枯れた花にさよなら
冷たい廊下を通って、ルミエラがいる部屋に通された。これまた小さい無骨な部屋で、ルミエラはベッドに寝かされていた。
「彼女には治療を施した。麻酔がまだ解けていなくてね。だから…」
「せめてもう少し休ませておく…とかは?」
すると金髪の大人は微笑んでそれを否定する。
「すまないけれど、時間が無いんだ。」
時間?と言いたくなったが、既にルミエラの身体を起こして、もう出て行けと言わんばかりにルミエラを背負わそうとする。
「すまないねぇ…時間が無いんだよ。」
先程と同じ言葉を少し違ったように…違和感が無いように発する。もうルミエラを背負った以上、留まることは許さない気らしい。この建物に来た時のルミエラと、今ルミエラを背負った時の体感の軽さは異様であった。酷く軽くて、冷たくて、やはり目を覚まさない。察することはしたくなくて、変わらず微笑む大人に案内され、最初の出入口へ辿り着く。何も言わずに外に足を踏み出す。足を前に前に進めていくにつれ、ルミエラの異様な軽さに認めざるを得ない事実があるのを感じた。だけど認めたくなくて話をし始める。
「なあ、ルミエラ?起きてくれよ。」
ルミエラは何も言わない。そもそも目を覚ましてないのだから起きてくれと言うのはルミエラ自身には通じないのかもしれないと思い、ルミエラに対して少し恥ずかしいことを言おうと思った。
「…ルミエラ。孤児院に来た頃からずっと…」
こうしてルミエラを背負って歩いていたら、街はやはり暑くて、瓦礫も多くて歩きにくいと実感せざるを得ない。そこで目にするのは小さな小道であった。小さな小道は確かに荒れてはいたが、街の道ほどでは無かった。
「…ずっと、好きだったんだ。」
やはり言ってみると少し恥ずかしい。顔が熱くなるのを感じて赤面していることがわかる。
この小道は街とは違って冷んやりとしていて、あの建物を彷彿とさせるような感覚だった。どんどん道は乾いた泥まみれで汚れていたが、小枝・小石を踏む以外はあまり足に痛みを感じなかった。あの爆風をまた身に受けたら自分はそれこそ吹き飛んで、ルミエラにもまた怪我をさせてしまう。
歩いていくうちにあの小道は森に繋がっていることが分かった。元々世界は薄暗いので、森はさらに薄暗くなってまるで闇を表現しているかのように思った。奥へ足を進めるうち、自分以外の歩く足音が聞こえた。足音がなるべくしないように、落ち葉を踏まないように気をつけて歩く。だがそれは上手くいかなかった。気が付けば猛獣に囲まれていた。凄まじく唸っていて威嚇されている事がわかった。きっとこれ以上歩いてはいけないんだと感じさせた。かの有名な熊は、視線を話さず後退りすることが推奨されるが、複数な上熊では無い場合どうしたら良いのだろうか。とにかく動かずいた。だが無念にも生命というものはどんな動物であれ感じるらしい。一斉に周囲の猛獣に突進される。腹に激痛が走る。ルミエラは俺が転んだ拍子に投げ出されてしまい、霰もない方向で体を存在させた。悲鳴ひとつ上げないルミエラはなんて我慢強いのだと思う人は少ないはずだ。彼女の名を叫びながら獣に何度も小突かれながら森の道から外れて斜面を転げ落ちる。そうしてまたも意識は途切れた。
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