ダークメイザード
ダークメイザードという名乗りを聞いた忍は彼女にこう指摘する。
「姉さんの遺伝子を採取するのは容易だろうけど、その名前は自分が悪役だといっているような物だよ」
「クローンは本来闇の存在、だから『闇のメイザード』を名乗った」
「なるほど、一応理由は考えてはいるんだね。色々センスが悪いけど」
「総統閣下のセンスなど、下等な民族に分かりはしない」
それを聞いた忍は、あることを思い出したのでそれをぶっちゃけた。
「そういやヒトラーは画家を志望していたけど全く売れなかったんだっけ?」
「ふん。高名な画家といえど本当の美術は分からんということだ」
「彼の絵は今見たらどう評価されるのか……画家としての彼の評価は見直すべきかもしれないけど」
「今では悪名高い独裁者だ。何しろ負ければ賊軍の世界だ。お前たちとてそれは同じだろう」
「ナチスはユダヤ人を弾圧したけど、日本人にはそれを救った人も居る。一緒にしないでよ」
そんな忍にダークメイザードは返す。
「イスラム国にその理屈が通じなかったのはお前も知っているだろう?」
「元より日本的な宗教観はイスラム教と水と油だ。マヨネーズのようにはなれても、基本は相いれない」
「それも所詮は理屈の話だ。現に彼らは日本人を『十字軍』と見なした」
それには忍も呆れたような反応をした。
「そこはもう、いい迷惑としかいえないよ。日本でキリスト教徒は少数派なんだから」
「ふん。そういい返すしかない辺り、そのことはやはり知っていたようだな」
「知っていてとぼけるよりはましだと思うけど?」
ちなみにこの間も忍とダークメイザードは戦っていた。
ダークメイザードは杖で戦っていた。
マジカルロッドは形状変化が可能といえどオリジナルたる神奈がマジカルロッドを使っておらず、
どんな武器が適正か分からないのでやむをえない措置だろう。
また彼女は魔法全般の扱いに長け、決まった属性は持たなかった。
ゆえに杖が妥当だと思われた部分もあるだろう。
「行くよ、メイザードブレイク!」
忍は上空から剣を振り下ろす。だがそれはロッドで受け止められる。
ロッドは剣の力で切られたが、ダークメイザードは意に即さない。
「食らえ、ダークネスサンダー!」
切れた杖、ちょうど切れ目の部分から雷が放たれる。
そのまま忍は吹っ飛んでいくが、杖は火花を散らし完全に破損した。
「やむをえない。ここは撤退する」
そういってダークメイザードはいずこかへと飛び立っていった。
それを見た理香子は呟いた。
「忍は無事なのかな……」




