聖剣
(まったく……無茶なことしおって)
「いや!お前が上がってこいとかいうから、上がってきただけだよ!!」
「誰と話してるの?ユウキさん」
「イグナイルとだよ。あ、そうかリゼには聞こえなかったんだな」
「羨ましいです!ドラゴンさんとお話できるなんて!」
好奇心旺盛なのはいいけど、リゼは少し行き過ぎてる。興味のあることはすぐにその真相を知りたくなるのはわかる。俺も小さい頃は何故これはこうなるのか?とか、よく考えるからな。
「まぁ、いつか話せるだろ」
(なんじゃ、その適当な返しは。それと、ドラゴンとは契約したドラゴンナイトとしか話せん事わかってるだろう?)
こういうのは夢を持たせておくんだよ。いくら無謀な事でも、他人からそれはできるって言われれば本当にできる気がするだろ?できる気な?できるじゃなくて。
(お主の性格はクズだということはわかった)
いや!俺優しいだろ!?現実を教えずに夢を与える!頭の中お花畑のやつなら結構使えるぜ?
(………もう何も言わん)
「諦めちゃダメだぞ!リゼ!いつかドラゴンと話せる日はくる!」
「はい!!」
あ、今になって罪悪感が………ま、いっか!
急な罪悪感が俺を襲ってきたが、俺のいつものなんとかなるだろう精神で乗り切る。
しかし、あの洞窟を抜けてから災難ばっかりだ。
もっと落ち着いた異世界ライフを歩み出そうって時に、こんなに目立っちまったらのんびり異世界ライフができねぇ……
アイクを倒してしまった以上、俺の存在はミルバーナ王国に行き渡るだろう。そうなってしまえば、俺は追いかけ回される存在に!!想像しただけで嫌だ。
ま、イグナイル使って遠くに飛んでいけば良いんだけどね。
(その提案は少し無理がある)
なんで?
(我も使い魔の存在。空を飛ぶのには体力と魔力が少し必要になる。故にずっと飛び続けることはできない)
なんで飛ぶのに魔力がいるんだよ!!飛ぶだけに魔力必要ねぇだろ!翼があるだろ翼!!お前の翼は飾りか!!
(わかっておらんのお主は。ドラゴンとは元々トカゲだった存在。それを神が魔力を使って翼を生やしたのだ。この翼には少なくとも魔力がある)
そんなの知らん!
「どうしたんですか?さっきからすごく険しい顔してますけど」
「あぁ!ごめんごめん。少し考え事をしていたんだ」
「そうですか。さっき言ってた目的って何なんですか?」
「目的?アランの剣を抜きに行くんだよ」
「えぇ!?英雄アランの剣を!?争いの地に突き刺さったままの誰も抜けない剣を!?」
耳が痛い………
この子の声めちゃくちゃ頭に響くよ。イグナイル今ならお前の気持ちも理解できそうだ。
「そうだ。あの剣を抜きに行くんだ。俺ならできると思ってな」
(抜ける。と言ったほうが良いだろう)
そうだな。俺の中にはアランの意思があるから必然的に抜けると思う。
その剣を抜けはまた争いが始まるとか勘弁してくれよ……。争うごとは嫌いだ。
「でも、ユウキさんならできるかもしれませんね」
「お前、全然本気で言ってないだろ……」
「だって今まで誰も抜けなかったんですよ!抜けるはずないじゃないですか!」
残念ながら俺はできる。この世界の歴史をひっくり返してしまうかもしれないな。
今のうちに謝罪しておこう。
「ごめんなリゼ。俺は今日歴史を覆すよ」
「何で謝るんですか!てか、しれっと凄いこと言いましたよ!?」
あと200キロのドラゴンの旅、存分に楽しもうかな。




