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飛躍

  イグナイルが何処かへ行ってしまった以上、歩いてこの森を抜け出すしかない。

  あのちょろゴンめ………俺を一人森の中へ置いていきやがって。リゼを乗せてムフフしてんだろうな。

  英雄の加護で走るのはやくできる能力を発動できるかな?

 

 

 《英雄の加護・脚力増加レッグストレンジゲイン



  お!いけた!おぉ!!脚に力がどんどん漲ってくる!!



「よーし!!すぐに追いついてやる!」



  俺は地面を強く蹴り出して、風を切り走り出した。

  草木は俺のあまりの速さに大きく揺れる。

  俺もあまりの速さに身体がついていけず、下半身だけが前に出てる状態で今走ってる。


  あぁぁぁ!!上半身がちぎれるぅぅ!!!



「ぶべらぁぁぁ!!」



  風の加護を受けていないイグナイルに乗った時と同じように、顔が風で押し潰されそうになるが、ここでそうなっては木にぶつかってしまう。


  一旦止まろう。



「っ!?ふぅ………」



  うん、死ぬところだった。危ねぇ上半身がミシミシって変な音なってたよ。

  もう一個風除けの能力付けてもらおうかな。

  行けるか?



 《英雄の加護はその場の適正能力一つに限られる。複数の使用はできない》



  ………………歩くか。



 ※

 


  森を歩き続けて30分ほど経ったか………

 先が見えない森を歩き続けるの精神的にくるぜ……

  てかこの森広すぎ!!彷徨いの森って名前をつけてやろう。



「はぁ………」


(ぬ!終わったかユウキよ)


「あ!!おいお前!」



  突然話しかけられた声の主は、俺の使い魔ちょろゴンのイグナイルだ。

  なんだよ、遠くにいても話せるんじゃん。

  じゃあ今までずっと俺の声を聞いて何も反応しなかったってことか!!



(特に言うことはなかったからな。で、終わったのか?今どの辺にいるのだ?)



  どの辺って言われてもな………森の中には違いねぇけど、イグナイル探せるのか?俺の居場所。



(簡単じゃ。お主から感じられる波動を読み取れば場所なんぞ簡単にわかる)



  おい…………波動読み取れるんかい!!



「じゃあはやく迎えに来てくれ……この森にはもう飽きたぜ」


(少し待っておれ)



  最初からこの方法を使っとけばよかった…

 俺は後悔しつつも、いい運動になったと何処かで納得している自分もいてることに少し驚いた。

  前世ではありえないな……少し、この世界を楽しんでるってことかな。

  でも、この世界で絶対に死なないとは限らないから少しは用心するけど俺の能力というより、英雄の加護がチート級に強いから多分死ぬことはないと思うけど。



「こんな加護知られたら、全世界から狙われそう」



  俺は自分が全世界の勇者たちから追いかけられているところを想像してしまい。身震いをする。

  いかんいかん。ここは平穏に生きていかないとな。無理に目立つ必要はない……………あれ?お嬢様どうしよう…お嬢様がいる時点で、いつかはミルバーナ王国に戻らないといけない日が来てしまうのは必然だ。

  そん時はそん時で何とかなるか!!

  気持ちの切り替えが早い俺は、リゼのことは一度目的を果たしてから考えることにした。



(ユウキ!今お主の上にいるぞ)


「ユウキさん!!」



  空から掛けられた声の方へ向けるとイグナイルとリゼが手を振っていた。



「ん?お!!さぁ降りて来てくれ!」


(何言っとる。お主が上がってくるんだ。我はこの森にはでかすぎて入らないと言ったであろう)


「別に少しくらい、森破壊したっていいじゃん!」


(我は勇者の使い魔だぞ?森を破壊してしまえば、森たちが可哀想だ)



  別にそこまで考えなくても。ていうか理由になってねぇ……

  変なところあるからな………はぁ面倒くせぇな。また英雄の加護使うか。



 《英雄加護・超跳(ハイパースプリング)



  声が聞こえた瞬間、俺は腰を下ろし足に力を入れた。

  そして、一気にジャンプした。それはイグナイルたちを悠々と超えていってしまう。

  跳びすぎちゃった。



(ほぉーよく跳んでるのぉ)


「ですね」


「いや!そんなこと言ってないで俺の落下地点に早く来て!!跳んでも落ちたら意味ないから!」



  おーい……俺死んじゃうよ?

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