【別視点】クリスタリアの嘆き
宿屋のロップイヤーの女の子の独白。
―――――――――――
わたし、クリスタリア・アルフィオーネ・ユリディスタは数えで12歳になる。今よりも小さな時から家の仕事を手伝っていてお母さんやお父さんに色々教わってるからちゃんと丁寧に接客もできる。
でもたまに失敗する事もあって、今回も..やってしまった。
昨日やってきたお客さん。フードを被った物腰の柔らかい優しそうな人。
顔は見えないけどそう思った。
でも、もしかしたら怒らせてしまったかもしれない。
他の人のように声を荒げたりはしなかったけれど、気分を害してしまったのは間違い無いと思う。
わたしはウサギの獣人だ。それも耳が垂れてる珍しいタイプらしい。
この国では獣人を差別する人はほとんどいないけれど隣国だと奴隷にされる事もあるってお父さんとお母さんが言ってた。
この国は犯罪奴隷と一部の借金奴隷以外を禁止しているし、奴隷狩りは許さないと決められている。だから安心して暮らせるんだって言ってた。
この街はたくさんの国の人がやってくる。だからここで宿屋を営んでる関係でこの街の人じゃ無い人も来る。当然、人によっては顔をしかめたりするし、出て行く人もいる。罵倒して来る人もいた。
でもあの人はべmそんなことはしないし、かといって興味深げにジロジロ見てきたり、なんか気持ち悪い色をした目で見てきたりもしないからつい気になった。
それにどこの国でも井戸以外で水を得られるのは川くらいしか無いのに井戸を珍しそうに見てるから。
話の流れで聞いたら答えてくれるかなって気になった。
ああいう人には過去の詮索はしちゃダメって言われてたのに。
お母さんもお父さんも旅人の過去を検索しちゃダメだって教えてくれた。人には消し去りたい思い出や知られたくない物事があるものなんだって。
聞かれたくない人もいるから仲良くなっても自分から話してくれるまで聞いちゃダメなのにお客さんでまだ話したことほとんどないのに聞いちゃった。
ああ..きっとまた怒られちゃうんだろうな。