ゾンビ軍団一過3
「へカテが……死亡した時だけ……?」
ダケヤマは一戦交えた時のネクロマンサー・ヘカテの姿をパンチラ込みで思い起こしていた。
「……あかん。いくら敵とはいえ、あんな綺麗で可愛らしい子を殺したりなんかは……とてもやないけど、できひんで……」
黙って話を聞いていた穴金は、我慢できずに口を開いた。
「甘い! 少女のような見た目に騙されてはいけない。死霊魔術で死者を操る奴は、人に仇なす正真正銘の魔物だ。すでに何の罪もない善良な市民が、女子供も含めて大勢と犠牲になっている。放っておけば、必ず近いうちに王国は滅ばされるだろう」
「ぐっ!……確かにそうやけど……そやかて……」
分かりやすく葛藤するダケヤマに、アビシャグも告白せざるを得なかった。
「ダケヤマさん! 私だって辛いのです!」
「あっちゃん……?」
「アスカロンによると、ショッキングな事に、ヘカテの正体は……ティケさん。つまり私の師匠である事が判明しました」
「師匠? そりゃあ、あっちゃんに色々な魔法を教えた、若いお師匠さんって事なんか?」
「そうです……優しかった我が師は、現実世界に逃亡した後に、何らかの理由で闇落ちしました。そして人々に様々な災いをもたらす無慈悲な魔女、ネクロマンサー・ヘカテとして再びディアブルーンの地に現れたのです」
「闇落ち…………ひょっとして、弟子のあっちゃんの呼びかけで、改心したりせえへんのか?」
「もはや邪悪な魂とステータスが別人のように全く違います。実際ヘカテと対峙した私でも、師匠と見抜けなかったほどなのです。もう私の事など、とうの昔に忘れてしまったのかもしれません」
「そんな……一体何が……? それにしても、どうすりゃあええんや? なぁ……カヤタニ……」
そのカヤタニは、付き添いのダイナゴンに目配せすると、何とか空虚な笑顔をダケヤマに投げ掛けてくれた。それはまるで『こりゃ参ったな……ハハハ……』とでも言っているかのようである。
らしくないカヤタニを見るなりダケヤマは、思わず駆け寄って彼女の両手を取った。
「何やねん、カヤタニ! いつものような鋭い突っ込みはどうしたんや? アホみたいな顔すんなって、俺をディスってくれへんのか……」
とうとうダケヤマはカヤタニの肩を抱き寄せながら、咽び泣き始めた。すぐ横のダイナゴンも二人の絆を目の当たりにして、貰い泣きしてしまうほどだ。
「ダケヤマさん……」
一方のアビシャグは、容易に割り込めそうにないコンビの仲を見せ付けられると、心が張り裂けそうになり、ジェラシーにも似た寂しさを感じてしまうのだった。




