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※修正予定「銀雪の能面姫」  作者: 翠狐
第四章
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【小国家連合艦隊視点】海上封鎖

私は、小国家連合に属するメルハトス王国の海軍司令官だ。メルハトス王国は小国家連合の中でも海戦術が優れており、小国家連合で連合艦隊を組むときは、必ず主力として動くこととなる。


今回は小国家連合の南に位置するホルシュ帝国からの宣戦布告を受け、帝国の各港を海上封鎖する作戦だ。

帝国の国土のほとんどが作物を育てるのに向かない痩せた土地で、食料は外国からの輸入に頼っている。他に鉱物資源の埋蔵量も他国に劣り、自給自足の難しい国だ。海上封鎖によって物資の供給路を絶てば、直ぐに疲弊して崩壊するだろう。


勿論、海上封鎖と言っても、帝国は数多くの国家を侵略してきた国だ。国土は大きく、全ての港を小国家連合艦隊だけで封じるには無理がある。

そこで、相互防衛協定を結んでいるエーデルフライス王国に協力を要請した。最近のエーデルフライス王国海軍は、蒸気エンジンなる新たな動力を船に載せ、風向きに関係なく航行出来ると言う。それも強力な大砲も載せられている。噂では、遥か彼方からでもその砲撃は届き、為す術なく一方的にやられてしまうというのだから驚きだ。

味方で良かったと思う。


そして、海上封鎖実行の日、我々は小国家連合は帝国の商業港を中心に海上封鎖を行った。エーデルフライス王国は軍港を抑えてくれるそうだ。

何でも、「砲弾が当たっても何ら問題はない」と言うのだから驚きだ。それに、新たな船を配備すると言う。まだどんな船か知らないが、噂ではまるで要塞のような船だと言う。

本当にそれは船なのか?エーデルフライス王国はとんでもないものを産み出してしまったのでは無いだろうか。


海上封鎖開始から数日。

帝国海軍からの攻撃を受けた艦隊もいるようだが、今のところ、大きな損害は出ていない。エーデルフライス王国も小国家連合艦隊とは少し遅れて海上封鎖を開始したそうだ。向こうは攻撃を受けても無傷で追い返しそうだな...


海上封鎖開始から1週間。

帝国海軍の大艦隊が沖からやって来た。遠洋に出ていた艦隊が海上封鎖の知らせを聞いて集まってきたようだ。明らかに敵の数の方が多いが、ここで逃げては作戦の意味がなくなる。犠牲を承知の上で、迎撃の準備を開始した。


帝国海軍の大艦隊と海戦が始まって数時間。

上手く立ち回って被害を少なくしつつ敵へのダメージを与え続けたが、そろそろ限界だ。こちらの隊列は崩れ、多くの味方の船が孤立し、敵に包囲されている。現に私が乗る船もメインマストは根本から折れ、大砲は敵からの砲撃によって全滅だ。速度も保てなくなり、包囲されつつある。


ここまでだ...流石に帝国相手に寄せ集めた即席の艦隊では無理があったか...後はエーデルフライス王国に敵を討って貰うしかない。


船員も諦め死を覚悟し、敵艦の大砲の砲撃準備が次々と完了していくのが目に入る。そして、一斉に砲撃が開始されようとしたその時、ヒューと何処からか音が聞こえてきたと思ったら、大きな爆発と共に周りにいた敵艦は跡形もなく残骸の山となり、海上で燃えていた。


「艦長!あれを!」


船員の何処か嬉しそうな声を聞き、望遠鏡で海上を確認すると、そこには黒煙を吐き、鋼鉄の巨大な船体に、見たこともないくらい巨大な大砲を載せ、数多くの大砲が船体から生えたまさに、要塞のような出で立ちをした1隻の船と、少し小さくなるがこちらも大砲を多く生やした鋼鉄の船が2隻の合計3隻がこちらへ向かってきていた。

そして、その船に掲げられた旗は、エーデルフライス王国海軍の海軍旗だ。

船員達はその姿を目にし、歓喜の声を上げた。地に落ちていた士気も上がり、小国家連合艦隊は息を吹き返した。


そこからは一方的な殲滅戦だった。エーデルフライス王国の要塞のような船が敵陣の中心へ突っ込み、砲撃されてもびくともせず、ひたすら巨大な大砲と船体から生えた無数の大砲で、敵艦を次々と沈めていった。少し小さく見えた2隻の船も、我々の船とは段違いに大きく、敵の射程範囲外から、次々と絶え間なく砲撃を加え、外から内からと一方的な殲滅が行われた。


戦闘時間はたった1時間。その間に帝国海軍の大艦隊は全滅し、海上には帝国海軍の船の残骸が漂うばかりで、さっきまでの苦戦が嘘のように感じた。いや、この光景そのものが、現実逃避をするための幻想なのではないかと疑ってしまう。


私が現実なのか幻想なのか考え海を眺めていると、私に近づいてくる足音が聞こえてきて、そちらを振り替えると、軍服を着た小さな銀髪銀目の幼い女の子が立っていた。


「初めまして、オルター提督。私はエーデルフライス王国第1王女のエミリア・エーデルフライスと言います。今回の王国海軍の指揮官を務めております。」


「わ、私は小国家連合艦隊指揮官のディック・オルターです。援軍を送ってくださり、助かりました。感謝いたします。」


「いえ、もっと早くに敵艦隊と交戦する予定だったのですが、予想したルートと別のルートを通ってしまったようで、助けに来るのが遅れてしまい申し訳ありません。」


「いやいや、お気になさらず...」


エーデルフライス王国側の指揮官が王女だとは聞いていたが、こんなに小さな子だとは。それに、敵艦隊ともっと早く交戦する予定だったということは、たった3隻で全滅させるつもりだったのか...可能だろうな。あれだけ不利な状況から勝利したのだから.....ただの幼い王女だと思って見くびると大変なことになるぞ...



その後、ホルシュ帝国は主力艦隊を失ったため、海上補給路の確保が出来なくなり、小国家連合へ地上から進軍して侵略しつつ、補給路の確保をする方針へと切り替えた。

また、この海上戦の詳細が小国家連合から世界へと広がり、海軍の軍備増強を各国が開始したのはまた別のお話。

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