結ばれる世界線
無理なのかもしれない。
昨日まであんなに浮かれていた自分をバカらしく思う。
何が、結婚できるかな?だよ。
付き合うとかデートとか、そんなもう想してた自分が恥ずかしい。
捨てられたチョコを見た時にもう、一生仲よくするなんて無理なんだって分かった。話すことさえできないかもしれない。
そりゃそうだよね。わたしのせいでビンタとかされたりしたのに、好きになってくれるわけないよね。
悲しくなってきた。わたしにとって結婚するのも、付き合うのも、一生の内ではじめ君としか経験したくない。手をつなぐのも、デートもはじめ君としかしたくない。
わたしにとってはじめ君は全てだ。
もしも、はじめ君に彼女ができたりしたら、わたしはどうなるんだろう。考えるだけでイヤな気持ちになる。
はじめ君にとっても、わたしが一生の内でただ1人の彼女であってほしい。結婚するのもわたしだけがいい。
けど、無理なんだろうな。今の関係で、わたしとはじめ君が両想いになる未来が見えない。
「綾香大丈夫?昨日からご飯食べてないし、今日は体調悪くて学校休んでるけど、、、」
お母さんが心配そうにわたしを見る。
お母さんには言えない。あんなに手伝ってくれたチョコが捨てられたなんて絶対言えない。
「うん、大丈夫。ちょっと体調悪いだけだから。明日から学校も行くから、、、」
「そう、、、何かあったら言いなさい。お母さんなんでも話聞くから」
お父さんが社長の仕事でいそがしいので、家にはお母さんしかいない。1人で家のことをしてくれてるお母さんには心配させたくない。
お母さんだけには迷わくかけられない。
そんな思いで、わたしは今ギリギリで生きている。
「綾香〜、舞ちゃん来てくれたわよ」
お母さんの声が遠くから聞こえる。
舞が休んでるわたしを心配して、来てくれたんだ。
けど、舞にも合わせる顔がない。
コンコン
「綾香、入るよー」
舞がわたしの部屋を開ける
舞の顔を見ると、泣いてしまった
「どうしたのそんなに泣いて。わたし心配したんだから」
「舞〜。ごめんね、本当にごめんね〜」
泣きながら舞にだきつく。
「なにがあったのよ。昨日のチョコのことでなにかあったの?」
今のわたしには舞しかいない。舞に昨日チョコが捨てられていたことを話した。
「さいってー。本当に一ノ瀬ってクズだよね」
舞が怒っている。本気で怒っている時の顔だ
「けど綾香、本当にごめんね。一ノ瀬をわたしがビンタしたことも原因だろうし」
「ううん。舞のせいじゃないよ。昨日のとこ関係なくずっとはじめ君はわたしのこと嫌ってるし」
「もうさ、あんな男のこと忘れたら?」
「え?」
「だって、綾香にはもっといい男いるよ。社長の娘とか関係なく、こんなにかわいくて、性格いい女の子だったら誰でも選べるよ」
意味ない。意味ないんだよそれじゃ。他の男の人なんてどうでもいい。わたしにははじめ君しかいない。
「無理だよ。わたしははじめ君しか選ぶつもりないし」
「うーん。あんな男のどこがいいんだか」
「けど、今のままじゃ綾香と一ノ瀬が付き合うとか無理だよね。世界中の男でたった1人じゃない?綾香のこと嫌ってる人」
そんなこと言われたら悲しくなる。1番好きな人が、1番好きになってくれないなんて
「だよね。あきらめるしかないのかな、、、」
わたしは、はじめ君としか結婚したくない。
それが、わたしにとって人生最高の幸せだ。けど、はじめ君が幸せになってくれることも、わたしにとって最高の幸せでもある。
はじめ君にとっての幸せが、わたしとの結婚じゃないとしたら、それを受け入れないといけないのかな?
「どうしたらいいんだろう、、、」
「今はさ、一ノ瀬と関わるのをやめた方がいいよ。一ノ瀬がクズだからとかじゃなくて、2人のために今は関わらない方がいいと思う」
舞が真剣な顔でわたしに話す。
「そうだよね」
「それにさ、本当に運命で結ばれてるなら、いつか絶対に2人が交わる時は来るよ。」
「うん、、、あきらめるかどうかも色々考える」
舞のおかげで、立ち直ることができた。
それからのわたしは、はじめ君のことを考えると悲しくなるから、必死に考えないようにした。
勉強もがんばったし、スポーツもがんばった。その結果、友だちもたくさんできた。いろんな子がわたしと仲よくしたいと言ってくれた。
周りの子がわたしを頼ってくれたり、仲よくしてくれるのがうれしかった。
5年生になっても、6年生になっても、はじめ君と私が話すことも関わることもなかった。
好きな思いはずっと変わらなかった。けど、段々と諦める気持ちも芽生えてきた。どんなにがんばっても、彼は私のとこを見てくれることは無い。
私が彼に関わらないことが、彼の幸せにつながるなら、私は陰から彼の幸せを願うだけにしよう。
そんな気持ちに移り変わっていた。
けど、もう一度だけ彼と話したい。最後に仲直りできるチャンスがあるのなら謝りたい。
可能性が0.1%だとしても、最後にもう一度話したい。
恋人になりたいなんて言わない。また、あの時のように仲良くしたい。友だちにもどりたい。本当にそれだけ。
私は最後に、小学校の卒業式の日にはじめ君に謝ることを決意した。そして、もう一度友だちとして関係を始めることが出来たらいいな、、、
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