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こちら学園探検部 ~別名指輪物語、正確には『ハーレム王と指を指される僕と変人女子高生達の輪による同好会の物語』~  作者: 於田縫紀
第2部 二つの塔 第2章 基礎力向上実践合宿

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第24話 脳筋主義~体力は全てを解決する

「ところで何か問題があるのですか。先生の言った事そのものにはあまり問題を感じないように思われるのですが」

 佳奈美が不思議そうな顔をして尋ねる。

「ああ。確かに言っていることは間違っていない。しかも揃えると金がかかる装備を先生自らで用意してくれる。愛車もデリカの4WDで先生を除いても七人までは乗車可能。

 技術も確かだ。ワンゲルの顧問も兼ねているからな。何せ大学時代から国立登山研究所のリーダー研修だの講師研修だの行っているくらいだ。ただ……」

「ただ、何なのでしょうか」

 神流先輩のニュアンスが何となく伝わったらしい。

 雅が不安そうな顔をする。

「体力がありすぎるんだ、あの先生は。顧問だしこの理化学実験準備室(へや)も貸してもらっている手前、あまり文句は言いたくないんだが」


「体力があるのはいいことでは無いのですか」

「ものには限度がある」

 そう言って先輩はまたため息。

「昨年は新人が私一人だったからな。先生は兼務しているワンゲルの新人歓迎合宿の方へ参加した。今回のここの合宿と同じように先生が書き直した合宿日程でだ。GWの一泊二日、場所はやはり奥多摩だった。結果、新人五人のうち二人の人格が変わってしまった。脳筋というか体力至上主義者にな」

 なんですと。

「何があったのですか」

 先輩は深く深く頷いた。

「経験者に聞いた。ただただきつい、極限のような二日間だったそうだ。最小限の荷物だけを背負い、川を泳ぎ滝を登る。服は二日間一切着替え無し。寝場所は草や落ち葉を重ねた上にシート敷いてシュラフカバーに入ってごろ寝。テントなんて使わない。そもそもそんな物持って歩けないような極限環境。たき火はしたそうだが。

 一日目は長い長い沢や滝を延々ひたすらに登り詰める。二日目はそれに加え最後は藪の中這い登っていく状態。気がついたら東京都最高地点に通じる登山道に出ていたそうだ。普通の登山道がこんなに歩きやすい物かと感動したそうだよ。そのまま雲取山経由で帰ってきて、車に辿り着いた後は即ダウン。学校に到着するまで意識が無かったそうだ」


「まさかそれを今回もやるんじゃないでしょうね」

 神流先輩は首を横に振る。

「いや、あれをそのまま再現するつもりは無いと思う。先生本人も昨年反省していたようだしな。それに今回はテント泊とも言っているし。

 でも合宿までに身体は鍛えておいた方がいい。老婆心ながらの忠告だ」

 おいおいおい。


「退部届を提出していいですか」

「退部には担当教師の承認が必要だ」

 つまり小暮先生自身の許可を取れと。

「ちなみに先生は新人が三人来たことで大変喜んでいる様子だ。あとはわかるな。悪い事は言わないから諦めろ。あと明日から少し筋トレや走り込みをしておけ。私もそうする」

 神流先輩がこれだけ暗い顔をしているという事は、今言っている事は全て事実なのだろう。

「普段はこっちの活動にはほとんど足を運ばないのだがな。新人三人というのが相当に嬉しかったらしい。あと、ワンゲルから早くもメールで礼状が来ている。『こちらの懸念事項を取り除いていただき有り難うございます』とな」

 うん、色々把握した。

 明日から運動服を持ってくるとしよう。

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