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おわコン!~お笑い芸人は異世界で最高のコンビ!~  作者: 印朱 凜
第3章 ブサイクルをリサイクル
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ライオンの騎士2


 

 ダイナゴンは全てを託すかのように、アスカロンに向かって最強の風魔法を放った。


「風の精霊、シルフィードよ! 我に力を!」


 背後から突風を受けたアスカロンは、マントをはためかせながら踵で石畳の上を滑走する。蹄鉄のような靴裏から二筋の火花を散らすと、溜めに溜めた魔法力を爆発的に解放する。


 その時ネクロマンサー・ヘカテは、両腕を胸の前で逆手にクロスし、10本の指を伸ばすと、人語とは思えない発音で呪文(スペル)を詠唱し始めた。

 

 重い盾を捨て去ったライオンの騎士が、一度きりの打ち込みに全てを掛ける。腰だめに剣を構え、型を儀式のように固める。


「フラックス・マッハ・ストローク! レベル99!」


「………………Царь–…………」


「うおおおおおお! 間に合うか!?」


 ほんの一瞬であったが、ネクロマンサー・ヘカテが詠み上げる呪文(スペル)の完成が遅れた。防御に隙ができ、騎士渾身の攻撃エネルギーを逸らすのに、全てのリソースを割いたようだ。


「今だ! ダメ押しだ! アビシャグ!」


「……今ここに、我が持てる力を全て捧ぐ! 対死霊魔術(アンチネクロマンシー)!」


 ここぞというときに迅速に現れる、魔法使いアビシャグの練りに練った攻撃魔法が炸裂する。


 異次元の光を放射する爆発的な力の衝突により、ヘカテ周辺の石畳は嵐のように吹き飛ばされたかと思うと、粉微塵となった。


「ついにやったか?」


 いち早く戦果の確認に目を凝らした青騎士ルンバ・ラルが、勝利を確信したような声を張り上げた。

 だが、結界魔方陣の中から姿を現したネクロマンサーは、まだ人の形を保っていたのだ。これには力を使い果たしたアスカロンも舌を巻いた。そして畳み掛けるようにルンバ・ラルが後を継ぐ。


「さすがだな、だがとどめだ!」


 ふらつくネクロマンサー・ヘカテに対し、容赦なく一撃が加えられた。遂に被っていたフードが細断し、その衝撃で全身を覆っていたローブが千切れ飛んでいった。


「……何と! ……妖艶な……!」


 あの無骨なルンバ・ラルでさえ、陽の下に曝されたネクロマンサーの正体には称賛とも思える言葉が漏れてしまった。

 腰までの紫がかった黒髪に、幼さを残す整った顔立ち。双眸には淡い光が宿り、華奢でありながら肉感的な乳白色の体を覆う僅かな衣装からは、思わず庇護本能を掻き立てられるほどだ。

 だが誰よりもネクロマンサー・ヘカテの容貌にショックを受けたのは、他ならないアスカロンであった。


「あ、あれは……ティ、ティケ……!!」


 震えが全身に伝播したアスカロンは、力が抜けたように自らの長剣を足元に取り落としてしまった。








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