ギョルイと発光体
テンペストはギョルイである。
ギョルイであるが、森に棲んでいる。
なるべく黒く、暗い道を選んで、大きな目玉を転がしながら、ギョルイはいつも森を徘徊していた。
「ギョルイッ! ギョルイッ!」
本来ギョルイ界に住む物なので歩きにくそうに、しかしすね毛のいっぱい生えた太い足を逞しく動かしてテンペストは歩き回る。
それを木の陰に隠れてこむが見ていた。
こむは目を小さくしてぷるぷると震えていた。
こむは虫の囁くほどの小さな声で呟いた。
(あのギョルイ、怖いんだよ。おまわりさんか警備員さんがやっつけてくれないかな)
そこへタイミングよく、コラがやって来た。
コラは関節のすべてが鋭く尖っている何かの発光体であり、仕事は森の警備員である。
(よしっ! やっつけろ)
こむが手を合わせてそう小声で命令すると、コラは手を挙げ、テンペストに言った。
「そちら異常はないか?」
テンペストは答えて、言った。
「ギョルッ! ギョルルルッ!」
コラは言った。
「よし。じゃあ引き続き頼むよ」
テンペストは答えて、言った。
「ギョッルーッ! ギョルッ! ギョルッ! ギョルッ!」
こむは激しく反省した。
警備員任せにしていたことを。
コラなんかに期待していたことを。
いつか力をつけて、自分の力であのこわいギョルイを退治してやる。
そう心に誓いながら、アイスクリームを買いに行った。




