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夏休み……海……。
「ふう……少し休むか」
オールブレイカーこと『不死鳥 壊人』は、自分たちが持ってきたパラソルの下で少し休むことにした。
「なんか新鮮だな……。友達と一緒に海に来るのは……」
「お兄ちゃん、僕のこと忘れてなーい?」
黒髪ショートの少年(彼の義理の弟)『不死鳥 心悟』は、そう言いながら彼の隣に座った。
「おう、そういえば、そうだったな。すまん……」
「ううん、別に大丈夫だよ……。けど、ちょっとお呼びではない人たちが来ているみたいなんだよね……」
「なんだよ……お前も気づいてたのか」
「僕は元超能力者だからね。なんとなく分かるんだよ」
「そうか……。けど、どうする? ざっと数えただけでも、二十人は居たぞ?」
「大丈夫だよ。もう手は打ってあるから」
「そうなのか? 用意がいいな」
「まあね……。さて、そろそろ二人のところに戻らないといけないよ。二人がナンパされるかもしれないからね」
「そうだな。そろそろ戻るか」
二人は、海に野良超能力者たちが潜んでいることを既に知っていたようだ。
*
「もうー、二人ともどこに行ってたのー?」
赤髪ポニーテールと赤い瞳と小柄な体型が特徴的な女子『田中 泉』は、二人にそう言った。
「すまない。ちょっとトイレに行っててな」
「ふーん、そうなんだ……。てっきりナンパでもしに行ったのかと思ったわよ」
「あら? 私といる間、ずっとそわそわしていたのは、どこの誰かしら?」
黒髪ロングと黒い瞳が特徴的な真顔女子『梅雨原 霞』は、笑みを浮かべながら、そう言った。
「さ、さぁ、何のことかなー?」
田中さんがそっぽを向きながら、そんなことを言った直後、壊人はこう言った。
「いつも明るくて元気いっぱいな女子と真面目そうだけど、時折見せる笑顔が可愛い女子と一緒に海に来てるんだから、ナンパなんてする必要ないだろ……って、二人ともどうしたんだ? 顔が赤いぞ? 熱でもあるのか?」
二人は、彼の『デコピタ』から逃げながら、こう言った。(『デコピタ』とは、おでこ同士をピタッとくっつけて、熱を測る行為のことである)
「べべべべ、別にななななな、なんでもないよー!」
「そ、そそそ、そうよ。な、ななななな、なんでもないわ」
「そうなのか? なら、いいんだが……」
この時、心悟は思った。
どうしてお兄ちゃんは、そういうことをスラスラ言えるんだろう……と。




