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家に帰りつくと、ばあちゃんが、ほっとした顔をして俺を迎えてくれた。頭を撫でられて、いつもは恥ずかしいのに、その日は嬉しかった。ばあちゃんに、甘えようと思った。お腹がすいたと言って、福(猫 オス)にちょっかいを出して、ばあちゃんの畑の野菜を一緒に抜いて、そして、食事をしている最中に、口に出した。
「……ばあちゃん、俺、母さんときちんと話がしたいんだ」
ばあちゃんは、そうやね、と、そう言ってくれて、また、俺の頭を撫でた。ばあちゃんの味噌汁は大好きなのに、俯いていると、涙がこぼれたから、涙腺が、馬鹿になってしまっているのだと思った。




