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森の中での採取

起きると身体のあちらこちらが痛んだ。疲れていたのでぐっすりと眠れたが、身体には疲労感が残っている。

 耳に届く声から、犬耳族達もどうやら目覚めている様だった。

 声が聞こえる方向に歩いて行くと、火を起こし、鍋を使ってスープらしきものを作っているのが見えた。


 セアラが近づいてくるのに気付いた者達が、口々にセアラに対して挨拶を述べる。昨日は気付かなかったが、朝の明るい光の中で見ると犬耳族達の服はボロボロで薄汚れていた。

 頭の中で彼の服を作るための布の元となる植物をたくさん採ることをメモする。


 セアラは勧められるままスープの入った椀を受けとり、口に運ぶ。

 味付けは塩だけだが、肉や野菜からだしが出ていて、ほっこりするような優しい味がした。

 皆がご飯を食べ終えたので、今日の予定についてセアラは話す。


「昨日言ったように今日は森に入って、素材を採ってくる予定よ。30分後には出発して、暗くなると危険だから16時にはここに戻ってくる予定。創ったアイテムの数があまりないから、多くても同行者はシミルを含めて五人までお願いしたいの。誰か決まっている?」


「国主様、もう少し多く者を同行させてくれませんか? 5人ではもしもの時に不安です」

マグは心配げな顔をしてセアラに言い募る。


「うーん、私も採取の為にはもっと多くの人を連れて行きたいんだけど、疾風のお守りが6人分しかないのよね。これを持っていれば、速さが今より50%上がるからもしもの時にも逃げられるの。だから、全員分創るまでは同行は危険だからダメ」


 そう言ってセアラはマグの申し出をきっぱりと断った。


(効率を考えたら大人数で行った方がいいけど、危険は出来るだけ排除しないと。彼らの敏捷地は高いけど、疾風のお守りで底上げしないといざという時不安だしな。本当はウイングブーツも創ってあげたいけど、彼らのボロボロの靴じゃ錬金術に耐えられないし、しかたがないか)


(万が一死人がでるようなことがあったら立ち直れないよ。ゲームの世界では速さよりも攻撃力を重視していたけど、現実となった今では、速さが最もたいじなのではないかと思う。敵から攻撃を受ければ痛みがあるし、ゲームと違って動きも鈍り戦闘に大きな影響を与えることは確実だろうし)


「あの、国主様。この疾風のお守りというのは本当に速さが50%もあがるのですか」

「うん、そうだよ」


 マグは上擦った声でセアラに問う。セアラはあっさりと頷いた。

「まさか、これほどの物をセアラ様がお創りになられるとは……」

 

 マグは茫然とした顔で呟いた。


「私の錬金術の腕はちょっとしたものなんだよ」とセアラは胸を張った。


「このような物を我らに授けて頂き、本当にありがとうございます。ですが、これで安心しました。これがあればセアラ様を安心して送り出せます」


 そう言ってマグは安心したように息を吐いた。


「それで誰が私に同行してくれるの?」


「ダリス、アルド、グラスト、イゴール、シミルの5人が同行します」


 マグが名前を呼ぶと5人がセアラの前に進み出た。セアラは選ばれた5人が犬耳族の中でも特に強い者達であるのに気付いた。


 セアラは、疾風の守護石に続き様々なアイテムを配りながら、その使い方について説明していく。

 犬耳族達はそれらのアイテムの非常識さに目を白黒していた。


 


 同行する5人は手早く準備を固めた。セアラに至っては全て万能カバンに入っているので、常に準備満タンである。

 セアラ達は皆に見送られながら森へと向かった。


 簡易結界石を持ち魔除け液を全員が体に振りかけているので魔物にも出会わず、あっさりと森についた。


「じゃあ、まずは木を出来るだけ多く切って欲しいの。3000本くらい」

「3000本ですか?! 恐れ入りますが国主様、我らは斧を持っていません。剣で地道に切り倒していくので日に50本が限度かと思います。もし斧があっても、それだけの本数を切るのには何日もかかります」


 シミルが困惑した顔で答える。セアラはニッコリと笑って1つのアイテムを万能カバンから取り出す。


「じゃじゃーん。これは『研磨の粉』。剣にかけると切れ味が良くなるの。木なんか一振りでスパスパよ。使ってみて」


 セアラは自信たっぷりだ。対するシミルは半信半疑で渡された粉を刃に振りかける。そしてセアラの望みに応えるべく剣を振りかぶった。


 すると、ドシンという音をたてて驚くほどあっさりと木が倒れた。シミルは切った時の手応えのなさに驚いた。まるで何も切っていないかのようで、刃を押し返すような木の硬さを全く感じなかった。


(なんだ、この粉は! こんな物が存在するのか! これがあれば質の悪い剣でも硬い魔物を切れるんじゃないか。なんてすごいアイテムなんだ!)

 

 このような非常識なアイテム次々を創り出すセアラにシミルは畏怖を感じた。そして、彼女が自分達の国主であることを誇りに思った。

 彼女はシミル達が見たこともないようなすごいアイテムを何でもないことのように創り、あっさりとそれを与える。

 それがどれほど得難いことがまるでわかっていないのだとシミルは思った。


「ほらね、すごいでしょ!」そう言うセアラは、他の者から見ればまるで幼い子供が宝物を自慢するように得意げに見えた。

 

 シミル以外の4人も慌てて粉を刃に振りかけ木に向けて刃を振りかぶった。

 4人もその切れ味に驚く。


 セアラは切られた木を次々と万能カバンに入れていく。その様子に皆がギョッとした顔をした。中には手で頭をかかえている者もいた。

 見た光景が信じられないと各人の瞳が語っていた。


 動きを止めていた者たちは、セアラに促されて次々と木を切っていく。どうやら深く考えることを辞めたようだ。


 セアラもせっせと収納していく。そうして目標本数に届くと、彼らに制止の声をかけた。

 今度は、黄色い草とシミル達からみたらどこにでも生えている物を採取するよう指示をした。


 シミル達はなんでこんな物をと疑問に思いながらも従順に従う。そうやって森中を歩き回りながら、言われるがまま拾い集める。


(やったあ、これでいろんなものが創れる! 大収穫だよ! あとこの『迷わずの森』で採取出来るものってなにがあったかなあ)


 セアラはゲーム知識を掘り起こしながら、素材を効率的に採取していた。セアラはここが『迷わずの森』だと気づいたきっかけは『七色の砂』を見つけたからである。この七色の砂は『迷わずの森』でしか採れない。今までは自分が世界のどこら辺にいるのかわからなかったが、これでおおよその検討がついた。


 セアラは、ほっとした。この森の魔物はほぼ下級で構成されている。稀にレアに出くわすが、セアラの創ったアイテムで対処できる。逃げなくても十分戦える。

 そろそろ魔除け液の効果が切れる時間だ。セアラはワザとそのアイテムを少量しかかけないように伝え、森の魔物と戦う為と説明していた。


「みんな、そろそろ魔除け液の効果が切れるころだから気を付けて! 目的の物も粗方採取出来たし、これからは魔物を探すよ」


 セアラの言葉にシミル達は気合を入れて魔物を探し始める。さすが、毎日狩りをしながら生きているだけはある。数分で中の1人が魔物を見つけた。


 気配を出来るだけ殺し、獲物に近づく。

 目に入ったのは、ダークホーンである。この魔物は、頭部に大きな漆黒の角が特徴の大きな鹿である。魔物にしては攻撃的ではなく、自分より相手の方が強いとわかるとすぐ逃げる。

 

「さっきも言ったように、私だけで倒すから手を出さないでね」

「わかっております、国主様。ですが危ないと感じたらすぐに手を出させてもらいます」

「うん、わかったよ。その時はお願い」


 そう言ってセアラはダークホーンに使う為の攻撃アイテムを万能カバンから取り出した。


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