八月十日……その八……
夏休み……八月十日……。
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』は家族とクラスメイト二人と共に花火大会兼夏祭りにやってきた。
「……はぁ……はぁ……はぁ……あ……れ? おか……しいな。急に体が熱く……」
壊人は野良超能力者(気配殺し)を倒した後、急に体調が悪くなった。
「今までこんなことなかったのに……。どうして、急に……。ダ、ダメだ。体に力が入らな……」
彼が意識を失う直前、彼の体を支えた者がいた……。
*
彼が意識を取り戻すのと同時に花火が始まった。
なぜ自分が会場近くの公園のベンチの上に横になっていたのかは分からなかったが、誰かがここまで運んできてくれたことは分かった。
「えーっと確か、急に体調が悪くなって、それから……」
「見知らぬ誰かにここまで運んでもらった……」
「うん、そうそう……って、今の声はいったい……」
彼はスッと立ち上がって辺りを見回してみたが、声の主は見つからなかった。
「まったく、昔から変わっていませんね。自分の力を単なる能力としか思っていないから無駄に疲れるんですよ」
声の主の声は、誰かの声と重ねているかのような声であるため、性別は特定できなかった。
しかし、一つだけ分かったことがある。それは自分を知っていて、なおかつ自分の能力について自分以上に深く知っている人物だということだ。
「お前、いったい何者だ? いったい俺の何を知ってるっていうんだ?」
「……全てです」
「は?」
「オールブレイカーとしてこの世に顕現したことも、世界中にいる野良超能力者たちを破壊し終わるまで普通の人間になれない化け物だということを……ね?」
「ああ、そうかよ。じゃあ、訊くけどよ。お前の目的は何だ? 俺に何の用だ?」
「それは……今、ここでは言えない」
「はぁ? それじゃあ、どうして俺を助けたんだ?」
「それもまだ言えない」
「はぁ……じゃあ、あれだ。名前を教えてくれ」
「うーん、それもまだちょっと無理かな」
「あれも無理、これも無理。お前と話してるとなんかイライラするな……。でもこの感じ、どこかで……」
彼が何かを思い出しかけていたその時、そいつは彼にこう言った。
「今ここで私が言えることは、私は『オールブレイカー』という強大な力を完全なものにするために生み出された存在だということだ」
「はぁ? それはいったいどういうことだ? 俺の力はまだ不完全なものだって言ってるようにしか聞こえなかったぞ?」
「今はそれだけ知っておけばいい。全てを話す時が来るまでは……ね」
「はぁ……。あっ、そう。なら、そろそろみんなのところに行ってもいいか? 早くしないと花火が終わっちまうよ」
「なるほど。では、また会おう。オールブレイカー」
「いや、できれば、もう二度と現れないでくれると助かる」
「残念ながら、そういうわけにはいかないんだよ。私という存在がこの世に滞在できる期間は限られているからね。では、さらばだ」
声の主はそう言うと、どこかに行ってしまった。
ずっと公園の周囲から放たれていた禍々《まがまが》しいオーラがふっと消えてしまったことと関係がないわけがないと思ったからだ。
「まったく……本当何なんだよ。いったい……」
彼はポツリと愚痴をこぼすと、会場へと走り始めた……。




