表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
26/70

第26話 合宿の献立について 

 一日目朝はコンビニ弁当でいいだろう。

 車付近で食べるようだし。

 でも一日目昼は、

  ○ 歩いて持っていくのでカサが少ないもの

  ○ 水に浸かっても大丈夫な物

  ○ 行動後に山中で食べる予定

  ○ 鍋、ガス、水、食器は先生用意

  ○ 身体が冷えているので温かい物希望

という条件だ。

 うん、面倒くさい。

 ちなみに現在地は寮の自室。

 時間は夜九時ちょうどである。

 何をやっているのかの説明はいらないだろう。

 合宿の食事メニュー作成である。


 そんなものまだ日はあるしゆっくり考えればいいじゃないか。

 それはきっと正論だ。

 でも佳奈美の性格を知らなすぎる。

 奴は絶対明日あたりには話題にする。

 そしてその時点で下案だけでも作ってないとずっと気にしてしまうのだ。

 しかも先生からの伝言もある。

 『メニュー決まったら教えてね』という指導を放棄したような感じの。

 そんな訳でネットでアウトドアの食事メニューを検索しながら色々考える。

 ラーメンに餅をいれようかとかチーズの方がいいだろうかとかベーコンとウィンナーはどっちが正解かとか。

 ニンニクとネギは先生が苦手と言っている。

 これだけで結構選択肢が減ってしまう訳だ。


 勿論味とか満足感を優先しなければ選択肢は色々ある。

 でも実態に食べるのは僕らだし、文句を言われるのは僕。

 だからそれなりに満足度の高いものにする必要がある。

 そんな訳で僕は検討に検討を重ねry。

 夜中1時近くまでメニュー作りに費やしてしまったのだった。


 ◇◇◇


 例によって七限終了後、即座に教室を出る。

 廊下で雅と佳奈美が追いついてくる。

 これが最近の一番安全なパターンだ。

 先日の先輩のお買い物お誘いの件も何とか誤解を解くことに成功した。

 でもこれ以上はもう苦労したくない。

 追いついてきた佳奈美は早速尋ねる。

「合宿のメニューは決まったのですか」

 ほら、やっぱり聞かれた。

「一応案は作ってきた。部室で検討して良ければ先生に提出しよう」

「それではまずは検討会ですね」


「でも佳奈美、トレーニングはやるからな」

 一応念の為に言っておく。

「えっ、やっぱりなのですか」

 やっぱりやる気はなかった模様だ。

「やっておかないと当日酷い目にある可能性が高いらしいけれどな」

「うーん、何処かで人生の選択を間違ったのです」

 それはどっちの台詞だ。

 大体ここに入ったのも誰かさんがホイホイにひっかかったからだろう。

 まあそう指摘しても今更遅い。

 そんないつもの感じで理化学実験準備室に向かう。


 ◇◇◇


「それでメニューはどんな感じだ」

「一応人数分印刷してきました。データも持ってきました」

 USBメモリをポケットから出してみせる。

「用意がいいな。じゃあ皆で検討会といこうや」

 そんな訳で僕がつくったメニュー案の検討会が始まった。


 ○ 一日目朝

  ・ コンビニ弁当

 ○ 一日目昼

  ・ ラーメン

     袋ラーメン(中のスープ粉末は半分しか使わない事)

     増えるわかめ小袋

     粗挽きソーセージ

     とろけるチーズ

  ※ 汁を少なくなるように作る事

 ○ 一日目夜

  ・ 麻婆豆腐

     麻婆豆腐の素(挽肉入り)

     豆腐

  ・ 棒々鶏

     サラダチキン人数分

     適当なカット野菜

     棒々鶏のタレまたはごまドレッシング

  ・ スープ

     即席スープの素

     昼に余ったふえるわかめ

  ・ 御飯(炊く)

     米

 ○ 二日目朝

・ スパゲティ

     適当なレトルトソース

     スパゲティ

     ベーコン

     一日目に余ったチーズ

     一日目の余り適当に

  ・ スープ

     即席スープの素

     余った材料適当に


「なるほどな。炊飯以外は極力簡単にという事か」

 神流先輩はすぐに僕の意図を見破った。

「料理に自信がある人間がいないですから。炊飯は一度はやらないと先生が納得しないような気がして」

「それもそうだな。よく考えてある」

「キャンプというとカレーなのだと思うのですが」

 この佳奈美の意見もきっと言われると思っていた。

 もちろん反論材料を揃えている。

「レトルトならともかくだ。材料を一から切って作るのは却下。面倒だし時間かかりすぎるだろう。きっと疲れた状態で作る事になる。そこで皮剥いたり切ったり充分に炒めたりするのは大変だ。ここはリスクを避け省力化に徹しよう」

「そうですね。なかなかいいと思います」

 神流先輩と雅はこれでOKのようだ。

「あとは焼き肉とかそういうイベントは出来ないのですか」

「調理器具が無いだろう。登山用ガスバーナーという条件なんだから」

「うー、ならしょうがないのです」

 佳奈美も取り敢えず納得と。


「それではこのUSBにテキストファイルで入っています」

「おいきた」

 神流先輩はUSBメモリを受け取る。

「それでは準備してトレーニングしてきます」

「おいおい了解。こっちはメールした後先生の反応を見てから動く」

「わかりました」

 そんな訳で次は着替え準備だ。

 僕はこっそり扉を開け、隣の物理実験室へ。

 理化学実験準備室は女子優先、何せ人数比が圧倒的だ。

 だから男子たる僕が逃げる立場にある。

 この前佳奈美と雅がいきなり僕の前で着替え始めた時、本当にどうしようかと思った。

 背後からだけれども思い切りブラを見てしまったし。

 二人ともその辺特に何も感じないらしい。

 だから僕から率先して逃げるようにした訳だ。

 何故僕はこう苦労する立場になるのだろう。

 まあきっと佳奈美と、そして今は雅と先輩のせいでもあるのだろう。

 疲れる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ