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作戦会議

リヤドの部屋に俺達は一同揃って集まっていた。

今から何が始まるのか、といえばただのルルとジョニーとの次の会う日までにどうやってルルの結婚を防ぐかという話し合いである。

俺達はサタンを上座として縦に並べられた机に向かい合わせのように俺達がそれぞれ並べられた椅子に座っていた。

幹部集結みたいでカッコいいから、とかいうよく分からないサタンの言い分でこの席の並びになったらしい。

幹部は幹部でも明らかに悪の組織の集まりにしか見えないのだが、それはいいのだろうか。

ルシフェルは何だかお祭りみたいで楽しそうですね、とか言っていたが俺はちっともそんなこと思わない。


「それでだ!今週の例の男とルルが会う話についてだ。」


全員が席についたのを確認すると、サタンが立ち上がると机を思いっきり叩いて言った。

当のルルは俺の隣でアプリゲーのデイリー消化をしているのだが、それはいいのだろうか。

ルシフェルに至ってはリヤドの部屋の冷蔵庫の中から勝手にアイスを持ち出して食べていた。

真面目にサタンの話を聞いているのは、ルミナとリヤドそしてアリスくらいだろう。

7人いて俺も含めて半分が真面目に聞いていないとかどれだけ自由な集まりだと思う。


「今回も剣様に行ってもらうんですか?」


ルミナがサタンに尋ねる。

何で俺がまた出席する話になっているのだ。

今回は絶対に遠慮したい。というか、俺が出たところで何の意味もないのは前回で分かっただろうと言いたい。

サタンがルミナの言葉に首を横に振った。


「いや、剣をまた行かせてもいいのだが。今回は別の方法を取ろうと考えている。」


また俺が行く考えはあったのか、この女。別の方法とやらが頓挫したとしても絶対に拒否しようと思う。

というか、自分の話なのに無関心にゲームしていて大丈夫なのかとルルをチラリと見ると心の中でツッコんだ。

サタンはそんな統率の取れていない集団を気にしないで、声を張り上げる。


「今回は女子であの男がどういう男かを見極めようと思う。」


全員が何を言っているんだ、といった表情を見せる。

どうだと言わんばかりに力説しているが、その行為に何の意味があるのだろうか。


「いいか、あのジョニーと言う男が本当にルルと結婚するに相応しいのか、そもそもルルと結婚したいのかを見極めようというわけだ。そこの仮の婚約者に任命した男が一切話す気はなくて前回は上手く行かなかったからな。今回はあの父親もいないようだから。1対1で話が出来るはずだ。」


サタンがあまり発言の意図を理解出来ていない、俺達に説明をする。

何だか前回の俺のことをディスっているようだが、勝手に任命されて知らない親子ととりあえず世間話は出来ていたのだ。そこは褒めてもらってもいいと思う。


「面白そうですね!つまり、ルーちゃんの婚約者の本性を暴くということですね!」


ルシフェルが納得したようにサタンに言う。

暴く、ってそれはどうなんだと言いたい。

正直、やるなら女子面子でやってくれればいいと思う。

都合のいいことに女子の比率だけは無駄に高い集まりだ。

加えて、見た目のビジュアルはいいのが揃っている。


「そういうことだ!そこで、ルルには出席してもらわずに私達だけであの男に会うことにする。」


ルシフェルの言葉に満足したのか、サタンがさらに声を大きくする。


「いいですね!つまり、あの男をナンパすればいいことですね!」


ルシフェルもサタンの言葉に同調するように、立ち上がると大声を出した。

そして、サタンとルシフェルの2人が固く握手を交わしていた。

一応、リヤドの部屋はマンションの一室なのだ。

もう少し、声のトーンを抑えないと何を騒いでいるんだと思われそうで不安だ。


「でも、私とアリスだと見た目が幼すぎて子供が話しかけたと思われますよ。」


クレアが手を挙げて、サタンに発言する。

確かに、クレアとアリスだと見た目も実際の年齢も小学生だ。とても、男をナンパするというのは厳しいかもしれない。

それに、とクレアが言葉を続ける。


「私ならまだしも、この泣き虫がナンパなんて高度なこと出来ると思えないんですけど。」


クレアがアリスを指さしながら、言った。

弱虫、とアリスが小さな声でつぶやくと落ち込んでいた。

それはそうだな、とその場にいる全員が思った。

クレアはまだ堂々と声をかけられるだろうが、アリスが1人でナンパなんて高度なことが出来るとは到底思えない。

サタンもそれを聞くと、少し考え始めた。

早くも計画が破綻し始めていそうで、暗雲が立ち込めている。


「いや、それは仕方ない。じゃあ、クレアとアリスの2人は除外だ。そうなると、私とルミナとルシフェルの3人になるが…。」


そう言うと、ルミナの方をサタンが見た。

その視線を受けると、ルミナが激しく首を横に振り始めた。


「無理です!無理ですからね!私があの男性をナンパするんですか!?」


すでに目に涙を浮かべていた、ルミナがそれはもう凄い勢いで拒絶を始めた。

ここまでサタンの言葉に拒絶をするルミナを見るのも中々に新鮮だ。


「まあ、うちのお姉ちゃんに出来るわけないもんね。」


クレアがそんな姉の姿に呆れるように言う。

サタンも自分で言ったモノのルミナの姿にかなり悩んでいる様子だった。


「そうは言うが、私が言っても意味がないんだよな。私だとルルの姉だとバレてしまっているから。下手にあの男をナンパしようものなら怒られそうな気がする。」


「俺に仮の婚約者させるのはよくて、自分はナンパするのは怒られるとかどんなワガママなんだよ。」


俺は、この話し合いで初めて口を開いた。


「お前はウィザード家の人間でもない一般人だからな。そもそも、お前が前の話し合いでルルの婚約者は自分だと言えば何も問題なかったのだぞ。」


サタンがやれやれと言った感じで俺に言う。


「言うわけないだろ。というか、ナンパ作戦ってそんなことする意味があるのかよ?」


俺はサタンに睨みながら言い返す。

別にルルを隣において一緒に話をすればいいだけだと思う。

あのジョニーという男は人間が出来ていると俺も話をしていて感じた。ルルの友人で一緒に話を聞きたいくらい言えばいくらでも一緒に話をしてくれると思う。

それこそ、サタンが同伴すると言っても了承くらいしてくれると思う。


「フフン。まだまだ私のこの作戦の肝を理解していないようだな。お前は。」


ただ、妹の婚約者をナンパして食事をするだけのことにどんな肝があるのだ。

少なくとも、コイツがこういうことを言う時はたいていロクでもないことを考えている時だ。


「いいか、仮にも婚約者がいる男がだ。知らない女と婚約相手との約束を放り捨てて食事をしていたとなれば悪評が立つことは明確だ。つまり、私は考えたのだ。相手がやめると言わせるのではない、悪評が立つことで社会的に婚約の話を無しにするのだと。」


「ただのマッチポンプじゃねえか!真面目に聞いて損した!」


俺はサタンのトンデモない作戦に思わずツッコむ。

思った数倍、しょうもない作戦だった。

やってることが悪徳週刊誌のでっち上げ記事と大差ないレベルだ。

というか、もうそれはハニートラップだろうと言いたい。

仮にも婚約者の片方の親族がやるようなことではない。


「でも、考えてみてください。剣様。相手は悪評どころかいい噂しかない男。そんな男を陥れるためには、悪評を作り出す方が早いと思いませんか?」


「もう陥れるとか、言いだしたぞ。この堕天使。お前、本当に元始まりの大天使なのか?発言がもう悪の大魔王のそれだぞ。」


俺は呆れるように、サタンを擁護する自称始まりの大天使に言う。

そもそも、その作戦がバレた時に悪評が立つのはサタンの方だということにこの女達は気づいていないのだろうか。

いや、気づいていないからこれだけ堂々と言っているのだろうが。

俺はもうツッコむのも疲れたので、再び椅子に座り直した。

そして、ルルの方を再び見る。楽しそうにサタン達の会話を聞きながら、暢気にゲームをしている。


「ルルちゃんも何か言ってやれよ。自分の話だろ?」


俺は流石にこの作戦は止めるべきだ、と思いルルに言葉をかける。

ルルは画面から視線を上げると、俺の方を見てきた。

そして、ニコリと笑うと俺の言葉に答えた。


「私は面白そうなので構いませんよ。それなら、今度は私が外から見ることにしますね。」


「…それでいいのか、ルルちゃんは。」


予想外の返答に俺はドン引きしながら言う。

ルミナは先程からロボットのように首を横に振り続けていた。

余程、知らない男をナンパするのが嫌なのだろう。

昨日言っていた、理想の男性を見つける云々の話はどうなったんだと言ってやりたいがまたムキになって言い返してくるのが面倒だと思ったのでやめておこう。


「よし、じゃあとりあえず先鋒をルミナ。失敗したらルシフェルで行こう。」


サタンがそんなルミナの様子を無視するように作戦を伝え始める。

コイツ、この状況を見てこのセリフを言えるのは鬼だなと感心する。


「無理です!本当に無理ですから!だって、相手ってヴェネーノ家のあの超イケメンの跡取り息子ですよね!そんな人をナンパなんて私が出来ると思いますか!」


ルミナがサタンに縋りつくように言う。

いや、ルミナだって見た目はいいんだから声をかけるくらいしてもそこまで違和感はないだろう。


「大丈夫だよ。失敗したら、お姉ちゃんの写真と共にランスフォード家で広めるだけだから。」


「そんなことしたら、今後のあなたの夕飯に嫌いなピーマンとニンジンを塊で入れますからね!」


クレアがいよいよ飽き始めたのか携帯を触りながらルミナに言うと、顔を真っ赤にしてルミナがクレアに言い返す。

ピーマンとニンジンが嫌いなのか、この小学生。

俺はどうでもいい情報を知ったな、と思った。


「そんなことしたら、ポスターにしてランスフォード家の廊下に貼り付けてあげるから。安心して。」


クレアが負けじと言い返す。

隣でその様子を見ていたアリスがあたふたとしている。ルシフェルが面白そうにその光景を眺めている。

そろそろ潮時かなと思った。ただでさえ取れていない統制がいよいよ取れなくなっている。

サタンはそんな光景を無視するように、締めとばかりに大声を出した。


「よし!じゃあ、今回の話し合いは終わり!ルミナとルシフェルは頑張れよ!」


手をパンと叩いた。


「絶対に無理ですから!!!」


顔を真っ赤にして再び涙目になったルミナの叫びが部屋にこだました。

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