プロジェクト・ワールドブレイク
夕方……田中家……玄関の前……。
「ねえ、壊人。明日なんだけどさ」
「明日? 何か用事でもあるのか?」
「そうじゃなくて、明日の朝、うちまで来てくれないかな?」
「ああ、別にいいぞ。何時に来ればいい?」
「だよねー。無理だよねー……って、いいの!?」
「俺をなんだと思ってるんだよ。高校生になって初めてできた友達と登校しちゃいけないのか?」
「う、ううん、そんなことないよ。ただ、ちょっと意外だなって思っただけ」
「そうか。なら、八時くらいに来るから、寝坊するなよ」
「あっ! ちょっと待って!」
「ん? なんだ?」
「メルアド! 交換しよ!」
「……あのな、俺が携帯持ってると思うか?」
「え? 持ってないの? 不便じゃない?」
「戦闘の時に邪魔になるだけだろ。あんなの」
「そんなことないよ。遠くにいても連絡が取れるし、大抵のことは調べれば出てくるよ」
「そうか……。まあ、一応、母さんに相談してみるから、それはまた明日だな」
「うん! それじゃあ、またね! 壊人!」
「ああ、またな。田中さん」
「もうー! 友達なんだから、下の名前で呼んでって言ってるでしょー!」
彼女に背を向けて歩き始めた彼は、その時、ふっと笑っていたそうだ……。
不死鳥家……リビング……。
「ただいまー」
「おかえりー。ご飯できてるわよ」
彼にそう言ったのは彼の母親であり元世界最強の超能力者『不死鳥 響』だった。黒髪ロングと黒い瞳と無駄にでかい乳と白衣が特徴である。
「そっか……って、またカレーかよ。昨日食べたぞ」
「でも二日目のカレーはコクが増すから、昨日より美味しいわよー」
「けど、その分、菌が繁殖するから、ちゃんと加熱しないと腹壊すぞ」
「あんたはそういうの関係ないんだから、大丈夫でしょ?」
「もう少し息子を大事にしろよ。まったく……」
「文句があるなら、食べなくてよろしい」
「いえ、ありません。いただきます」
二日目のカレーは確かにコクが増していて、昨日より美味しかったそうだ……。
夕食後……リビング……二人はソファに座っている……。
「携帯を買いたい?」
「なんか友達から持ってた方がいいって言われたんだよ」
「へえー、友達できたんだー」
「な、なんだよ」
「ん? 別になんでもないわよ。けど、良かったわね。友達ができて。今週末、うちに呼んでもいいわよ」
「いや、いくらなんでもそれは早すぎだろ。というか、その友達は一応、女子なんだが……」
「そっかー。じゃあ、娘ができるわねー。数年後には家族が増えて、私、おばあちゃんになってるかもしれないわねー」
「おい、話がどんどんおかしな方向に向かってるぞ?」
「え? 友達から彼女に発展するのが常識でしょ?」
「そんな常識があったら、クラスの女子全員と結婚しなくちゃいけなく……あー、なんかもうどうでもいいや。携帯の件は考えておいてくれよ。じゃあ、おやすみ」
「うん、おやすみー」
彼が二階に上がった後、彼女はパソコンの画面を立ち上げた。
『彼の様子はどうかね?』
「はい、今のところは異常ありません」
『そうか……では、近いうちに『プロジェクト・ワールドブレイク』を第二段階に移行しても構わないな?』
「はい、よろしくお願いします。それでは、私はこれで失礼します」
響は、そう言うとパソコンの電源を切った。
「あー、下手に出るのは、疲れるなー。けど、あの子の力が悪用されないようにするには、どうしても必要なのよねー」
その後、彼女は冷蔵庫から缶ビールを一つ取り出すと、半分くらい飲んだ。
「さあてと……それじゃあ、今日もやりますか!」
彼女は無職だが、パソコンと自分の超能力を使って世界中の情報を夜の間、ずっと管理している結構すごい人なのである……。(時給は約三十万円である)




