表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/405

八月十日……その八……

 夏休み……八月十日……。

 オールブレイカーこと『不死鳥ふしどり 壊人かいと』は家族とクラスメイト二人と共に花火大会(けん)夏祭りにやってきた。


「……はぁ……はぁ……はぁ……あ……れ? おか……しいな。急に体が熱く……」


 壊人かいとは野良超能力者(気配殺し)を倒した後、急に体調が悪くなった。


「今までこんなことなかったのに……。どうして、急に……。ダ、ダメだ。体に力が入らな……」


 彼が意識を失う直前、彼の体を支えた者がいた……。


 *


 彼が意識を取り戻すのと同時に花火が始まった。

 なぜ自分が会場近くの公園のベンチの上に横になっていたのかは分からなかったが、誰かがここまで運んできてくれたことは分かった。


「えーっと確か、急に体調が悪くなって、それから……」


「見知らぬ誰かにここまで運んでもらった……」


「うん、そうそう……って、今の声はいったい……」


 彼はスッと立ち上がってあたりを見回してみたが、声の主は見つからなかった。


「まったく、昔から変わっていませんね。自分の力を単なる能力としか思っていないから無駄に疲れるんですよ」


 声の主の声は、誰かの声と重ねているかのような声であるため、性別は特定できなかった。

 しかし、一つだけ分かったことがある。それは自分を知っていて、なおかつ自分の能力について自分以上に深く知っている人物だということだ。


「お前、いったい何者だ? いったい俺の何を知ってるっていうんだ?」


「……全てです」


「は?」


「オールブレイカーとしてこの世に顕現けんげんしたことも、世界中にいる野良超能力者たちを破壊し終わるまで普通の人間になれない化け物だということを……ね?」


「ああ、そうかよ。じゃあ、くけどよ。お前の目的は何だ? 俺に何の用だ?」


「それは……今、ここでは言えない」


「はぁ? それじゃあ、どうして俺を助けたんだ?」


「それもまだ言えない」


「はぁ……じゃあ、あれだ。名前を教えてくれ」


「うーん、それもまだちょっと無理かな」


「あれも無理、これも無理。お前と話してるとなんかイライラするな……。でもこの感じ、どこかで……」


 彼が何かを思い出しかけていたその時、そいつは彼にこう言った。


「今ここで私が言えることは、私は『オールブレイカー』という強大な力を完全なものにするために生み出された存在だということだ」


「はぁ? それはいったいどういうことだ? 俺の力はまだ不完全なものだって言ってるようにしか聞こえなかったぞ?」


「今はそれだけ知っておけばいい。全てを話す時が来るまでは……ね」


「はぁ……。あっ、そう。なら、そろそろみんなのところに行ってもいいか? 早くしないと花火が終わっちまうよ」


「なるほど。では、また会おう。オールブレイカー」


「いや、できれば、もう二度と現れないでくれると助かる」


「残念ながら、そういうわけにはいかないんだよ。私という存在がこの世に滞在できる期間は限られているからね。では、さらばだ」


 声の主はそう言うと、どこかに行ってしまった。

 ずっと公園の周囲から放たれていた禍々《まがまが》しいオーラがふっと消えてしまったことと関係がないわけがないと思ったからだ。


「まったく……本当何なんだよ。いったい……」


 彼はポツリと愚痴ぐちをこぼすと、会場へと走り始めた……。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ