帝国動乱!⑥
ホルシュ帝国は制海権を失い、東はエーデルフライス王国と帝国を分け隔てるように大山脈が続き、通ることが出来ず、南と西は海で、海上路は断たれている。残るは北の小国家連合で、帝国は活路を求めるために、小国家連合へと陸路を総勢80万という大軍で侵攻を始めていた。
そして、それを迎え撃つのが、小国家連合軍総勢5万とエーデルフライス王国軍20万である。人数としては帝国軍に劣るが、迎え撃つ舞台は大陸最強と呼ばれるシュゼッペリン砦で、帝国から北上するには、この砦か年間を通して深い雪に覆われる山脈を越えなければならない。そして、今回はシュゼッペリン砦の特徴である堅固さだけでなく、エーデルフライス王国軍の移動式砲台が持ち込まれ、砦からの砲撃が可能となった。
さらに、砦の西側はすぐに海が広がっており、海上からの砲撃も行える。ここを抜けて北に向かうことはほとんど不可能である。
ここを守るのが、小国家連合軍総司令官カルド・シュゼッペと、エーデルフライス王国第1王子であるエリック・エーデルフライスである。
「シュゼッペ総司令官殿、移動式砲台の配置と艦隊の配備が完了しました!」
「うむ。小国家連合軍も配置完了だ。それにしても、エーデルフライス王国軍側の司令官が王子様とは驚きましたな。普通は将官が派遣されるのですが...」
「姉上が海上戦に出たのに、私だけが安全な王宮に籠っているわけにはいきません。それに、私としてもこれ以上、帝国を放置するのは許せませんから。」
「これはこれは、年齢に違わずご立派だ。頼りにしております。エリック王子殿下。」
「はい!こちらこそよろしくお願いします!」
それから帝国軍が最寄りの砦を通過したことが確認されたのだが、数日経っても帝国軍は現れず、砦ではこの異常事態に混乱が広がり始めていた。
「現在の状況を報告しろ。」
「はっ!帝国軍は最寄りの砦を出て、こちらへ出発したのは確認できましたが、その後、消息が掴めません。現在、各方面に偵察部隊を出しているので、消息はその結果待ちとなっております!」
「エリック王子殿下、どう思いますか?」
「こちらへ向かったのであれば、2日前にはシュゼッペリン砦には着いている筈です。ですが、帝国軍が現れないとなると、別ルートで侵攻したのかもしれません。」
「別ルート?」
「はい。考えられるのは、山脈超えです。」
「それは、無茶だろう。過去に何度も帝国軍は山脈超えの侵攻作戦を実行しているが、今までに山脈を越えたことはない。全滅するか、途中で引き返すかだ。」
「ですが、エリック王子殿下が言われるように、その可能性も0では無いと思われます。未確認情報ですが、山越え用の装備と思われる物を目撃したという情報もあります。ただ、大軍なので、別の装備や食料の可能性もあるため、山越え用の装備と断定出来なかったようです。」
「では、山越えを行っている可能性も含めて、雪山に慣れた偵察部隊を派遣し、確認しよう。もし、発見した場合は、移動式砲台で山を砲撃し、殲滅。」
「はっ!了解であります!」
士官は命令を伝えるために退出ていった。
この後、山脈を偵察しに向かった偵察部隊は、雪崩で全滅した帝国軍を発見し、帝国軍の陸からの第1侵攻作戦は失敗に終わったことが確認された。




