第八話:新たな出逢いと、夜霧の予兆
ご覧いただきありがとうございます!第2章の開幕となる第8話です。
街での生活に慣れてきた葵と航平の前に、駆け込んできた一人の錬金術師の少女・エレナ。
濃くなる『夜霧』の脅威と、倒れた師匠を救うための緊急ミッションが動き出します。
新しい仲間との出会い、そして世界の謎に一歩踏み出す二人をぜひ応援していただけたら嬉しいです!
初仕事を終えてから数日。
私たちは『アルテミシア』での生活に少しずつ慣れ始めていた。
朝はバルトさんの焼く香ばしいパンを食べ、日中はギルドで小規模な依頼をこなし、夜はふたつの月を眺めながら二人で語り合う。
そんな穏やかな日常に、新しい風が吹いたのはある日の午後だった。
「すみません! どなたか薬草の知識に詳しい方はいらっしゃいませんか!?」
ギルドの扉が勢いよく開かれ、駆け込んできたのは大きなリュックを背負った少女だった。
栗色のショートヘアに、職人風の革のエプロン。
息を荒らげながら周りを見渡している。
「どうしたの、エレナ? そんなに慌てて」
受付のサラさんが声をかける。
エレナと呼ばれた少女は、悲痛な面持ちで叫んだ。
「西の森の近くで『夜霧』が濃くなってるんです! 採取に向かったうちの親方が、霧の毒に当てられて動けなくなっちゃって……! 浄化効果のある『月光草』の生息地を知っている人が必要なの!」
「月光草……それなら、さっき依頼で調べていた草だわ」
思わず声をあげると、エレナが弾かれたようにこちらを振り返った。
「本当ですか!? お願いです、案内してください! 親方を助けたいんです!」
航平と目を合わせる、言葉は要らなかった。
航平は力強く頷き、エレナに向かって歩み出た。
「行こう、エレナさん。俺たちも手伝うよ」
「ありがとうございます……っ!」
エレナは『アルテミシア』で錬金術師の工房を営んでいるらしく、親方は彼女の師匠だという。
街の西門を抜け、私たちは『夜霧』が漂う森林地帯へと急いだ。
先日の草原とは異なり、森の入口には黒く濁った霧が重く垂れ込めている。
肌を刺すような冷気と、不気味な静寂。
「気をつけて、葵。加護を展開するよ」
「うん、いつでもいける」
航平の腕に金色の光【不撓の誓盾】が宿り、私と航平を結ぶ銀色の糸【連理の星糸】が柔らかく輝き出す。
その光が周囲に広がると、二人を包むように透明な力場が形成され、不快な夜霧の毒気を弾き返した。
「すごい……! 霧の毒を完全に無効化してる……!?」
エレナが目を見開いて驚く。
「二人なら、絶対に大丈夫」
航平の手の温もりを感じながら、私たちは親方を救うため、そして『夜霧』の蠢く不気味な森の奥へと足を踏み入れた。
第8話までお読みいただき、本当にありがとうございました!
新キャラの錬金術師・エレナちゃんが登場し、物語は新たな局面へ!
二人の絆の力【番の加護】が、夜霧の毒気すら跳ね返すという頼もしさを見せてくれました。
無事にエレナちゃんの親方を救い出すことができるのか……!?




