個別戦闘と集団戦闘
「ともかく、今はUFOよりもネオナチスだな」
そんな忍に理香子は応えた。
「そうね。でも気を張り詰めすぎても魔力は上手く使えない。こういうのも大事よ」
「ネオナチスの連中はこういう会話はしてないんだろうか?」
すると頌子がそれに答える。
「年相応の少女だし、やっては居るんじゃないの?訓練は私達以上にやっていると思うけど」
「そりゃ、本気で世界征服しようって連中だしな。相応の訓練はしているはずだ」
「それでも訓練が長ければ勝てるわけじゃない、そうよね?」
頌子は冷静だが、これは事実に即している。
魔法は精神力が元なので、精神の状態にも左右されるのだ。
よって訓練による力量差も場合によっては覆されることがあるからだ。
「だが、彼らもヒトラーへの忠誠心が厚い。一昔前の北朝鮮の人民解放軍のようにな」
そんな忍に理香子が返す。
「実際彼はドイツ国民の支持を集めて独裁を行ったんだし、カリスマは高い」
「ネオナチスの精神力はそこから来ている可能性が大いにあるわ」
それに頌子も同意する。
「そうね。それに彼らは統率されている。こっちは個人がバラバラで動いていて纏まりがない」
だが、そこに忍は反論する。
「マニュアル通りの動きしかできないなら、付け入る隙はある。現に頌子もそれを突いたはず」
それに頌子はいい返す。
「確かにそうだけど、あの時は一対一だった。恐らく多対多の戦いは相手の方が上よ」
忍はそれに頷く。
「その点は同意だ。こっちとしては引き離しての各個撃破を狙いたいとこだな」
「まあ、集団は引き離されたら脆くなる。単独でも強くない限りはね」
「単独でも強かったのはレジストールくらいだが、そいつもバリアーを割られて敗れた」
確かに、と頌子は返す。
「彼の魔力は強大だった。マジカルロッドがあったとしても、一対一では勝てなかったかもしれないわ」
「まあそんな前提はどうでもいいだろ。あいつはもうこの世に居ないんだしな」
「ええ。神奈の攻撃でバリアが割れてそのまま道路に追突して死亡。遺体も残ったから間違いない」
無論、と頌子は続ける。
「心臓を打ち抜いただろうヒトラーはともかく、彼はショック死だから脳も無事ではないはずだしね」
「仮に脳が無事だったとしてもあの後放置されて、その後荼毘に付されたからな」
忍も彼が生きていないことについては同意した。
「けど彼の意志は生きているかもしれない。ニューデイズはバラバラになったけどね」
「混乱したところを魔法使いに倒されて捕縛されたり、戦闘機に撃たれて死んだ奴がほとんどだがな」




