第38話 弱者の流儀
「政宗に正面から挑んで、これだけ戦えるなんて……結構やるじゃないか……。」
生徒会長が半ば感心するように、その小振りな口を動かした。
生徒会の連中は吊り上げた眉尻をそのままに食い入るような視線を俺たちに向けていた。
あの取り分け かしましかった一条院も、粗野な言葉を吐く高頭も、皆 口を噤んで注目している。
連中のあまりに真剣な顔付きに、対面際から注がれていた侮蔑の眼差しが今は心なしか薄らいでいるような気さえする。……
「……でも、キミの本質はそうじゃないだろ……?」
はしなくも耳が拾った呟きに、不意に視線を流してしまった!
「……戦いの最中に気を逸らすとは、愚かっ!」
俺の刹那の隙を見逃さなかった六波羅は、握った両拳の先端を灰色の地面に触れさせた。
六波羅の巨体が残像を作り、必殺の“ぶちかまし”が放たれるっ!
轟然と床を踏み抜き、その巨躯が目にも止まらぬ速さで突進してくる。
俺は首から下を急旋回し、視線の先に立つ生徒会長の元へと疾駆した。
着崩す着物を身にまとう女性の背後へと素早く回り込み、華奢な首元に腕を回し抱き寄せる。肉感湛える細身の肢体を後ろからガッチリ抱えて拘束した。
ふわりとゆるふわの髪が舞い上がり、気品ある甘い香りが俺の鼻腔に充満する。
……ふわぁぁ。良い匂い…………じゃないっっ!
一瞬、桃源郷へと誘われそうになるのをブンブンと頭を振って、現実へと踏み止まった。
俺の向かった先へ進行方向をすぐさま修正し、猛突進で迫り来る巨大な羆。
しかし、俺と羆の間には妖麗な美女の肉の盾。
「「「「「「「 !!! 」」」」」」」
超速の肉達磨が緊急停止するっ。
六波羅含め生徒会の連中に雷火の速さで動揺が走る。
「貴様ぁっ! 何のつもりだぁっっ!!」
鬼気迫る形相で大男が荒々しく吼えた。
「てぇんめぇー、パイセンに何してやがんだぁっ!!」
「きゃぁぁ――! 紫園様に、なんて不埒な真似をっ! 痴漢ですわ――!」
「会長っっ!!」
「あ、あ――っ!」
怒号と悲鳴の混声が鼓膜を猛打した。
同時に最大級の侮蔑を乗せた鋭い目付きが次々と俺に襲い来る。
濃度を増した軽蔑の空気が再び周囲を包み込んだ。
「か、会長を盾に取るなんて、なんて愚劣な。これは明確な反則行為っ。緑岡、あの無法者に“敗け”を言い渡しなさいっ。」
表情を何一つ変えなかった麻黄が切れ長の瞳を見開いて強く言い放つ。
その言葉を受け審判である緑岡が声を張り上げた。
「パンツマスクさんの反則行為により、反則ま……」
「――――問題なしっっ!!」
即座に判定を塗り潰す大音声が抱きかかえた腕の中から発せられた。
生徒会長のひと声に、慌てふためいていた連中が一斉に動きを止める。
ふぅ、と息を吐いた会長が落ち着き払った静かな声音でその場にいる皆へと言った。
「ボクは言ったよね? 戦闘の続行不能、もしくは降参したら負けとするって。
確か、こうも言ったはずだよ。“禁じ手は無し”だって……。」
奴らは一様に苦虫を噛み潰したような顔をして、一歩前へと乗り出した半身を元へと戻した。
「さぁ、パンツマスクくん。それに政宗。そう言うことだから、存分に続きをやっちゃっておくれ!
ほら、緑岡。続きの合図だよっ。」
ヒリつく余韻を切るように生徒会長は、おどける笑みを皆へと見せた。
「には。……やっぱり、キミはそう言う人間なんだね。ボクの見込んだ通りだ。」
??? その言葉の意図を図りかねていると、総毛立つほどの殺気が俺の全身を猛襲した。
しなやかな肉体を片腕で抱えたまま、殺気を放出する根源へと目を向ける。
わなわなと小刻みに揺らす巨体の首には、脈打つ血管を浮き上がらせた仁王像にも引けを取らない怒りに歪む鬼面が鎮座していた。口から闘気の霧煙を吐き出して、その噴煙を裂くように血眼が俺に鋭い閃光を放っていた。
「にはは。パンツマスクくん。キミ、後悔しちゃうかもね。政宗は本気を通り越して、激オコみたいだよ。あんな政宗。久々に見るよ。にははは。」
サァーっと血の気が盛大に引く音が。毛穴という毛穴が開き、冷や汗がダラダラ。滴るほど背筋がぐっしょり濡れる。
……だが、これでいい。……これでいい。
「貴様ぁコ○ス。俺を本気で怒らせたなぁコロ○。紫園様を盾にしたばかりかぁ、俺ですら触れることが畏れ多い神聖で清らかなるその御身に、貴様の薄汚ない腕を回すとわぁ○ロス。覚悟は出来ているのだろうなぁコ○ス。貴様みたいなクズはぁ、クソゴミクズはぁ、絶対にぃ、絶対にぃぃぃぃ、生かしておかぬぅブッコロ○!」
ちょっと初めて聞く斬新な語尾なんですけど……。どこの地方の方言ですか?
何やらぶつぶつと呪詛を呪文のように呟いている六波羅は、完全に目がイっちゃっていた!
……よし……、これでいいだろう。準備は全て整った……。
「続行。ファイッ!」
審判から再開戦の合図が下る。
「生殺与奪の権利は返してやろう。すまぬな。無作法な俺を許せ……。」
「え?!」
素性がバレないように大人気アニメで使われた作中のセリフをちと拝借し、盾にした謝罪を生徒会長に囁いた。
僅かに目を大きくした会長を、俺は出来るだけ丁重に横へ突き飛ばした。
「貴様ぁコ○ス! いたいけな紫園様を乱暴に扱うとわぁ○ロス! コロ○! コ○ス! ブッ○ロォォォォォ―――スっ!!」
大気を震撼させる咆哮が夕闇迫る茜空に轟き渡る。
ドスドスと床を踏み砕きながら理性など吹き飛んだ野生の羆が、無敵の盾を手放した俺を目掛けて猛然と進撃してくる。
野生の迫力に当てられて身体がスマホのマナーモードのようにブルブルと震えたが、この感覚を俺は既に経験済みだった。
こんなに激昂するとは予想外だったが、……まるっと全て織り込み済みだ。
六波羅は射程圏内に獲物を捉えると、二本の腕を頭上高く掲げ本当の羆のように立ちはだかった。
その体高は体感4メートルは下らない。正に進○の巨人!!
小刻みに震える肉体を必死に押さえ込み、羆の危険領域へ踏み込んで出会い頭の一発。左の順突きを撃つ。
外敵の侵入に羆の体躯がピクっと反応し、上空から迎撃の剛腕が俺の拳丸を力任せに叩き落とした。
……やはりそうだ。
激情に駆られていても的確に俺の攻撃を捌く……。
あのエグい破壊力の“ぶちかまし”や体捌きからも六波羅が相撲をやっていたことは明白だ。
きっと誠実に相撲と向き合って来たのだろう。
その技と戦い方はしっかりとその身に染み付いてしまっているのだ。冷静さを失っても無意識に対応できるほどに。
六波羅の根幹にあるのは愚直なまでの真面目さだ。
その真面目さはこの僅かな戦闘の中でも遺憾なく発揮されていた。
俺の打撃に真っ直ぐに向き合い、的確な防御法で捌き、その捌き方を実直に繰り返し、最終的に俺の空手技に適応した。
俺の技はもう完璧に見切られたってわけだ……。
ふふっ……。
追い詰められた状況に場違いな失笑が俺の口から漏れ出でる。腹から噴き出しそうになる笑いを噛み殺し、俺は攻撃の手を止めた。
唐突に大きく後方へバックステップして距離を取る。
「???」
だらりと両腕を垂らし脱力するような俺の体勢に面食らった表情をした大羆。
……まだ六波羅は気づいていない。
俺が羆を討ち取るために『三つの罠』を仕掛けていたことに。
一つ目の罠は、空手技しか使わなかったこと―――
俺は六波羅の『正々堂々』に付き合っていた訳ではないが、真正面から空手の技を使って打ち合い続けた。最初からずっと。
俺が空手を使う理由は、単純に“竜宮寺 可憐”が空手使いだったからだ。彼女との“どつき合い”が俺の格闘の原点。そして、その中で身に付けた技が空手の技だったからだ。
俺は元来、空手使いでも何でもない――ただのモブキャラ。“竜宮寺 可憐”より技を盗み独学で培っただけの半端者。言ってしまえば、経験者とは程遠い完全なる素人だ。
にも関わらず俺は初手から空手の技しか使っていない。
こうなる以前に、六波羅は緑岡からの報告で“パンツマスクは空手を使う”という情報を持っていた。
そして、俺が“俺TUEEEEEE”と勘違いしていた時、六波羅は俺の攻撃すべてをその屈強な肉体で受け止めて、直に情報の事実確認を行った。それは、生徒会長の言った『攻撃を真正面から受けて相手の力量を推し量る』からも、そう考えて間違いないだろう。
六波羅はあの時、緑岡の報告で得た事前情報と身体を張ってまで得た実際の確認情報を精査して、俺をこう結論付けたはずだ。
―――パンツマスクは“生粋の空手使い”だと。
だから本気を出した六波羅には、俺の空手技が当たらなくなった。
ある程度、飛んでくる攻撃が予測できれば防御も容易くなる。
六波羅は俺の攻めに対して あらかじめ“空手の技”と断定し、技の性質と軌道を予測して防御していたのだ。
だからといって普通はあれだけ綺麗に捌ききれるモノではないのも事実。
六波羅の元々持っている格闘才能があってのことだろう。
そして、
俺はその後も、頑なに空手技しか使っていない。
例え“俺の空手技が通用しないとわかっていても”だ。
そうすることによって六波羅の中には確信に満ちた思い込み……つまり俺に対する“固定観念”が生まれる。
その”固定観念”は、空手技しか使わない俺を見て…、
予見した通りに飛んでくる俺の打撃を難なく防いでみて…、
結果、空手技が通用せず手も足も出ない俺を見て…、
……より強固に確信を深めて行く。
パンツマスクは“空手技しか使えない奴だ”と。
真面目で実直で信念を持っているヤツほど、その“固定観念”にハマりやすい……。自分の意思では抜け出せなくなるほどに。
その“固定観念”に乗じて、二つ目の罠を張った―――
俺は空手技での攻撃の際に、ある一定のリズムで同じ技を何度も打ち続けた。
フェイントや小技を間に挟んでいたが、ある特定の攻撃パターンを同じように刻んでいた。
人間は無意識のうちに習慣化を行っている。
例えば『朝起きたら顔を洗う、外出する時はドアに鍵をかける』とかがそれだ。
それは無意識下でも自然と行ってしまう。これは人間の脳の特性にある。
人間の脳は実に効率的だ。同じ行動を繰り返し行うと特定パターンの行動を深く考えることなくほぼ自動で実行するようになる。
これは脳の処理能力には限界があり、自動化を行うことにより限られた脳のリソースを他の演算処理に当てる為だ。優秀なヤツほどこの自動化(習慣化)をより多く行っている。
―――俺は六波羅にこの“習慣化”を行った。
六波羅は秀でた格闘才能を持っており、最適を見極め防御する。実にお手本通りに俺の攻撃を捌いてくれた。そして、その打撃に対する適応力もまたしかり。思いの外、早くヤツは適応(自動化=習慣化)してくれた。
お陰でこのズタボロの身体でも何とか壊れる前に事を成せた。
この短時間でも成果は十分。その証拠に、荒ぶる意識の中でさえ、俺の放った順突きを難なく“初見と同じ最適の方法”で防いで見せた。
六波羅は見事に適応し、俺の空手技を喰らわなくなった。
……いや、俺が喰らわなくさせたのだ。
“習慣化”は実に素晴らしい習性だ。ビジネスやスポーツの分野でも実践、応用されているくらいだ。
だが突如 起こる不測の事態には、その無意識下の行動は足枷になる。“固定観念”もまた同じこと。
俺が“空手使い”であると“固定観念”を抱き、防御の“習慣化”をされた六波羅に、もし空手技以外の技を出したならば……一体どうなることだろう?
そしてもうひとつ……だめ押しの三つ目だ―――
人は冷静さを欠いた時、思わぬ判断ミスを犯すもの。
ヤツは『生徒会』に対して理由は定かではないが、強いこだわりを持っていた。普通に考えれば、自分の仲間内に対する仲間意識とか、まぁ、そう言ったところだろう。
姫川が生徒会のことを悪く言った時も、明白地に目の色を変え憤慨していた。
だから俺は、生徒会長を使って六波羅の意識を揺さぶった。目論み通りの激オコプンプン丸だ。
あの精神状態なら、いくら最適な答えを導き出す優秀な頭脳であろうと、悪手を起こし易くなる。
“固定観念”、“習慣化”、“激おこプンプン丸”……
この三つの鍵が揃った今、俺に扉は開かれる。
さて諸君、もう一度問おう……
この状況でもし空手以外の技を出したなら……?
どんな優秀な六波羅の頭脳だって、一瞬の隙が生じるハズだ! その隙が俺の勝機っ! 俺の狙い目っ!
! 突然、視界に現れたバカでかい掌に強引に思考を切られた。
一瞬で間合いを喰った六波羅の張り手が俺の顔面に直撃するっ!
首が吹っ飛んだかと思うほどの衝撃が頭部を貫通する。
わッ、と周囲からどよめく歓声が耳に飛び込んだ。
連中の目には、きっと生徒会長を盾にしてまで反則ギリギリの卑怯な手を使った俺が悪者で、正々堂々と戦いその制裁を執行しようとしている六波羅が英雄のように見えているのだろう。
それは沸き上がった歓声からもはっきりわかる。
生徒会の連中は心底待ち望んでいるハズだ。
英雄が悪者をやっつける必殺の一撃を。
俺が砕け散り六波羅が勝利を手にするハッピーエンドを!
それはすなわち、俺がバッドエンドになる結末を望んでいると言うこと!
きっと俺が傍観者だったなら、その結末の是非に及ばずハッピーエンドを見る羽目になっていたことだろう!
しかし俺は今、この一対一と言う舞台の中心出演者。
筋書きを左右する権利を持っている。
俺の描いた筋書きには違う結末が待っているっ。
それを今からお前らに見せてやるっ!
「「「「「 !!! 」」」」」
俺の姿に皆があらん限りに目を見開いた!
「はぁ? 何やってんだぁ? あの変態野郎は? あの体勢は……ウソだろぅっ?!」
高頭が当惑をあらわに口走る。
俺は消し飛びそうになる意識を意地でも繋ぎ止め、低く構える姿勢を取った。
腰を割り上半身は頭を下げた前屈み。軽く握った拳先を床へと着ける。
全身の筋肉を圧縮し、溜めた力を両足に集約して一気に地面へ叩きつけた。
「!、あ、あれは、副会長の“ぶちかまし”っっ?!」
緑岡が驚きに染まった声を上げた。
俺にとっては何も驚くことじゃない。
昔から、人の顔を覚えることや特徴を見分けることが得意だった―――俺のささやかな特技。その特技の対象は人の顔のみにあらず、動作や仕草もまたしかり。
“どつき合い”の時にも活用し、俺は“竜宮寺 可憐”から空手技を盗んで見せた。
俺は六波羅に猛烈な勢いで突っ込んで行く。
この紛い物の技を使って。あくまで模倣。その威力もスピードも、六波羅のそれには遠く及ばない。
しかし、この状況ならこれだけでも大きな意味を持つ。
六波羅の脳みそにインプットされていた“パンツマスク=空手使い”の理論(固定観念)にエラーが生じる。
俺の使った“あり得ない技”に対応するため、六波羅のCPUがコンマ2秒、遅延を起こして高速演算を開始する。
演算の過程でさらにコンマ5秒。羆の巨体が合計でコンマ7秒、動きを止めた。
この瞬間を俺は待っていた……。
満身創痍の身体を酷使し、積み上げた三つの罠。
その全てが、布石だった……このために俺は道化を演じていたのだ。
硬直から解かれた羆は迎撃へと即座に転じ、腰を大きく割って、脇を締め左腕に力を溜めた。
左の一発が俺に狙いを定めて轟音をまとい強襲する。
六波羅の優秀な頭脳が導き出した解は、“ぶちかまし”に対して左の“喉輪”!
喉輪は手を筈(親指と四本の指をY字に作る)にして相手の喉 目掛けて叩き込み動きを封じる技。それ単体でも張り手と同等の破壊力を持ち、決まれば相手の喉元から顎を下から押し上げて上体をお越し、重心を浮かせる効果がある。しかもそのまま次の技へと移行する起点にもなる攻守一体の万能技。
相撲の立ち会いに置いては最適解と言っても良い。
この土壇場で最適解を瞬時に導き出す判断力。本当に才能に恵まれたヤツだ。
―――だが、それは悪手!!
今は土俵の上ではないっ。
何でもありのタイマンだっ!!
六波羅の左の喉輪が俺の頭頂をかすめ大気を切る。
「「「「「「「 ……っっ!!!!! 」」」」」」」
俺は更に上半身を低く潜らせ、床を這うような突進を見せた!
「あれは、私の『超低空タックル』!?」
所有者の緑岡がいち早く気づいた。
そうだ。俺の本命はこれだっ!
その場しのぎの“ぶちかまし”をぶち当ててもこの大男を倒せる見込みがないのは百も承知だ。
俺の本当の狙いは……。
生半可な殴打ではびくともしない鉄壁を誇る羆を倒すためには、唯一の弱点に狙いを絞ること。
同じような巨大な体格を持つ相手……化け物じみた“竜宮寺 可憐”とは大きな違いが一つある。
それは六波羅が“雄”だと言うこと。
オスだからこその弱点。剥き出しの内臓であると言われる、どんな達人でも鍛えることが困難な最大にして最悪の弱点。
それは生物である以上、規格外の肉体を持つ六波羅も例外ではない!
弱者が強者に勝つために……真面目に正々堂々……六波羅=“強者”の流儀に合わせるつもりは端っから無かったのだ。
俺は“弱者”……だから思う存分、自分の力(生存術)を使わせてもらう。
卑怯だと罵られようが構わない。生き延びるためなら、形振り構わず何でもやるっ!! どんな手段だって使ってやるっ!
それが俺の……弱者の力!!
“弱者の流儀”だーーっっ!!
コンマ7秒の停止を挟み、タックルに対応した六波羅が右腕で俺を潰しにかかる。
が、遅いっ!
体幹が崩れる姿勢からの強引な追撃で重心が大きくぶれた軸足へ、俺の全体重を乗せた全身全霊タックルをぶちかますっ!
不安定な下肢を根こそぎ刈り取られ、大羆は大音響の地響きを上げて豪快に真後ろへ倒壊。盛大に大の字にぶっ倒れた。
目の前には、両脚をパックリ大きく割って御開帳した六波羅の股間がっ!
遂に開かれた、何人たりとも防御不可避な急所中の急所っ!
弱者の、勝ちだっ!!
全集中! 変態の呼吸! 金の型『英雄金玉砕』っ!!
俺は右腕に最大限の力を込めて、その大羆の急所へと固く握った鉄拳を発射した。




