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異世界に派遣されたお仕事です!  作者: tera
一章-魔物の暴走編-
20/26

-19話- みんなで派遣?~魔物の暴動は、流石に一人じゃ無理2~

今日もまた更新します。

 今回の依頼は、警備依頼。この町の貴族の館に、お国からお偉いさんがやって来るので、不振な物が居ないか一応警備に当たらせるんだとか。


 こんな魔物も人も馬鹿で平和な町で警備なんて別に必要ないと思ったが、そこは異世界なりの様式美、というかそういう所とか確りやってますよって言う意思表示なのだ。


 工場に本社社員が来た時の工場長の媚びへつらいを思い出して虫酸が走った。そして、


「まぁわかってたけどな」

「ここしかありませんよね、この町の貴族の館って」


 俺達は再びマダム・オオヅカの屋敷へとやって来たのである。


 初見のシンディは、異文化の屋敷に呆然とするのではなく「ひ、広い……こんなに広い家があるのか」と皆目見当もつかない感想をもらしていた。


 コイツ……。

 もしかしたら没落貴族という奴なのか?

 自分の事を姫騎士だと言っていたし。

 実家に仕送りとか言っていたし。


「あら、貴方達。この間はケットンちゃん探して来てくれてありがとうね、じゃ説明するから入って入って」


 この人、ヒステリックさえ起こさなければ菩薩像のように良い人なんだよな。ケットンを連れて返ると、泣いて喜んだくらいだし。体型も


 だが、一度ペット関係でヒステリックを起こすと手が付けられない。

 狭間の谷のボストロールよりも質が悪い。


「あれマダム、また太ったの」


 ミスチェがとんでもないことを言った。

 確かにそれは思ったけど。


「あははは、わかる? 最近夫が一杯甘やかしてくれてね、まぁラブ期よラブ期。……そうね、貴方達にもいつかわかる時が来るわ。苦労しそうだけど」


 マダムが意味深なことを言いながら、ニヤニヤと俺を見ていた。


 ボストロールの発情期。

 旦那さんを見てみたいわ。


「ミスチェちゃんもケティちゃんも、出来る男を捕まえなきゃね? ウフフ、……あれ、貴方どこかで」


 シンディの顔を見たマダムが、既視感ありげな表情でそう口走った。


「わ、私は流離いの姫騎士ローパー。断じて潰れかけた定食屋の娘ではない!」

「あら? 私の間違いだったのかしらね。まぁいいわぁ」


 おいダウト。

 こいつ、嘘八百しか並べてねぇ。


「おい……、シンディ」

「何だ、私は由緒正しいローパー家の血筋、一人娘でありながら、その実は世直しの旅を続ける流離いの騎士シンディだ。それ以外の何者でもない、シンディだ」


「……こないだオーガストっていう冒険家と、新しい飲み屋の開拓をしようって大人数で宴会出来る場所を探してたんだが」


「それなら東区の外縁エリアに丁度貸し切りに出来るくらいの穴場的な定食屋がある。ふふ、兼ねてから私もそこでお世話になっていてな……、いや私の一族がだがな、私はここに来たのは初めてだから。そこをぜひ使うと良い、定食屋の親父さんも奥さんも気の良い人でな、たぶん定期的に宴会をすると申し付ければいくつか安くしてもらえるかもしれんぞ?」


 すっげぇ押された、外縁エリアって町の防壁付近の地価が一番安いエリアだったりする。貧困街とは言わないが、もし魔物の軍勢に防壁を壊されたら、最初に被害が出るのがそのエリアなので、閑散とした場所になっている。


 もしかしなくても、馬鹿なのだ。

 ローパー一族というのは。


「ああ、考えとくよ」

「予約も代わりに承っとくが?」

「いや、それはいいわ」


 俺達の他に来ている者は居なかった。辺境の田舎町みたいな場所だから、警備に敷く人数も一応人目につく入り口に建てとけば良いのだろう。


 この家にはあのケットンさんも居るし。

 何かあったら焚き付けりゃ良いや。


「よし、一応ミスチェとケティは外周をぐるっと見回りしてきてくれ、多分何も無いと思うけど、何か不審者が居たらすぐに連絡して来てくれ」

「わかりました。でもすぐ目の前に見つかりました。浮浪者です」

「……そういうのいいから、もう」

「アタシに任せときなさい。何かあったらニャ閃光でぶっ飛ばしてあげるんだから!」

「絶対にそれ使うなよ! フラグじゃねーぞ!」


 二人を送り出して、俺とシンディは門の前に立ってとりあえず警備っぽくしてみた。なぜシンディにしたかと言うと、魔法学校の制服とスポブラスパッツの女が門の前に立っていても、どっちが不審者だと言わんばかりの絵になると思ったからだ。


 ボコボコのフルプレートメイルでも、一応歴戦の結果こうなりましたって感じに見えなくもない。曲がった槍は、とりあえず元からそう言うアーティファクト的な何かがということにしておこう。


「……貴殿は、私を愚弄しないのか?」


 二人きりになって、シンディが急に口を開いた。


「何がだよ」

「実は私は流浪の身だと言っていたが、同じく浮き世を流離っていた貴殿には本当の事を言っておく」


 違うから。流離い人と浮浪者は違うから。

 何と混合してるかわからんけど、行動範囲そんなに広くないから。


「実は私は小さい頃、この町にきた事があってな……、故郷を追い求める自分の定めに従って一人で旅をして来た流離いの姫騎士なのだ。このボロボロの鎧は旅で傷ついた戦いの証、そして騎士の誇りなのだ。町中で奇異の目で見られるのも、この傷の価値をわかっていない民衆だからなのだ」

「………………さいでっか」


 後だしジャンケン多過ぎだろ。

 だいたいその鎧昨日はピカピカだったろうが、早速設定インプットしてんじゃねーよ。


「そして私はとある定食屋に恩があってな、ずっと支援してるのだ。だから是非一緒に飯にでも」

「ちょっと黙ってもらえます?」


 やっぱり三人で見回りに行かせた方が良かったかもしれなかったかもしれん。

 ……色んな意味で。


「ちょちょちょ、待ってくださいよエルゴッド様ぁ! こんな辺境まで来ていきなり田舎貴族の家にお邪魔する事は無いですよ! こういうのは私がアポを取ってから伺うものなんですからぁっ!」


「うるさいなぁ……。メル、その綺麗な瞳には一体誰が見えているというのだい……? ほら、真剣に見つめて言ってごらんよ……」


「あ、あああ、エルゴッド……様ぁ、でも有給……貯まってるので……」


「ふふ、僕にはやるべき事があるんだ……、わかるだろう? 僕には……、僕には……、この世界の秩序を、人々の栄光を永遠なる物にするんだって……」


 目の前で、えらく高そうな鎧とマントを身につけた男が、メモ帳とペンを縛ってまとめた物を抱えるショートカットの女性のアゴを、くいっと持ち上げて甘く囁いていた。


 女はうっとりとした表情になって、俺が最も嫌いな言葉を呟いている。

 そして、徐々に顔が近付いて、口と口が、ゼロ距離に。


「おっと、警備の者が見ているようだね、流石に往来で口づけするのは止しておこうか……、僕はエルゴッド……、王宮公認の魔法剣士さ?」


 すいません、不審者です。

 おまわりさんこっちです。




お読み頂きありがとうございます!

ツイッター@tera_father


処女作、テラ神父の方もよろしくおねがいします。

『Real Infinity Online』VR初心者ゲーマーがテラ神父

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