それぞれの戦い方
「ラジオ?まさか、それで戦うつもり?」
そんな頌子に、ちひろはいう。
「あのラジオはそれなりに大きいから、大丈夫よ」
「でも、勝手に使っていいのかしら」
形成したラジオを元に戻すのは難しいわけではない。
魔法で形成した物体は魔力が切れると元に戻る。
無論形成したことによる影響は戻らないが、
どんな変化をさせようと問題は無い。
ただし、手元を離れたラジオは戻った際に地面へと叩きつけられてしまう。
神奈達は電線やビルよりもさらに上の、
それこそ肉眼では確認しにくい高度で戦っていた。
何故魔法少女の戦いが分かったかというと、
その光景が気象衛星に映りこんだためである。
2022年にもなると気象衛星のレベルは高く、
地上の動きを把握するまでは無くても雲の細部は分かるようになっていた。
そんな状況で神奈達が戦っていたので、
その時の記録がしっかりと残っていたのだ。
それはともかく、そんな高度からラジオが落ちたら大変だ。
かといって落としたラジオを回収するだけの魔力はない。
「マジカルガイストは倒した時どうなっていたっけ」
そんなちひろに、神奈は返す。
「確か木っ端みじんに爆発していたわよ。巻き添えの無い規模だし機密保持ね」
「ラジオはどうせ放棄されるんだし、何個もあるから大丈夫よ」
ちひろはそういうが、頌子は納得いかないようだ。
「どうかな……いずれにしてもやらないといけないことがあるわよ」
「校長先生に聞かないと、だっけ?」
そんなちひろは校長室へと向かう。
そこから帰ってくると、うれしそうな表情だった。
「OKがでたわよ」
「まあ、どうせ廃棄するんだしそれよりは一発何かしたいってわけね」
物騒な神奈に頌子は突っ込む。
「それは違う気がするわよ。というか物騒ね」
「そういうイメージよ」
そんな神奈に今度はちひろが突っ込んだ。
「どんなイメージよ、それ」
「イメージはイメージよ。それ以上でも以下でもないわ」
「文法的にそのいい方は間違っているしね」
ちひろの冷静な返しに神奈は補足する。
「まああれは監督の癖みたいな物だし」
「その監督の苗字からなんとか語っていわれるくらいには独特だったわね」
そういえば、という感じのちひろに頌子は頷く。
「ああいういい回しって何で難しいんだろう」
「日常会話っぽさを出したい、っていってたけどあれは日常でもいわないわ」
神奈はその分かりにくさに評価をくだしていた。
「あれで会話が成立するんだから、あの世界の人々は凄いと思うわ」
「ギャル語みたいな物じゃないかな、頌子」
「ギャル語はないわよ、ちひろ。あれは特殊すぎるから」
ギャル語は正直何がなんだか分からない言葉だ。
もはやあそこまで行くと言葉というより暗号だ。
まあ世の中には暗号としか思えない言葉も少なくない。
それだけでなくヘンテコな言葉もあったりする。
エロ漫画を手掛ける作者の名前が付けられた言語がそれである。
「ギャル語ね。あれはギャルの自由さが生きているのかしら」
神奈の推測があっているかどうかは別として、
ギャルといわれる人々は不良といわれる人々と通じるところがある。
いわゆるアウトローで、世の中へ反発する。
未成年ながら煙草を吸ったりすることだってあったりする。
まあ最近のギャルは煙草を吸うことは少なくなってきたし、
そもそもそういうのはいわゆるステレオタイプになってきている。
実際には真面目なギャルだっているし、
ファッション不良といわれる人間もいる。
犯罪行為やそれに準ずることをしない限り、
ファッションや信条は自由だと思う。
中にはカルト宗教へと嵌ってしまう人が居るが、
そういう問題は政府が解決する問題だ。
一個人でそういうのに立ち向かうというのは、
はっきりいって無謀だと断言しても問題ない。




