19※
いつの間にか、本格的に眠ってしまって、やべ、と、起き上がる。日は既に高くなってしまっていて、暑いくらいだ。ばあちゃんに声かけてないから心配しているかもしないなって苦笑する。仕方ないよ、ずっと浅い眠りしか取れていなかった身体は、ここの静かな空気に癒されて久しぶりにすっきりしていた。
……愛美には会えなかったけれど。ここは、愛美が好きな場所だから。
空は、真っ青に青くて、暑苦しい入道雲が俺を笑っている。
**
とんっと寝床にしてしまっていた石から降りると、うーん、と伸びをした。外の空気を久しぶりに吸って、日を浴びたような気がした。
**
帰り道、走る気にはなれなくてぼんやりしながら歩く。橋の辺りまで行き、過ぎようとしたとき、ぐっと腕を掴まれた。
驚いて振り返ると、そこにあったのは、会いたくなった顔。
嬉しくて笑顔になる。愛美は、オレンジ色のTシャツを着ていて、下はカーキ色のパンツ、蛍光色のサンダル。そして、日に焼けた小麦色の肌、心配気なアーモンドアイの瞳。右目の下の魅力的な泣き黒子。小さな口元。
**
俺の様子に少し戸惑った風に見える愛美はそれでも俺を心配するような口調で、何かを話している。俺は、何も考えられない。……ただ、嬉しくて。いっぱいいっぱいだったから、ただ、伝えたくて。会いたかったから。君に、愛美に会いたかったから。もう俺には、愛美しかないような気がして
気づけば、行動していたんだ。
**
愛美の腕を引いて、唇に唇を寄せる。
―-愛美の唇は想像していたように柔らかくて、頭の中が焼け付くような気がした。




