オールブレイカーの失敗
次の日……田中家……玄関の前……。
「おーい、田中さんー。来たぞー」
ドタバタと階段を降りる音が外まで丸聞こえなのを知っているのかどうかは分からないが、赤髪ポニーテールと赤い瞳と小柄な体型が特徴的な女子『田中 泉』は少し息切れしながらも彼の前に姿を現した。
「ごめん! 壊人! 待った?」
「ああ、五秒くらい待った」
「もうー、そういう時は今来たところだって、言うものだよ?」
「そうなのか?」
「うん、次からそうしてね」
「分かった。あー、それとな……携帯は今日買いに行くから、帰りに付き合ってくれないか?」
彼女は目を輝かせながら、彼に近づいた。
「うん! 分かった! 絶対行く! 這ってでも行く! 死んでも行く!」
彼は彼女の反応に少し困ったが、とりあえず返事をすることにした。
「お、おう、よろしく頼むぞ」
「うん! それじゃあ、行こっか」
「ああ、そうだな」
その後、二人は遅刻しないように早足で学校に向かった……。
____放課後……正門前……。
「壊人ー、早くしないと置いていくよー」
「そんなに急がなくても、物は逃げたりしないぞー」
「でも、早くしないとお店閉まっちゃうよー」
「そうなのか? じゃあ、急ぐか」
彼はそう言うと一瞬で彼女のところに移動した。
そして、何も言わずに彼女をお姫様抱っこすると、店までの道順を彼女に教えてもらいながら、そこに向かった。
それを目撃していた人物が一人いたことを彼らはまだ知らない……。
「……ここか」
「ね、ねえ、壊人ー」
「ん? なんだ?」
「いい加減、下ろしてよー! 恥ずかしいからー!」
「そうなのか? じゃあ、下ろす」
彼は彼女を地面に立たせるとさっさと店の中に入っていった。
「あっ! ちょっと待ってよー!」
それからしばらく経って……。(下校中)
「悪いな。何から何まで」
「ううん、いいんだよ。友達だもん」
「友達……か」
「うん、そうだよ。だから、いい加減、私のことを下の名前で……」
「見つけたぞ! オールブレイカー! 死ねー!」
彼らの頭上から現れたのは、水色の短髪が特徴的な少年だった。
「はぁ……先に謝っておく。すまん!」
「えっ……ちょっ……」
「あっ! 逃げるな!」
彼は彼女をお姫様抱っこ(本日二回目)すると、料理と歌の殺傷能力がピカイチのガキ大将がいそうな空き地にやってきた。
「田中さんは土管の中に居てくれ」
「え? あっ、うん、分かった」
「こらー! 無視するなー!」
「無視してたら、こんなところまで来るわけないだろう!」
「ぐあっ!?」
彼は空から攻撃してきた水色の短髪が特徴的な少年の腹部に蹴りを入れた。
「能力は『飛行』か……」
「ああ、そうだよ。俺はこの力でお前を倒す!」
「黙れ。倒されるのはお前だ」
「なんだとー! もう一回言ってみ……」
彼はその辺にあった小石をその少年に投げつけるのと同時にその少年のところに移動した。
「おっと、そんな攻撃当たるわけ……」
「いや、隙ができれば、それで充分だ。オールブレイカー……発動」
「うわああああああああああああああああああ!!」
彼はその少年の存在ごと破壊した。
「まったく……油断も隙もないな」
「田中さん、もう出てきていいぞ」
彼女の応答がないことに気づいた彼は、自分の注意力の無さに怒りを覚えた。
その後、彼は携帯で彼女に連絡を取った。
「田中さん! 無事か!」
「ああ、彼女はまだ無事だぞ。オールブレイカー」
「お前……誰だ?」
「彼女を救いたければ、夕日が沈む前に三本の煙突がある古い工場まで来い。じゃあな……」
「あっ! おい、待て! 話はまだ終わって……」
電話は彼が最後まで言い終わる前に切れてしまった。
「くそっ! 俺のせいで田中さんが……。けど、悩んでいる場合じゃないよな。待ってろよ、田中さん。必ず助けるからな!」
彼はそう言うと誘拐犯が指定した場所に急いで向かった……。




