんだ?それをすることで、あなたに何が起こる?」
「皆さんは、ご先祖様の霊をのために儀式を行うと聞いていると思います。でも、本当は……ある厄災を、封印するための儀式なんです。」
「厄災……?」
「はい。その名も、ムシュフシュ……あらゆる毒で、この大陸に生きる者達を苦しめてきた、邪神の眷属です。」
ここで邪神が出てくるのか……そして眷属とな。
「私達ケット・シーもまた、ムシュフシュによって、窮地に追い込まれていました。
そんな中、たった一人で立ち向かった勇敢な女性がいました。
その人こそ、初代巫女ニャシロ様です。」
ふむふむ、なるほど。
「初代巫女様は、とてつもなく強かったんです。ムシュフシュの攻撃を躱して躱して、魔法を打ち込んで打ち込んで。あっという間に追い込んで、とどめを刺し……たら、どれほど良かったんですかね……。
……ムシュフシュの不意打ちを食らって、初代巫女様は倒されてしまいます……」
苦し紛れか、それとも作戦だったのか………。
「しかし、最後の力を振り絞って、初代巫女様は、ムシュフシュを封印し、そのまま、息を引き取りました……。
それから、魔法の才能を持つ女の子を、巫女として育てて、結界を強化する。その儀式が、今尚、続いているんです。その命すら、使い果たしてでも……」
儀式の真実。それを聞いて、俺は思った。
先祖の霊のためというのも、あながち間違いではないな、と。
初代巫女を始めとする、歴代の巫女たちと同じく、自分の住んでいた町を、国を、そして世界を守る。
それが、先祖の霊のためというのも、あながち間違いではないと。俺は思った。
……しかし。同じことを続けるだけでは、何も変わらない。
「よく分かった。儀式は、どこでやるんだ?」
「初代巫女様最期の地。地図で言うと……この島です。」
「住んでいる人は?」
「管理のために、兵士さん達がいるぐらいで、住民は…………。」
ならば、やることは1つ。
「その島に、行くか。」
「うん!」「もちろんだよ!」
「御意!」「了解っす!」
「えっ、えっ!ま、まさかムシュフシュをやっつけると言うんですか?!」
「そうだが、何か?」
「無茶ですよ!いくら皆さんが強くても、それだけは……!皆さんが、死ぬの、嫌ですよ……!」
「優しいな、ニャトラーちゃんは。」
「そんなこと……」
「いいや、優しい。自分が死ぬっていうのに、他の誰かを優先する………そうそう出来ないさ、そんなこと。
でも、それと同じぐらい………俺達は、君に生きていてほしい。もっともっと、生きることを、楽しんでほしいんだ。」
みんなが、頷く。
「みん、な………」
「私達を、頼ってよ!私達が、どうにかするから。ね!」
「皆さん……私を……。助けて、ください……っ!」
「もちろんだ。」
「もうそろそろ、か。」
そろそろ、封印が解ける。
「シルマ。準備できたぞ。」
「兵士の皆さんの避難、完了したと、報告を受けました。」
「スタンバイオーケー、いつでもどうぞ!」
5、
4、
3、
2、
1ー
「ガァシャシャシャシャァァァオオオ!!」
「レイドバトル、開始だ」
ムシュフシュVS、シークル・メイナ遠征軍ー
レディ、ファイッ!!
ムシュフシュ
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テュポーン第7の眷属。
「破滅の複合魔獣」、「邪悪なる猛毒魔獣」の異名を持ち、かつて樹海の大陸を恐怖に陥れた邪神が最後に送り込んだ眷属。
真龍と同じく規格外の存在。
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