女流騎士大納言2
広場では野次馬からのどよめきと共に、ダイナゴンの騎士らしい物怖じしない態度に賞賛の声が上がった。現実の世界でも、大勢の衆目の前で愛を語れる女性がどれだけいるだろうか。
心の高揚を静めようと胸の上に手を添え、うるうるとした瞳の騎士はまるで少女のよう。
「どうでしょう? ダケヤマさん。こう見えても、私は好きな人に尽くすタイプなのですよ♥」
「どうってアナタ。付き合ってくれっちゅう事かいな? いや、参ったなコレ」
「常に死と隣り合わせの世界に生きる騎士は、この次という機会がないのです。はしたないって言われても構いません。あなたの事が好きなのですから!」
「ひょおおお! ダイナゴンさんは肉食系女子!?」
「ひょっとしてダケヤマさんは、もっと女性らしい人が好みなのでしょうか? 私、あなたの理想に沿えるよう努力します。今でも容姿に関しては、誰にも負けない自信がありますけど」
ついに周りから声援が飛び交うようになってきた。
『ダイナゴン様〜、がんばって下さい!』
『抱いてやれ! こんなイイ女は滅多にいないぜ!』
雑音が気に入らなかったのか、あくまで優雅であったダイナゴンは剣の柄に手を掛けて威嚇した。
「茶化さないでください! 私は今、とても大切な話をしている最中なのですから!」
一瞬にして静まり返った事は言うまでもない。
ダケヤマは改めてダイナゴンの顔を見た。真剣そのものの顔は紅に染まり、薄化粧した肌は透き通るような、きめ細やかさだ。視線を落とすとモデルのような体型。ダケヤマの見立てではB88.W55.H88である。
「いい度胸だ。気に入ったぜ!」
やけにイラついてたカヤタニが、その言葉を耳にした途端になぜかキレた。
「ちょっと、アンタ! 軽はずみに返事していい事と悪い事があるで!」
「何だよぉ〜。何でそんなに怒るねん」
「日本の常識が通用しない世界では、何が命取りになるか分からん。軽率な言動は控えろっちゅう事や」
カヤタニがダケヤマに食って掛かるのを見ながら、ダイナゴンは余裕の表情で胸を張った。
「あらぁ? もしかして貴女も、ずっとダケヤマさんの事が好きだったのでしょうか? だったら私は恋人を横取りする、悪い人という事になるのかしらね」
「…………!」
竹を割ったような性格のダイナゴンは、悪意もなく包み隠さず物を言うタイプだった。
カヤタニは、そんな彼女に少なからず好感を抱いたが、相方が取られるのを黙って見過ごす訳にはいかなかったのである。
「私のダケヤマは、そう簡単に渡されへんで!」




