70.女王様
女王様
私の名前はゆりこ、5大パーティーと言われている
女王のリーダー
私達は全員、全員ヨーロッパ系ハーフ、
母親が日本人で事情があって普通の日本の小中高に通っていた。
小さい頃から発達がよく、回りに比べ大人びて、
中学生の頃は既にJDに見間違えられることが多く、
男子生徒だけでなく周りの大人からもそういう目で見られ、
または声をかけられたり、あやうく危ない目に会いそうなった事も、
またそういう外見だから友達もできず ずーっと孤独だった。
幸いな事に発達が良いのは体形だけではなく身体能力や冒険者適正も一般人より抜き出ていたため、家計を助けるには、冒険者になるしか選択肢はなく、高校に入るとすぐに冒険者となった。
ただ、冒険者と言っても世間知らずの普通の高校生、大人の冒険者たちに良いように言いくるめられ、素材買取金の分配も不公平、雑用やパシリ、荷物持ち、都合のいいようにこき使われていた、当然エロい誘いは日常茶飯事。
ある時、買取所で同じような外見で同じくらいの歳、そして同じように、大きなリュックを背負っている女子を見つけ、お互い目が合い、言葉を交わすようになった。
同じ境遇だったこともあり、すぐに2人でパーティーを組んだ。
ダンジョン経験はある、もともと2人とも優れた身体能力を持っているので、順調にレベルもあがり、収入も増え安定したダンジョン生活を送れるようになった。
偶然の出会いが、2人を変えた。
ある時、ダンジョン内で大人の冒険者たちと一緒にいる自分達と同じような女子がこき使われているところに遭遇した。
2人はそれを見て、おそらく同じ境遇で苦しい思いをしているだろう、助けようと決め、そのパーティーがダンジョンから出てくるのを待って、その子の後を付けた。
1人になった所を呼び止め話を聞いてみると、やはり同じ境遇だった。
自分達も同じような境遇で、偶然出会って2人でパーティーを組むようになってからの話をすると、その子は泣きながら自分もパーティーにいれてほしいと言ってきたので、喜んでパーティーに迎い入れた。
3人パーティーで活動するようになると、2人の時より、レベルも順調にあがり、収入も増え、今まで苦しんでいたことが報われたと思うと同時に同じ境遇の女子がいたら助けようと決め、それから同じような女子を見かけると声をかけてパーティーに迎い入れていった。
途中で冒険者をあきらめて辞める人もいたけど、最終的にパーティーメンバーは6人となった。
それからは、資金的にも余裕が出てきたので、パーティーで全員の装備を整えつつ、連携プレイの訓練と個々の能力向上のための訓練をしながらダンジョンに潜っては素材狩り取りとレベル上げをした。
6人とも、同じように身体能力が高く、また冒険者特性が高い、
何より同じ境遇だった事もあってお互いを思いやる強い仲間意識の基、とてもバランスの良いパーティーが出来上がった。
皆、同じ境遇者で、根が真面目な子だった事もあり一生懸命にダンジョンに潜っては素材を狩り取り、階層攻略をも順調に進んで、レベルも上がって、気づけば、初級ダンジョンの最下層まで攻略できるようになっていた。
それでも、こんな見た目の女子6名、周りの冒険者はほとんどが大人の男、よこしまな目でみられたり、ダンジョンの出口で誘われたり、ひどいのは、素材を横取りしようとしたり、強引に自分のパーティーに入れと威圧的に迫ってくることもしばしば、エロい事はしょっちゅう。
私達は、隙を見せるからいけないんだ そう考えて、最初は国防軍のマネをして黒ずくめで統一した制服を着こんでダンジョンに入ったりもした。
でも、この顔付と髪の毛の色がかえって大人の冒険者を刺激するみたい。
この頃は豊島ダンジョンの最下層まで攻略していたので、素材は高額で買い取られていたから、十分安定した収入がえられるので、ここを狩場としてやって行こうと皆で決めていたけど、そんな冒険者があまりにも多いので、皆で豊洲ダンジョンの上層部に行こう、そしてそこを狩場にしようと決めた。
豊洲は豊島と違って、中級ダンジョン、
まわりの冒険者も見るからに強そうな人達であきらかに豊島とは違う。
私達は緊張しまくりながらも、豊島の最下層を攻略したんだから大丈夫と皆で声を掛けながら、1階層に入って行った。
豊洲のダンジョンはさすがに豊島のようには行かなかったけど、それでも皆で戦えばモンスターを倒す事ができた。
この日は初めての豊洲ダンジョンで1階層を制覇できたこともあったので。そのまま帰る事にした。
帰ってから、皆で反省会を開き、これからのことを相談し、豊島に比べると豊洲の上層の方が変な冒険者も少ないし、素材の買取価格も高額なので、このまま豊洲の上層を狩り場にしようと決まり、明日も1階層を攻略し、余裕があれば2階層に進もうという事で、皆で軽くお祝いをして早めに就寝し明日に備えることにした。
豊洲の朝は早い、皆、体調は万全
昨日の反省を踏まえ、1階層へ、
昨日よりうまくモンスターを倒す事ができ、しっかりコアを回収、素材も数点確保できた。
1階層の出口で休憩をとって、皆に確認すると、怪我もなく、装備もOK、疲れもないから2階層で進む事に。
そのころは皆も余裕が出てきて、女性のみの冒険者で豊洲に入ったのは初めてと買取所の職員に言われ、かなり期待されているとか、ここを狩場にできれば、今まで以上に安定した収入が確保できるから、皆昨日以上にやる気が出ていた。
2階層もゴブリンだった。
豊島の29、30階層の方に比べると、中州の1,2階層の方が簡単に攻略できそう と思ったのがいけなかった。
2階層のゴブリンは狂暴そうな大型犬(狼犬)?3頭を連れ歩いており、その後ろにはさらに2m以上あるゴブリン=ホブゴブリンが、ゴブリン5匹に指示をだしている。
大型犬(オオカミ犬)が私達を見つけ、牙をむき出し、唸り声をだしながら今にも飛びかかってきそうなのをホブゴブリンの指示の基 ゴブリンが首縄を引っ張っている。
ここで私達は大きなミスをした
オオカミ犬とゴブリンが最初に襲ってくると思っていた
それが、突然ホブゴブリンが走り出して大剣を振りかざしてきたので、大楯まゆみがとっさに私達の前に入り込み、大盾でホブゴブリンの大剣を防いだその瞬間、その隙を狙ってゴブリンが狼犬の手綱を離し、まゆみの足を・・・・・・
私がその狼犬にナイフを突き刺して倒し、アーチャーとウィザードがホブゴブリンに矢と炎で応戦、小盾片手剣のまりこが横に回って、ホブゴブリンを袈裟懸けで切りつけると肩から腹にかけてざっくり、そのままホブゴブリンが倒れた。
大盾まゆみは右足首から下が食いちぎられていた。
私は、彼女を抱え、皆で2階層の入り口まで下がる。
プリーストさちこが懸命にまゆみの足にヒールをかけているが失った右足首下は元には戻らない。
ヒールで止血と傷口の処置は終わったけど、いつのまにか他のゴブリンとオオカミ犬、そしてホブゴブリンが現れ、同時に私達を襲う。
大盾まゆみが戦えない今、大盾でホブゴブリンの攻撃を防ぐ事は難しく、小盾まりこが懸命にホブゴブリンの大剣を防ぎ、私が槍、みきが矢を、ようこがエネルギーボルトを撃ってなんとかゴブリンとオオカミ犬を倒し、その間中、まりこがなんとかホブゴブリンの攻撃を防いでいる。
ホブゴブリンは槍や矢やエネルギーボルトで傷が増えているのは確実だが、まりこが防戦にまわり、剣をふるえないので、トドメの一撃が打てず、じり貧状況。
まゆみが自分を置いて逃げてほしいと言ってるけど、そんな事誰も思っていない
私は、ホブゴブリンの背後に回ってトドメの一撃を と思い、左に大きく踏み出そうとした時、
ガラの悪そうな、でも強そうなおじさん冒険者5人組が現れて、1人が大盾を振り回しながら、私達とホブゴブリンの間に入って私達を守ってくれ、もう1人がホブゴブリンに矢の集中砲火、そして後ろから片手剣のおじさんが背中を袈裟懸けでばっさり、ホブゴブリンがそのまま倒れ、私達は助かった。
「じょうちゃん、大丈夫か?」そう言っておじさん達が近寄ってきて、皆の顔を見回す。
まゆみの足を見て、
「すまない、もう少し早く来ていれば、間に合ったのに」そう言って私達に頭を下げた。
今まで出会ったおじさん冒険者と違って、5人とも怪しい雰囲気だけど、それは見た目だけで、私達が最初に描いていた先輩冒険者のように、私達がモンスターに襲われているのを助けてくれ、
まゆみの足を見て、何も悪くないのに、私達に謝って、それはとても頼もしい私達にとってのヒーローみたいなパーティー。
それからまゆみにポーションを飲ませてくれ、ダンジョンの出口までついて来てくれた。
まゆみは皆を助けるため、大盾を持ち上げホブゴブリンの大剣を防いだかわりに足元を狼犬に食い千切られ、右足首下を失った。
これからと言う時にまゆみの冒険者生活が終わった。
でも、まゆみは私達の仲間、絶対離れない、皆はそう思っていたけど、まゆみは田舎に帰って普通の暮らしに戻ると言って、私達が何を言っても全然きかなかった。
誰にも相談できない私達は、助けてくれたおじさんに相談すると、そのおじさんがまゆみに向かって説得(説教)してくれて
「ばかやろう、お前は、仲間を見捨てて自分だけ田舎に帰るのか、お前の仲間はこれからもダンジョンに潜って行かなきゃいけないんだぞ、わかっているのか?」
「でも、私はもうダンジョンは入れない、一緒にいても皆のお荷物になるだけだから」
「お荷物~? お前ら6人はずーっと一緒にいたんだろ、ダンジョンに入れなくても、やる事あるだろう、一緒に活動できるだろ! よく考えてみろ」
まゆみは泣きながら、そして私達も皆泣きながら、これからもずーっと一緒の6人パーティー、5人はダンジョンの中、まゆみはダンジョンの外で活動しよう、
そう言ってまゆみは私達と一緒に、活動してくれる事になった。
私達は全財産を使って、郊外だけど家を購入し、そこで6人で暮らすことにした。
冒険者パーティーにサポートは必要だ、それはダンジョンの中だけでなく、ダンジョンの外でもできる。
まゆみは元冒険者だから、私達に何が必要か、どうしてほしいかもわかってくれ、ダンジョンに入るのは5人になったけれど、今までと変わらずダンジョン生活を送っていた。
それからも、何かあればおじさん達に相談して、おじさん達も私達をかわいがってくれ、豊洲の上層階で充実した生活を送っていた。
ある時、私達は以前に比べると大人の冒険者から変な事はされなくなったが、それでも時々そういう事があるし、ダンジョンの外ではあいかわらずそういう目で見られ、イヤな思いをしていることをおじさん達に言ったら、おじさんの1人が冗談半分で
「だったらSMの女王様の恰好にすりゃあ、男はビビッて寄ってこないんじゃねえの?」
私達はその言葉を結構本気でとらえて、肌が露出した部分の防御はどうすればいいだろうとか言って悩んでたら、またおじさんが
「ほらスパイダークイーンの糸とか、ボンビックスの幼虫が出す糸を使って網タイツとアンダーシャツとか作ればいけんじゃねえのか、どうすればいいかわからないけど」
それからは皆本気でスパイダークイーンの糸とボンビックスの幼虫を探し、見つけては殺さないように糸だけ回収し、家に持って帰っては、この糸を使って防御服をつくる相談していたら、まゆみが余っているスキル枠に、鍛冶・職というスキルを登録し、おじさんの紹介で防具作りの職人さんに弟子入りをして、私達の今のコスチュームを作れるようになった。
それから、私達は家を買い換えて その地下1階にまゆみの工房を作り、今はまゆみの作るコスチュームが今の女王のスタイルとなっている。
今までも、友達はおじさん達しかいなかったし、おじさん達さえいれば相談にも乗ってくれるし、ダンジョンの事も教えてくれるし、全然平気だった。
それがある日、おじさん達が20階層で全滅したと・・・・・・
私達はそれまでは、おじさん達と一緒の10階層までしか行ったことがなかったけど、その知らせを聞いた時はいてもたってもいられなくて、豊洲ダンジョンに行って、20階層をめざそうと言ってたところ、源さんが血だらけになって戻ってきて、病院に運ばれたと聞き、急いで病院に
行くと、集中治療室で治療中だったけど、なんとか助かりそうだと聞いて一安心、
だけど……他のおじさん達は・・・・・・
一般病棟に移った源さんをお見舞いに行っても、源さんはほとんど口をきいてくれなくて・・・、
私達は20階層のモンスターを!
かたき討ちをする決心をして、それから地獄のような特訓をはじめ、1階層ずつ攻略していった。
私達パーティーは6人だけどダンジョンは5人、大盾がいないけど、補充するつもりはない、まゆみの代わりはいらない、大盾はまゆみ以外はいらない。
私はこの恰好もあって、大盾の役割をカバーすべく、武具を槍から鞭(長、短)に変えた。
鞭もまゆみと相談しながら色々な素材を試して、今の形に
まゆみ特製の短鞭と長鞭。
長鞭は熟達すれば先端速度は音速を超える。
自在に使いこなすことで、私の攻撃・防御は鞭が届く範囲は全てを網羅、大盾で防ぐことはできない替わりに私達の前に大きな壁を作る事ができる、同時に攻撃も。
私たちは着実に、下へ下へと攻略し、20階層を攻略。
源さんに報告しようと思っていたら、源さんと他のおじさんの家族達は上野でダンジョン装備専門店を開いて、なんとか立ち直っていた。
かたきを討ったとは言わなかった、20階層を攻略した報告をしたところ、寂しそうだったけど、褒めてくれて、でもそれ以上は何も言えなくて、ちょっと遅い開店祝いをして皆で帰ってきた。
それからもちょくちょく源さん達のお店に顔をだしていたけど、私達は、日本でも7番目に豊洲の30階層に到達したとかで、いくつかの省庁から援助の話が来て、今のスタイルでもOkというので国土交通省にお世話になる事にした。
それからはあまり頻繁には源さんの処には行かなくなったけど、この前34階層で変態マンに助けられてから、源さんの処に相談に言ったら
どういう訳か 変態マンに会わせてくれて、仲良くなれた。
やっぱり源さんは私達のダンジョンお父さん ありがとう、そしてこれからもよろしく。




