#34 小野寺、巻き網漁しました。
「雷神整備士!見参!義道覚悟ぉ!」
包囲のされていない東門から脱出しようとしていた小野寺義道と義道軍を北側から戸沢が、南から橋本が取り囲み猛攻。
「我が失策!この老身を以って御償い致す!我こそは八柏道為なるぞ!」
白い鉢巻を巻いた老将が大声で名乗りを上げる。
「影武者かもしれないが武将は出来るだけ捕らえろ!」
知将と言われる道為がこんな前線で戦う事自体が考えにくいが、この状態なだけに判断がつかない。
実際に道為(?)の言った事が本当ならありえるだろう。
自身の失策で責任を感じて敵に突っ込んだのは山本勘助なんかの例もある。
「うおぉぉぉォォ!!」
「おりゃあぁぁ!!」
そこら中で死闘を繰り広げている兵士。俺も狙える敵を探しては撃つ。
「雷神じゃ!何としてでも奴を止めろ!」
道為と思われる老将が兵に指示すると今まで俺からは逃げていた兵士が向かってくる!
向かってくる兵に狙ってッッ!
「ぐぅァァッ!!」
「怯むなァ!俺に続けェ!うォァッツ!!」
銃兵に突撃するのは失策という事は長篠の戦いでよく知れ渡っただろうに。それでも突っ込んでくる勇者にはご退場頂く。
「おのれ雷神!弾も込めずに放つとはッッ!」
悪いな、こいつは弾が必要ないんだ。充電切れたら終わりだけどな!
しかし待ち時間で散々貯めまくったお陰でまだ電池残量は九割を割らないぐらい潤沢にある。
「八柏道為!知将のお前がここまで愚直な手を使うとは思わなかったぞ!被害が大きくなるだけじゃないか!」
決まり文句じみては居るが、道為の戦意を挫こうと叫ぶ。
「ひとえに殿への忠義故よ若雷神!お主や織部殿(秀道)のような不届き者よりお守り致すのが儂の成すべき事じゃ!」
凄まじい忠誠心の塊。しかも寝返った秀道さえ名前で呼び捨てず、敬意を示している。そしてもはや相手が影武者でない事は疑いようがなかった。
「ならその小野寺、仙北一帯、果ては世界の為に戦い抜く事が俺の成すべき事だな八柏道為!これで決まりだっ!」
道為への返答と共に道為の馬を撃つ。大沢の森で決めた俺の目的、志、道為なら理解できる筈だ。
「ぬっ!ぬおぉぉぉッッ!」
馬が倒れると共に受け身を取りながら振り落とされる道為。小野寺兵が騒然とし、抵抗をしなくなる。
「八柏道為捕らえたり!義道軍へ向かえ!」
道為の確保は後から追いついた味方の追洲流、秀道に任せて橋本軍は義道目がけて突き進む……!
「夜叉九郎盛安!ここに有り!我に続け!」
既に盛安が大暴れしているみたいだ。もう完全に統制を失った義道軍に更なる悲報をお届け。
「雷神整備士見参!義道覚悟ぉ!」
自分で言っててカッコ良さみが……誰だこいつ。
「鬼姫!悠香だぞー!」
し、締まらねぇ……盛安、俺までは格好付けて来て最後これかよ……
だが振り向いた時には遅い!近場の敵はレーザーに焼かれた後だ!
「義道を捕らえろ!突撃!」
匍匐前進の弊害で騎兵は一騎たりとも居ないけどな!こんな数で負ける戦いはこれで最後にしたいものだ!
「はぁ!?小野寺義道を名乗る者が何人も居るだあ?」
吾六が珍事に遭遇したと驚きを隠せずにいる。
義道軍を完全に壊滅させた後、俺は舞の報告を受けていた。
「はい。義道殿が追いつき次第、見分けていただきますが……」
「まどうせ影武者だろ。似てない奴もいるだろうけどな」
「ほほう、義道も小賢しくなりよったようじゃの。その意気で馬鹿坊主も終えぬのが悲しいのう」
秀道が馬に跨りやって来る。
「よくも父上を裏切りそのような口が叩けるな!大築地秀道!」
捕らえた者の一人が激昂する。
「見分けるまでも無かったようじゃな、そやつが秀道じゃ若造。さすれば他の者には文を持たせるとするのじゃな?」
作戦は成功。これで小野寺氏の心配をしなくて済むようになるはずだ。
「あぁそうだ。あとは沼館城の残党を降伏させるだけだな。そっちにも矢文辺りで促しておけ」
流石に沼館城に殿を残して来ている筈だ。現に、秀道の部隊に居た中ボスこと小清水蔵人に遭遇していない。そこに降伏勧告を出す。
ただ小清水蔵人だと……
「橋本航太ァァァ!!織部殿のみならず若殿様までも捕らえるとはぁァァッ!!」
馬鹿が東門から飛び出して来て、蜂の巣にされる。
しかしそれでも突っ込む蔵人、小野寺家には一握りの知将と猪しか居ないのか?
応戦準備をしようとするが、先んじて盛安と騎馬隊が突っ込んでいく。
訂正、東北の武将ってのは知将か馬鹿勇者の二択なのか?
「小清水蔵人!この夜叉九郎盛安がお相手致そう!」
と言いながら衝突する両軍。一見互角だが、よく見てみるとわかる。倒れていっているのは歩兵ばかり、対し突撃しているのは戸沢の騎兵だけ。一方的な展開である。
「覚悟ッ!」
その後、勝利祝いの酒宴で小清水蔵人を真っ二つに叩き割った夜叉九郎の噂が流れるのであった。
なんだかんだ史実とかもうわかんねぇなこれ。




