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おわコン!~お笑い芸人は異世界で最高のコンビ!~  作者: 印朱 凜
第2章 魔女の卓球部員
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マルシェにて


 ダケヤマはファンタジックな世界の人々を驚かせ、注目を集めたいがためにポケットの中をまさぐったが、当然何も出てきやしなかった。


「オイオイ、カヤタニ~。スマホ持ってきてるか?」


「まさか。本番のステージ上にスマホを持ち込む馬鹿はおらんで。楽屋に置いた鞄の中にしまったままや」


「ええ~?! じゃあ、元の服から着替えたら、ほぼ現地の人やん。文明社会の日本から来たっちゅう証拠なんて、何も残らんのとちゃうか?」


「う~ん、そうやな。ハイテクな物って、何も持ってきてないと思う。あえて言うなら……」


「あえて言うなら?」


 カヤタニは左眼のカラーコンタクトを外して手の平に乗せると、ダケヤマに見せた。


「あえて言うならば、このカラコンやな!」


「そんなもん自慢げに見せたって、皆に魚のウロコやって言われるのがオチやん」


「多分、そうやろな」


「ウワァ~~! なんて無力なんや、俺達は!」


 頭を抱えた相方の肩を叩き、気合いを注入したのはカヤタニ。更に反対側の手で、自分のこめかみ辺りを指差す。


「ダケヤマ! 私らは日本で生まれ育ったんやで。これまでに蓄積された先進的な知識と経験があるやんか」


「そ、そうなのか!? まあ、もうすぐ元の世界に戻るし……、もうええかな」


「何やねん、アンタは~」


「わはは!」


 店の主人は、暫く呆れ顔でコンビの会話を見守っていたが、ようやく口を開いた。


「面白い二人だね~。恋人? それとも夫婦かね?」


『違います。仕事仲間です』


 男女が即答すると、主人はおやおや、といった怪訝そうな表情を作ったが、すぐに愛想笑いで誤魔化した。

 

「そうだ、お一つどうだい? 今日は珍しく梨のいいのが入ってんだ」


 主人が自信ありげに勧めてくる果物は、スーパーで売られているラフランスに比べ、かなり見劣りするものだったが、よい香りを放っていた。

 ダケヤマは、思わず手を伸ばす。

 

「う〜ん、朝飯を腹一杯食ってきたから、洋梨はもう用無しやなあ」

 

「そんな事言わず~。異世界の果物なんて、もう二度と口にできひんかもしれへんで」


 カヤタニはリンゴやナシを籠に一杯詰め始めた。


「代金はこれでいけるかな?」


 カヤタニが城で貰った金貨を一枚手渡すと、店の主人はコインより目を丸くして驚いた。


「これは……! クリューザーランド金貨! あんた、これ一枚でこの店丸ごと一軒買っても、まだおつりがくるぜ!」


「ひええ~!」

 




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